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アーツカウンシル東京ブログ

アーツカウンシル東京のスタッフや外部ライターなど様々な視点から、多様な事業を展開しているアーツカウンシル東京の姿をお届けします。

東京アートポイント計画通信

東京アートポイント計画は、地域社会を担うNPOとアートプロジェクトを共催することで、無数の「アートポイント」を生み出そうという取り組み。現場レポートやコラムをお届けします。

2019/06/10

新しい風を吹き込む拠点づくり―Artpoint Letterより

東京アートポイント計画では、毎月1回メールニュース「Artpoint Letter」を配信しています。
2019年5月号のメールニュースより、プログラムオフィサー・上地里佳の記事をご紹介します。


「さようなら、平成。こんにちは、令和。」

そんな言葉が飛び交った、4月末から5月初旬。

東京アートポイント計画の一つ「HAPPY TURN/神津島」では、平成から令和をまたいで展覧会『大工小屋を眺めてみる。』を開催し、現在、新しい拠点びらきに向けて準備が進んでいます。


展覧会『大工小屋を眺めてみる。』に集まる島の子供たち

昨年度から少しずつ、空き家を利活用した拠点づくりに取り組んできた「HAPPY TURN/神津島」。

島での場所探しや、大家さんとの交渉を経て、約10年前に閉店した中華料理屋「常吉亭(つねきちてい)」、大工を生業としていた大家さんの作業場所であった「大工小屋」、大家さん一家が暮らしていた「母屋」がひとつの敷地に隣接した場所に出合い、そこを活動拠点とすることが決まりました。

アートプロジェクトとして、活動拠点をどのようにつくっていくのか。そんな空間のつくりかた、プロジェクトの進め方をともに考えるパートナーとして、空間デザインユニット「岩沢兄弟」を迎えました。

新しい空間づくりに向けて、まず着手したのは、たくさんの物に溢れた「大工小屋」の整理整頓と建物を解体すること。(拠点整理のプロセスはブログにて紹介しています)

足の踏み場もないほど物が溢れていた大工小屋を片付けていくと、手書きの設計図や木材加工のための大型工作機械、30年前のカレンダーや大工日誌など、大家さんがどんな大工だったのか想像させる小さな痕跡との出合いがありました。

そこで、解体前の大工小屋がある風景を大工さんの仕事や暮らしの痕跡を辿りながら、みんなで眺めてみる時間をつくるために、展覧会『大工小屋を眺めてみる。』を開催することにしたのです。

いざ空間をひらいてみると、大家さんに家を建ててもらった人との出会いや、大工小屋から出てきた設計図に描かれている家のこと、また大家さんがどういった人だったのか、という会話が生まれていました。

『大工小屋を眺めてみる。』の終幕後、大工小屋はあっという間に解体が進んでいます。大きな建物がぽっかりなくなったことで、風が通り、あたらしい空気が流れはじめています。


解体中の大工小屋(写真:小野悠介)

“「さようなら」から、つぎがはじまる。”

いまも心に残る私の恩師のことばです。

初めて常吉亭の扉を開けた2018年6月13日から、もうすぐ1年。

2019年6月2日に「プレオープン」として、あたらしくなったこの拠点をまずはひらいてみることになりました。

おはよう、こんにちは、さようなら。

そんな挨拶が交わされる日常の延長線上で、いつもと違った視点で島を見つめ、自分なりの島との関わりかたを見つけるためにどんな仕掛けや工夫ができるのか。島の人や島外の人とも交流しながら、これからの島の暮らしや文化とつながる活動を生み出す拠点として育んでいきたいと思います。

拠点の名前とコンセプトについては、事務局メンバーと話し合いを重ねているところです。ですので、名前のお披露目はまた後日。

「さようなら、常吉亭。こんにちは、〇〇。」

今後の展開をどうかご期待ください。

HAPPY TURN/神津島

*東京アートポイント計画からのご案内

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