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アーツカウンシル東京ブログ

アーツカウンシル東京のスタッフや外部ライターなど様々な視点から、多様な事業を展開しているアーツカウンシル東京の姿をお届けします。

ACT取材ノート

東京都内各所でアーツカウンシル東京が展開する美術、音楽、演劇、伝統文化、地域アートプロジェクトなど様々なプログラムを外部ライターが取材し、現場の様子をお届けする取材日記です。

2017/02/20

第9回恵比寿映像祭が開催中! リニューアルした東京都写真美術館を中心に“マルチプルな未来”な作品が集結

2017年2月10日(金)から26日(日)までの15日間、恵比寿エリアでリニューアルオープンした東京都写真美術館を中心に第9回恵比寿映像祭が開催されています。

上映やライブ・レクチャーなどの定員制プログラムは有料ですが、展示会場への入場料は無料。誰でも気軽に訪れることができるイベントになっています。

複製可能な現代でマルチプルな未来について考える

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第9回の総合テーマは「マルチプルな未来」。テクノロジーやメディア、映像のあり方が進化していく世の中で、人間の身体や社会、そして個人のあり方も大きく変容しています。多様化する社会で、様々なものが複製可能になり、マルチプル(同時に多数存在すること)になってきています。

今回同フェスティバルに集結した作品を通じて、複製技術を伴う映像の特質と、その技術の発展とともに私達個人や社会にもたらされる変化を考え、探求する機会を与えてくれるはずです。

恵比寿エリアに集まった約30の多彩な作品

今回の恵比寿映像祭は、東京都写真美術館のリニューアル後、初となる開催。同美術館内では16組の展示作品と12の上映プログラム(有料)を見ることができます。

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著名人やアーティストに自ら扮して作品を作ることで知られる森村泰昌さんの、今回のモチーフはアンディ・ウォーホルです。

展示されているマリリン・モンローや各国の紙幣の肖像画は、すべて森村さん自身。どれも同じに見える紙幣もすべてにオリジナル番号が振られており、これこそマルチプルなものの象徴と言えるかもしれません。

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壁一面に並ぶポートレイト。実はこれ、すべて同一人物です。

セルフポートレイトの作品で知られる澤田知子さんの作品も、展示されています。

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オーストラリアのアーティスト、ガブリエラ・マンガノさんとシルヴァーナ・マンガノさん姉妹による作品は2つ展示されており、自分たちの身体を使った作品と役者たちを起用した作品を見ることができます。

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こちらは豊嶋康子さんの作品で、スマートフォンやカメラで撮影が可能です。

遮光された部屋で赤と緑の照明が1秒ごとに壁に点滅されるインスタレーション。普通に見ているだけだと壁一面に貼られた色紙は緑や赤に見えますが、実はフラッシュをたくと……

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実は緑と赤なのは一部だけであとはカラフルな色紙が貼られているのが分かります。

色調が混乱すると同時に、視覚に騙されている事実が、フラッシュをたいた写真と対比することで明るみになります。

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ついつい見入ってしまうこちらの作品は、ポーランドの映画監督であるズビグ・リプチンスキーさんの1980年の作品「タンゴ」。オプチカルプリンターという映画の特殊効果などに使われる装置を使い、様々な動きをする人の動きを合成した短編作品です。第55回アカデミー賞短編アニメ映画賞受賞作品でもあります。

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フランスの生理学者であり、医学者でもあったエティエンヌ=ジュール・マレーさんの作品がこちら。

マレーさんは、連続する動きを複数の像としてフィルムに定着させる技術を考案しました。一枚の写真に一連の動きが捉えられているのが印象的です。

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崟利子さんは、2016年12月に逝去されたダンサー・振付家の黒沢美香さんの代表作である『WAVE』を踊る様子を収めた記録映像を発表しています。

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こちらは、プラスチックの容器やバケツなど既製品を用い、コラージュの手法を用いた金氏徹平さんの映像作品。

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アメリカのアーティスト、ルーシー・レイヴンさんの作品では、規則的に数字や文字が並ぶ映画上映用テストパターンが映し出されると共に、音声のテストトーンが再生されています。

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ロバート・ノースさんとアントワネット・デ・ヨングさんによる映像作品は、20年以上にわたる取材の記録。国際的なヘロインの流通経路を追いかけ、時に衝撃的な映像も目に飛び込んできます。

容易に国境を越えられるようになったからこそ、負の影響も易々と国を越えていくのだという現実を見せつけられます。

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また、東京都写真美術館から徒歩5分ほどのところにある日仏会館でも展示やシンポジウムが開催されているほか、恵比寿ガーデンプレイス センター広場には、金氏徹平さんのもう1つのインスタレーション作品が展示されています。さらにザ・ガーデンルームではマルチプルな才能が集う、ライブ・パフォーマンスも展開されます。

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日仏会館ギャラリーでは空族の長編映画『バンコクナイツ』に登場したタイやラオスの土地の背景を描いたインスタレーション作品が展示されています(『バンコクナイツ』の上映は2/11に終了)

新しい映像表現に触れられる恵比寿映像祭

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日常生活ではネット動画やテレビ、映画など、映像に触れる機会は珍しくなくなりましたが、新しい映像の側面とそこから見える“マルチプルな”身体や歴史、物語を体感できる芸術祭です。

お仕事帰りに、週末のお休みの日に、ぜひ足をお運びください。


イベント詳細

  • 開催日:2017年2月10日(金)〜2月26日(日)10:00〜20:00
    ※ただし最終日 2月26日(日)のみ 18:00まで
  • 休館日:月曜日
  • 開催場所:東京都写真美術館、日仏会館、ザ・ガーデンルーム、恵比寿ガーデンプレイス センター広場、地域連携各所 ほか
  • 主催:東京都、東京都写真美術館・アーツカウンシル東京(公益財団法人東京都歴史文化財団)、日本経済新聞社
  • ウェブサイト:https://www.artscouncil-tokyo.jp/ja/what-we-do/creation/festivals/yebizo/11480/

写真:鈴木穣蔵
取材・文:立花実咲

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