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美術、音楽、演劇、伝統文化、地域アートプロジェクトなど幅広いジャンルでプログラムを展開する東京文化発信プロジェクト。そこでは様々な出来事が起こり、多くの人々が関わっています。 外部ライターの吉岡が文プロの現場を見て歩き、聞いてレポートするシリーズ「今日は○▲□▼に行ってみた!」

2014/05/29

TARL「思考と技術と対話の学校」【後編】スクールマネージャー 橋本誠さんインタビュー

美術、音楽、演劇、伝統文化、地域アートプロジェクトなど幅広いジャンルでプログラムを展開する東京文化発信プロジェクト。そこでは様々な出来事が起こり、多くの人々が関わっています。 外部ライターの吉岡が文プロの現場を見て歩き、聞いてレポートするシリーズ「今日は○▲□▼に行ってみた!」

今年5年目を迎える東京アートポイント計画の人材育成事業「TOKYO ART RESEARCH LAB(TARL[タール])」が、アートプロジェクトを動かす人たちのためのスクール「思考と技術と対話の学校」を6月より開校します。6月1日(日)まで受講生を募集しています。

前編では東京アートポイント計画ディレクターの森さんに話を伺いました。後編は、TARL運営事務局を務め、スクールマネージャーを担当する橋本誠さんへのインタビューです。

» 【前編】TARL「思考と技術と対話の学校」東京アートポイント計画ディレクター 森司校長インタビュー

■ 持続可能なアートプロジェクトを目指し 現場で必要とされる対話力を身につける

——橋本さんは、自身でも横浜にある寿町でKOTOBUKIクリエイティブアクションを始め、東京アートポイント計画のプログラムオフィサーも経験、フリーランスで様々なアートプロジェクトの現場に携わってこられました。なかでも、学校ではなぜ「対話力」「思考力」の育成を必要としているのでしょうか。
アートプロジェクトと言っても様々な例がありますが、アーティストだけではなく、関わる地域や一般の方、異なる分野のコラボレーターなどとのよい意味での科学反応が起こっている現場に魅力があると思います。そのためには、プロジェクトのステークホルダーになる方々とはもちろん、現場に様々なレベルで関わる人々をきちんと「仲間」にしていく必要があって、そのためには1にも2にも「対話力」が必要だと感じています。

「思考力」は、対話するにあたって必要な言語を生み出す上で必要なことでもありますが、プロジェクトをより発展的に継続させるための戦略を立て、新しい課題に向き合うために必要な力です。アートプロジェクトは、しばしば社会的な課題と向き合ったり、その表現が社会的な課題のあぶり出しに寄与したりすることがあります。そこを評価されることが多いし、社会からのニーズがあると思っています。だから仕掛ける側は、ただ漫然と「やりたい」をかたちにするだけではなくて、しっかりとした対話や思考を折込みながら臨むことで、より多くの「仲間」を獲得することができると考えています。

——では、アートプロジェクトが扱う社会的な課題というと、例えばどのようなものがありますか?
社会的な課題と言うと大げさですが、些細なことでもいいと思います。東京アートポイント計画の共催事業だった「墨東まち見世(平成21〜25年度実施)」は、東京スカイツリーの建設に伴う開発の傍らで、木造密集地帯のコミュニティが変わらざるをえないという状況にどう向き合うか、といったヒリヒリとした打ち出し方もしようと思えばできたし、そこに触れる強い表現も実際にはありました。しかし進めていく上で重要になっていったのは、そこに暮らす/関わる人々の間で日々の遊びのようなプロジェクトや拠点のあり方を豊かにしていくことでいかに生活・文化を充実させられるか、といったような点だったと思います。

横浜の寿町は生活保護受給者が多く暮らす福祉のまちですから、そこにアートを介して様々な人が関わる社会包摂的な視点もありますが、プロジェクトを通して日本の将来的な課題の縮図を発見するということでもあると思います。課題がないまちはないし、それを見つけることを前提にしたアートプロジェクトもあるだろうし、始めた結果、顕在化した課題に向き合うこともあるだろうと思います。


アーティストとワークショップ参加者らの手により、まちに潜む物語を文庫目録にまとめる活動と紙芝居師がコラボレーション。参加型の紙芝居制作とまちなかでの口演を行った。(墨東まち見世2013 ちっち+木村健世と墨東文庫編集室《墨東文庫・街頭紙芝居編》)


絵描きの幸田千依が、寿町の簡易宿泊所に滞在しながら1ヶ月半に渡って滞在制作。自らツアーやオープンスタジオにも取り組み、活動を通して来訪者、地域住人と交流を深めた。(KOTOBUKIクリエイティブアクション2011 幸田千依《寿から絵を放つ》)

■ アートプロジェクトを一緒につくる仲間たちの出会いの場にもなればいい

——橋本さんはフリーのアートプロデューサーとしてマルチに活動されてきましたが、スクールマネージャーの及位(のぞき)友美さんを含むフリーランサーの3人でノマドプロダクションを立ち上げましたね。
ノマドプロダクションは、様々なプロジェクトの企画や編集などにフリーランスで関わっている人材のネットワークにより組織されています。昨年までは任意団体として活動していて、今年に入ってから一般社団法人化しました。及位は、演劇フェスティバルである「フェスティバル/トーキョー(F/T)」の中でも、アートプロジェクトの要素をもった作品を展開する高山明さんの制作に関わるなどの現場経験をもつメンバーです。

基本的に、アートマネジメントの仕事は一人ではできないものだと思います。一人だと小さな企画しかできないし、やはり視野が狭くなります。私たちも一つのプロジェクトをやる度にチームをつくりながら進めるかたちを試行錯誤していますが、やはりこの業界の人材不足を感じています。だから私たち自身にとっても言えることなのですが、この学校が、アートプロジェクトを一緒につくっていく仲間たちの出会いの場にもなればいいと思います。同じようなモチベーションを持った人が集まってくるだろうから、この場で一緒にコトを起こす人が見つかるかもしれない。そういった期待もあります。

——どのような受講生に来てほしいですか?
すでに自分の現場をもっていて、次のステップにどうにかいけないものかと思ってる人、現場で孤軍奮闘している人に来てほしいです。

もし、現場をもっていなくても、アートプロジェクトには何か可能性があるんじゃないかという予感をもっていて、いろんなものをとにかく知りたいという人も来ると面白いんじゃないかなと思います。現場のない方には、東京アートポイント計画の現場を紹介することができます。

講師を依頼したゲストの皆さんからも、自分が受講したいという声が出ていたりします。すでに経験値があって活躍している人ほど、自分が話せることは限られるから、むしろ様々な話を聞きに行きたいと言うんです。自分への戒めでもありますが、現場が忙しく時間がなくても、インプットや思考をするための機会はつくらなければいけないなと思います。

——橋本さん、ありがとうございました!

「思考と技術と対話の学校」は、多様なアートプロジェクトの現場経験をもつ橋本さん、及位さんの他、東京アートポイント計画のプログラムオフィサー、坂本有理、佐藤李青がスクールマネージャーとして受講生をサポートしていきます。【スクールマネージャーからのメッセージ】

「TOKYO ART RESEARCH LAB 思考と技術と対話の学校」の募集締切は6月1日(日)。
詳しくはこちらをご覧ください。
http://www.tarl.jp/cat_lesson/313.html

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