ACT取材ノート
東京都内各所でアーツカウンシル東京が展開する美術や音楽、演劇、伝統文化、地域アートプロジェクト、シンポジウムなど様々なプログラムのレポートをお届けします。
2019/03/28
千住の街を熱くしたインターナショナルなパーティー「フィリパピポ!! ザ・ファイナル」
足立区千住エリアで展開しているアートプロジェクト、「アートアクセスあだち 音まち千住の縁」。そのなかのひとつに、地域に住む外国人との交流を通して、彼らの暮らしや文化を紹介する「イミグレーション・ミュージアム・東京(IMM)」というプログラムがあります。
2019年2月16日(土)に行われた「フィリパピポ!! ザ・ファイナル」もIMMのイベントのひとつ。
今回はその様子をリポートします!
足立区は東京23区でいちばんフィリピン人の在住者数が多く、日曜になると、梅島にあるカトリック梅田教会にはたくさんの人が集まります。
IMMのメンバーがこの教会に通い、交流するなかで、インスピレーションを得て生まれたのが「フィリパピポ!!」。千住エリアなどで暮らす外国人と日本人が一緒になって楽しむ、フィリピン流パーティーです。
一昨年、昨年と2年連続で開催され、実は今回が最終回。会場の東京藝術大学の千住キャンパスのホールには、日本やフィリピンのみならず、さまざまな国籍の参加者・出演者たちが200名以上集まりました。
ドレスコードは、“キラキラしているもの or あなたが一番輝く服装”です。
会場にはステージが設置され、パーティーの間、ここでいろいろな演者のパフォーマンスが披露されます。
参加者は子供から大人までさまざま。ステージ前の観客席や飲食ブースなどで思い思いに過ごします。
そして、いよいよイベント本編がスタート!
歌にダンスにと、次々にパフォーマンスが繰り広げられ、観客の熱気があっという間に高まっていきました。
オープニングでは、千住ちんどん隊が楽しげな曲を奏でながら会場内を練り歩きました
高校1年生の堀川心くん(中央)が出演&プロデュースするショー
カトリック梅田教会に通うフィリピン人の有志メンバーは熱いダンスを披露しました
バラードを熱唱したアリューさん
ボーカロイドの曲を歌ったメゴミちゃんとマレミちゃん。ステージ脇のスクリーンではオリジナルのアニメーションが映し出されました
会場内のフード&ドリンクコーナーでは、ラオス料理やタピオカドリンクが振る舞われました。
メインステージでのパフォーマンスは続きます。
エチオピア・コミュニティを支援する「アデイアベバ・エチオピア協会」のメンバーによるダンスステージや、アムハラ語と日本語のラップなど、国際色豊かなラインナップ。
パーティーのMCを務める大学生、ジョバトさんが演者として登場し、オリジナルソングをギターで弾き語り
アデイアベバ・エチオピア協会やモカ・エチオピア・ダンスグループのメンバーなどで結成されたグループによるエチオピアの伝統的なダンスのパフォーマンス
アブドゥルさん(ABちゃん)(右)がエチオピアのアムハラ語で、アサコさん(中央)が日本語で、交互にラップを繰り出し、音楽家の岡野勇仁さん(左)が音楽を盛り上げます
ベトナムから日本に渡ったボートピープルを両親に持つラッパーのMC NAMが、自身の出自や阪神淡路大震災の経験から言葉をつむぎます
ダンス講師のSayaさんが自身の生徒と一緒にブラジルのダンス「アシェ」を踊ると、客席で観ていた人たちも立ち上がってダンス!
会場内ではフェイスペイントのコーナーもあり、子供たちが長い列をつくっていました
会場の真ん中で宇宙軒明星とパピポンズによる生歌での盆踊り「キラキラ江州音頭」が始まると、お立ち台を囲むように、観客たちが輪になって踊ります
チェコや韓国など、多国籍なルーツを持っているロックバンド「ザ・スパイシー」
フィナーレを飾ったのは、DJの昆野立さんによるディスコタイムです。
お立ち台には観客や演者が代わる代わる立ち、会場中が大盛り上がり。
その余韻が冷めぬままにイベントは幕を閉じました。
国籍や文化を超えてひとつになった新しいかたちのパーティー。いたるところで、居合わせた人同士がコミュニケーションをとっていたのが印象的です。
下町風情が残る人情の街・千住で、また多くの出会いが生まれた一夜でした。
イミグレーション・ミュージアム・東京「フィリパピポ!! ザ・ファイナル」
- 日程:2019年2月16日(土)17:00~20:00(17:30ステージ開始)
- 会場:東京藝術大学 千住キャンパス 第7ホール
- 主催:東京都、アーツカウンシル東京(公益財団法人東京都歴史文化財団)、東京藝術大学音楽学部・大学院国際芸術創造研究科、特定非営利活動法人音まち計画、足立区
- イベントページ:https://www.artscouncil-tokyo.jp/ja/events/33756/
撮影:YUKO CHIBA
取材・文:平林理奈