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アーツカウンシル東京ブログ

アーツカウンシル東京のスタッフや外部ライターなど様々な視点から、多様な事業を展開しているアーツカウンシル東京の姿をお届けします。

東京アートポイント計画通信

東京アートポイント計画は、地域社会を担うNPOとアートプロジェクトを共催することで、無数の「アートポイント」を生み出そうという取り組み。現場レポートやコラムをお届けします。

2013/08/01

司雑記—4 会議と鍋

プログラムオフィサー達の当ブログの内容も、リアルタイムに展開するプログラムの内容を伝えるものが多くなった。今日から 8月、第2四半期も中盤となる。プログラムオフィサーのブログは、彼らがどのような立ち位置でどんな業務を担当し、どう活動を捉えているかを伝える。リ レー連載は、進行中のプロジェクトの魅力を広報とは違った角度から訴求するだけでなく、プログラムオフィサーの働きを知ってもらい、新しいタイプの文化事 業従事者の有り様に関心を抱いてもらうことを目的としている。

文中に垣間みられる共催団体との業務連携のあり方から、「東京アー トポイント計画」事業の役割(タスク)を感じとってもらい、最終的には、東京文化発信プロジェクトの活動意義の理解を深めてもらえたらいい。その為にも現 場経験から抽出された、自分なり言葉を持たなくてはならないのだ。現場を持つわれわれの言葉は、実践経験に鍛えられたものであるべきだ。そうやって身につ いた言葉は、現場を動かす言葉へとなるからだ。会得すべき言葉を現場で紡ぎ出す役目を、アーティスト達が担ってくれている。思慮深い、あるいは感受力に秀 でた彼らの活動なくして新しい現場の誕生はない。

今、「東京の条件」の タイトルで複数年に渡り展開を続けてもらった劇作家・岸井大輔が、何を試みて実践したかの書き下ろしの作業に没入している。もっとも素直に長大な報告書の 体裁にするわけはなく、意図的な書き落としを内包する「戯曲」として書くという徹底ぶり。なんと自らの職能に忠実なことだろう。逸早く東京アートポイント 計画のタスクを理解し、そのミッションを実現するために必要な「戯曲」を考案し、実践してきた。岸井大輔は、2009年に墨東エリアで100日間実践した 「ロビー」から、より重要な活動として「会議体」を抽出して、それを展開した「シェアスープ(鍋パーティー)」を経て、練り上げた戯曲の最終章として 2012年に豊島区で「TAble」を展開。アーレントの「人間の条件」をベースにぶれることなく邁進した。彼の試みが、刊行される予定の編書を通し理解され、多くの人に酌まれることを期待する。それへの評価は、我々の取り組みへの評価ともなるから。

岸 井大輔は、プロジェクトの場をつくるためには、「会議こそが大切だ!」と看破した。しかし、それはそれでスキルが要る。ならば、みんなでテーブルについて 食事をする。つまり、こたつで鍋だ。これなら会議的スキルを必要とせず目的を達成できると。「会議」を劇作家(戯曲)的視点で理解し、シェアスープ(鍋 パーティー)とする認識だ。合点行く指摘であり異論はない。だが、「共にテーブルについて食することができる」コミュニケーションの距離がとれる関係者間 なら、大半のことは解決できる状況にあると言っていい。小沢剛の「ベジタブル・ウェポン」シリーズ(野菜で銃を造り、その後、その食材を皆で調理して食べるアート作品)は、このことを端的に視覚化するアートプロジェクトだ。

換言すれば、鍋ができない「わたしたち」の間だからこそ、会議の仕立てが重要となるのだ。いつ、だれと、なんのテーマで会議を組むのか。プロジェクト成否の力点がそこにのし掛る。会議力とは、ファシリテーション力以前に、関係をテーブルにつかせ、発話する時間をデザインすることだと思い至らされる日々が続く。そして会議の場は、「ことば」が司る。

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