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アーツカウンシル東京ブログ

アーツカウンシル東京のスタッフや外部ライターなど様々な視点から、多様な事業を展開しているアーツカウンシル東京の姿をお届けします。

ACT取材ノート

東京都内各所でアーツカウンシル東京が展開する美術、音楽、演劇、伝統文化、地域アートプロジェクトなど様々なプログラムを外部ライターが取材し、現場の様子をお届けする取材日記です。

2017/01/26

東京都美術館にて「Museum Start あいうえの」の1日プログラムに参加!子供たちが「ゴッホとゴーギャン展」でミュージアムデビュー

2016年11月5日(土)に、東京都美術館で「Museum Start あいうえの」のプログラムの一つ「うえの!ふしぎ発見」が行われました。

東京都美術館とアーツカウンシル東京、そして東京藝術大学が主催する「Museum Start あいうえの」は、上野公園内の博物館や美術館が連携して、子供たちのミュージアムデビューを応援するというプロジェクト。「うえの!ふしぎ発見」は、「Museum Startあいうえの」の中のファミリープログラムで、どのプログラムも子供は参加無料です。

取材班は2016年10月8日(土)~12月18日(日)まで東京都美術館で開催されている「ゴッホとゴーギャン展」にちなんで、ゴッホの作品とゴッホが愛した日本美術を鑑賞する「ゴッホ部」を取材しました。

「ゴッホとゴーギャン展」の約60点から“盗みたいアイディア”を見つけよう

「ゴッホとゴーギャン展」では、ふたりの初期から晩年に至る約60点の作品が展示されています。ゴッホとゴーギャンは1888年に南仏のアルルで、約2か月間の共同生活を送りました。その間に描かれた作品を中心に、ふたりの絵画を対比して見ることができます。

参加する子供たちは、3つのグループに分かれます。それぞれのグループには「とびラー」と呼ばれるアート・コミュニケータたちが2~3名入り、作品鑑賞の伴走をしてくれます。

「とびラー」とは、東京都美術館の「都美(とび)」と「新しい扉(とびら)を開く」の意味が含まれた愛称で、東京都美術館と東京藝術大学の連携事業である「とびらプロジェクト」に所属しており、会社員や学生、主婦や退職後の方など18歳以上の様々な立場の人々がいます。学芸員や大学の教員などのプロフェッショナルとともに美術館を活用した鑑賞プログラムなど、様々な活動を展開しています。

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今回のプログラムは「ゴッホやゴーギャンの絵を見て、自分がなにかを作る時に盗んで活かしたいと思うアイディアを見つけよう!」というテーマです。巨匠のパブロ・ピカソの「優れた芸術家は模倣し、偉大な芸術家は盗む」という言葉にもあるように、芸術家や世界のアーティストたちは“盗む”ことで才能や作品を磨いてきました。そこで今回は、参加した子供たちはゴッホの作品を鑑賞しながら色使いや筆のタッチ、モチーフへの視点など“盗みたい”と思うものを集め、発表します。

まず最初に、子供たちは展示を見て回る前に、アートスタディルームでゴッホやゴーギャンについて学びました。

ヨーロッパに日本画や浮世絵が伝わったのは、物を輸出するときに包装紙として使われていたことが一つのきっかけだったそうです。ゴッホも、何かの包み紙として使われていた浮世絵をどこかで目にしたのでしょうか、浮世絵や漢字などをモチーフにした絵画作品をたくさん残しています。ゴッホは日本の美術からインスピレーションを受け、“盗み”、自身の作品の幅をグンと広げていったと言えそうです。

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ゴッホやゴーギャンの生い立ちや残した作品のこと、二人で共同制作をしていた時代の背景やワークショップの説明を聞き終えたら、さっそく展示室へ。3フロアにわたる約60点の絵画を見ながら1枚だけお気に入りを選びます。

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子供たちは、自分が選んだ絵画から、気づいたことや感じたことを吹き出し型のメモに書き出していきます。

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ゴッホやゴーギャンの筆のタッチや色使いなどを注意深く観察していました。

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その後、参加者ととびラーたちは、再びアートスタディルームに戻ります。展示された作品の中から選んだ絵のカードにふせんを貼り付け、お互いになぜその絵を選んだのか、どんなポイントを“盗みたい”と思ったのかをシェアします。

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こちらの女の子は、ゴッホの絵画《刈り入れをする人のいる麦畑》をチョイス。1889年9月ごろに描かれた作品とされています。

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「まっすぐではなく、波を打つように麦畑を表現しているのが風の動きを表しているようで、すごく印象に残った」とのことでした。

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「ゴッホの作品の中でも、珍しく怖い表情を描いているこの作品が、すごく気になった」と話すのは、こちらの参加者の男の子。選んだ作品はこちらです。

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これは《男の肖像》という作品。「見下ろされているような、でもちょっと寂しそうな表情が印象に残りました。姿の周りが黒く縁どられているのが、より男の人の怖さを強調しているように思います。」

選んだ作品は、参加した子供たちによって様々。それぞれが、ゴッホやゴーギャンの作品から盗んだテクニックやイメージを、自分の作品作りや次回のアート鑑賞に活かしてもらえたら、ととびラーは話していました。

親子でアート鑑賞ができるように

「あいうえの」は、子供たちのミュージアムデビューを応援し、デビュー後も保護者と一緒にミュージアムを楽しんでもらいたいという想いを込めてプログラムを作っています。

感想をシェアし終えた後、参加者と保護者、とびラーと一緒に東京国立博物館へ移動し、ゴッホがインスピレーションを受けた日本の美術作品を鑑賞しました。

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美術館や博物館同士の距離が近いことから、作品そのものだけでなく、ゴッホが関心を持った日本の作品を実際に見ることができます。作品のみならず、アーティストの持つ背景などを一度に知ることが出来るのが、上野公園の魅力の一つです。

というのも、上野公園エリアは、今回子供たちが訪れた施設以外にも様々な文化施設の宝庫。「あいうえの」では、上野の森美術館(ビ)、国立西洋美術館(ビ)、東京都美術館(ビ)、東京国立博物館(ハ)、恩賜上野動物園(ド)、国立国会図書館国際子ども図書館(ト)、国立科学博物館(カ)、東京藝術大学(ダ)、東京文化会館(ブ)をつなげて、「ビビハドトカダブ」という呪文で呼んでいます。また、「あいうえの」のプログラムでは、各施設の説明や楽しみ方などが記載され、自身で書き込みもできるハンドブック&ノートブック(ビビハドトカダブック)が入った「ミュージアム・スタート・パック」というバッグも子供たちに配られます。

上野公園内で美術館や博物館同士が連携を取ることで、上野公園が“ミュージアムの冒険の舞台”となります。

見る・聞く・話すなどの経験を通じて、ミュージアム体験をより深めることができる「あいうえの」のプログラム。今後の展開にもご注目くださいね。


  • 開催日: 2016年11月5日(土)17:00〜19:30
  • 開催場所:東京都美術館、東京国立博物館
  • 主催:東京都、東京都美術館・アーツカウンシル東京(公益財団法人東京都歴史文化財団)、東京藝術大学
  • ウェブサイト:https://www.artscouncil-tokyo.jp/ja/events/12886/

写真:鈴木穣蔵
取材・文:立花実咲

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