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東京アートポイント計画通信

東京アートポイント計画は、地域社会を担うNPOとアートプロジェクトを共催することで、無数の「アートポイント」を生み出そうという取り組み。現場レポートやコラムをお届けします。

2013/09/17

大内POレポート 東京、ひろい。(5)

POレポート5回目。第1回目でも触れた「あまちゃん」もあと数回を残すのみとなってしまいました。。この数カ月で「社会現象」と言っていいほど、近頃は話題にならない日はありません。この社会現象化は物語の良さもさることながら、音楽による力も大きいところです。劇伴や劇中歌の音楽を担当するのは大友良英さん。東京アートポイント計画では2011年2月のTERATOTERAでの井の頭公園船上ライブを皮切りに、同年10月の「TOKYO-FUKUSHIMA!」を経て、現在進行中のプロジェクト、アートアクセスあだち 音まち千住の縁の「千住フライングオーケストラ」*へと、毎年関わっていただいています。

学生の頃、ライブハウス等へ大友さんの音を聞きに行くたびに「毎回違うことをやっている!」と演奏スタイルの多様さに驚いたものですが、近年では「展示する音楽」や「非専門家とコラボレーションして生み出す音楽」など、音楽そのもののスタイルを拡張させています。後者は、「市民参加型アートプロジェクト」を推進する東京アートポイント計画の目するところと合致するもので、そのような場や活動を作り出すべく共に事業を進めています。

アーティストとプロジェクトを進めるにあたって、現在の思考やパフォーマンス、作品の位置づけを共有するため、他のプロジェクトの現場に足を運ぶことも重要です。どのようなフレームでふるまい、表現をアウトプットしているか。他者との関わりはどのように生まれているか。我々のプロジェクトとの差異はどこにあるか。さまざまな視点で捉え、こちらの現場に良いフィードバックができるよう情報を整理します。

この秋から動き出す「千住フライングオーケストラ」のため、8月には「フェスティバルFUKUSHIMA!」(福島県)、9月にはあいちトリエンナーレでの「フェスティバルFUKUSHIMA in AICHI!」(愛知県)に足を運びました。どちらも大盛況。多くの人が音楽に踊り、奏で、場のしつらえに参画していました。関わり方が多様であり、即興的に広がり、そして即効性がある。音楽を関わりの触媒と捉えると、そんな強みがあることを再認識しました。


あいちトリエンナーレでの「フェスティバルFUKUSHIMA in AICHI!」の会場でステージの背景として掲出された大友さん直筆の名入りのぼり旗**。

さて千住では。
「千住フライングオーケストラ」は空からの演奏会を目指すプロジェクトです。空から?タイトルの響きは美しいですが、「果たしてどうやって?」となります。誰も見たことも聞いたこともないものだからこそ、非専門家がアイディアを出し、かたちにしてもよい領域が生まれます。音楽の専門家ではないけれども、こどもは発想力を、大人は知識と経験を持ち寄って、「果たしてどうやって?」に立ち向い、見たことも聞いたこともない音楽をつくり出す。難しいからこそ、おもしろい。そんな「千住フライングオーケストラ」が構想されてちょうど2年。凧(カイト)や高張提灯など、アイディアが少しずつかたちになりつつありますが、まだまだいろいろなアイディアを投影できる可能性を秘めています。何より、空を見ること、空を語ることは気持ちがいい。企画のおもしろさを伝えること、関わりの領域を広げること、今年度のはじまりに当たっての課題はこの2点です。

今後は11月3日(日・祝)に東京藝術大学千住キャンパスにて今年度のキックオフイベントを開催。大友さんから今年度の企画について話していただき、「千住フライングオーケストラ」を加速させていきます。詳細後日。ぜひご参加ください。

*
千住フライングオーケストラの昨年度の活動はこちら
http://aaa-senju.com/2012/2319/

**
「東京都による芸術文化を活用した被災地支援事業」で共催した「福島大風呂敷」が素材となり、さまざまな人・団体が参加。

東京アートポイント計画 プログラムオフィサー 大内伸輔

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