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アーツカウンシル東京ブログ

アーツカウンシル東京のスタッフや外部ライターなど様々な視点から、多様な事業を展開しているアーツカウンシル東京の姿をお届けします。

東京アートポイント計画通信

東京アートポイント計画は、地域社会を担うNPOとアートプロジェクトを共催することで、無数の「アートポイント」を生み出そうという取り組み。現場レポートやコラムをお届けします。

2013/07/10

大内POレポート 東京、ひろい。(3)

POレポート3回目。まちなかで展開するアートプロジェクトには欠かせない拠点の話をします。「アートアクセスあだち 音まち千住の縁」の拠点、かつての豆腐屋を利用した「音う風屋(おとうふや)」ができて約1年。この1年間でプロジェクトに関わるボランティアチーム「ヤッチャイ隊」の人数や関与の幅が増し、目立ったイベントのない時期でも音う風屋のオープン日が飛躍的に増しています。どんな人が、どんな目的で、どんなことをしているのか。アートプロジェクトにおける拠点は、まったく接点のなかったまちの人とつながる、前線基地と言えます。

まちの隙間に入り込んで、じわじわと展開していくことが多いため、その拠点の設定は重要度が高いです。例えば、まちなかの空き店舗やビルの空きスペース、使われていない公共施設の一角など、本来では利用価値がつきにくい場所に、一時の使用で入り込みます。プロセスが重視されるプロジェクトであるからこそ、拠点にはさまざまな経験と物語が蓄積されていきます。関わった人には関わった分だけ愛着がわくものですが、えてして時限的なものゆえに、いつかは終わり、次の場所へと移っていきます。
私が取手アートプロジェクトのインターン1年目だった時も、取り壊しが決まっていた学生寮を手作りでアートセンターに変え、交流拠点の実績と愛着を手に入れました。「続いたらいいのに」と、予定通り解体されていく建物を見ながら力不足を思ったものです。

しかしながら、今考えてみればアートセンターのような拠点が続くことは、当時の運営団体にとっては抱えきれない重荷になったのではないか?ということは想像に難くありません。どのプロジェクトにもその事業の時期、運営団体の規模や体力に応じた拠点の設定が重要です。いつか来る拠点じまいを嘆くことなく、楽しい日々に胡坐をかくことなく、常に新たな場所や人へのアンテナをはっている。場所やプログラムについて「続けるか否か」への議論の連続。それがアートプロジェクトの日常だと思います。

そんな音う風屋の日常が覗ける「音まち千住の縁」のスタッフブログ「日々音まち」。東京アートポイント計画 POD通信の「日付当番制」を採用し、3日に1回程度更新されるようになりました。素晴らしい。発信しないと伝わらないです。お互い頑張っていきましょう。

音う風屋
音う風屋での野村誠「だじゃれ音楽ワークショップ」。かつて、おとうふを作っていた場所で、現在は音楽や縁が作られています。

東京アートポイント計画 プログラムオフィサー 大内伸輔

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