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アーツカウンシル東京ブログ

アーツカウンシル東京のスタッフや外部ライターなど様々な視点から、多様な事業を展開しているアーツカウンシル東京の姿をお届けします。

東京アートポイント計画通信

東京アートポイント計画は、地域社会を担うNPOとアートプロジェクトを共催することで、無数の「アートポイント」を生み出そうという取り組み。現場レポートやコラムをお届けします。

2013/05/08

熊谷POレポート アートプロジェクト考察日記(その1)

「アートプロジェクトとは何なのだろう。」

去年一年間考えていましたが、ぴったりくる答えがまだまだ見つかりそうにありません。

この答えを得るべく、平成25年も様々な現場に伺い、色々な方のお話を伺いながら考え続けて行きたいと思っています。

ところで、こちらのブログにいらしてくださっている方は、「アートプロジェクト」という言葉に耳馴染みがある方が多いのではと思います。東京アートポイント計画が様々な団体とともに展開している活動は「アートプロジェクト」と呼ばれることが多いのですが、その特徴の一つは美術館を飛び出し、まちなかで市民とともに展開していることです。この活動は「モノ」つまりは形ある作品を作ることより、「コト」を起こし、クリエイティブな活動を行うこと自体にフォーカスしていることが多く、実際に現場を訪れ関わった人以外には、なかなか見えづらく、そのありようが伝わりづらいところがあります。

だからこそ、この未だ輪郭があいまいで、活動が終わった時点で見えなくなってしまう「コト」を丁寧に残す為の仕組みづくりが必要です。そのため、現在東京アートポイント計画ではアートプロジェクトを「記録調査/アーカイブ/評価」といった観点から考察し、残していく仕組みづくりをしています。

様々なアートプロジェクトの活動現場に赴き感じることは、まちなかで展開しているが故の、活動を作る側と受け取る側の距離感の近さ。まるで両者がまじりあってさえいるようです。だれがやるのかだれか楽しむのか、曖昧になりながらも、そこにいる人がどんどん動いていくという活動自体のあり方。アーティストや市民などがコミュニティを形成し、そこに関わる人々が、何かをやりながら、楽しみながら、巻き込み巻き込まれながら、広がりながら、渦巻きながら展開していく「何か」は、じわっと、ゆるっと、ふわっと世界の堅さをほぐしていくように感じています。

そして、そこで起きる小さな化学反応の集積は人と人との出会いの豊かさや関係性が生み出しているに他ならないと感じています。何よりもその背景にはこれまで必ずしもアートという世界に関わってこなかった、様々な人たちの参加があります。このアートや文化活動へ参加する人がどんどん広がっていく、すそ野の広さがアートプロジェクトの魅力の一つなのではないでしょうか。

ここでは「アートプロジェクトとは何なのだろう。」という素朴な疑問についてと、個人的に興味のある、デジタル空間と物理的空間での活動のブリッジをかけ方について、色々考えてうんうんうなってみたいと思います。ともに頭をひねってくれる仲間も常に募集しておりますので、よろしくお願いいたします。

東京アートポイント計画 プログラムオフィサー 熊谷薫

プロフィール

2005年に東京大学美術史学科修士課程修了後、NYの市立大学に留学し戦後美術について研究、グッゲンハイム美術館でのインターンを経て帰国。フリーランスで活動中、アートプロジェクトの現場に関わるようになり、社会の中で展開する柔軟で生き生きとした活動のあり方に魅了され、日本の現代美術と社会の関係に注目するようになる。2012年11月から現職。デジタル空間とプロジェクトの現場に、現代社会の問題への対応の即時性や柔軟さなどの類似性を発見し、関心を寄せている。従来の枠には納まりきらないアートプロジェクトという活動にマネジメントの立場から関わりながら、活動のアーカイブ化とデジタル空間での表現としての展開を試みている。

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