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現場に行ってみた!! 宮本篇

東京文化発信プロジェクトが行う様々なプログラムにライターの宮本が出向き、現場からお伝えします。アート、音楽、舞台、地域プロジェクト etc… 文化は会議室ではなく、現場で生まれている!

2014/12/04

東京・ベルリン友好都市提携20周年記念「文化の力・東京会議2014」レポート

11月7日(金)都庁都民ホールにて東京・ベルリン友好都市提携20周年記念「文化の力・東京会議2014」が行われ、芸術、文化関係者などを中心に約200名が参加しました。 4回目の開催となる今回のテーマは、「文化創造都市とフェスティバル」。会議は、2つの基調講演とパネルディスカッションの3部構成で行われ、当日の模様はUSTREAMでも生中継されました。

基調講演では、都市におけるフェスティバルの意義を取り上げ、ベルリン芸術祭総裁のトーマス・オーバーエンダーさんが「なぜフェスティバルなのか? その独自性と社会的文脈について」、横浜美術館館長の逢坂恵理子さんが「拡張する国際芸術祭-現代美術の可能性を読み解く」をテーマにそれぞれ講演。

オーバーエンダーさんは、時代の移り変わりとともにその時々にフェスティバルが果たしてきた役割や、フェスティバルが持つ様々な可能性について、「ベルリン芸術祭」やドイツ国内における文化政策や事業を例として紹介。


ベルリン芸術祭総裁の トーマス・オーバーエンダーさん

逢坂さんは、自身が組織委員会委員長を務める「横浜トリエンナーレ」の成り立ちから現在に至るまでの話を中心に、国際芸術祭の歴史と時代ごとの特色のほか、社会における芸術祭の役割、文化芸術の力で価値の異なる人々の共生を促すことができると提言しました。


横浜美術館館長で「横浜トリエンナーレ」組織委員会委員長も務める逢坂恵理子さん

パネルディスカッションには、ベルリン、ロンドン、ソウル、日本の各都市より専門家が参加。それぞれの活動事例を紹介し、文化創造都市とフェスティバルの在り方について約90分間ディスカッションしました。終盤には、2020年に開催される「東京オリンピック・パラリンピック」を契機に、日本の文化政策をどう盛り上げていくかについて、各都市の文化的な共通点を見出しながら意見を交換。

モデレーターの片山正夫さんが「国や世代を超えたネットワーク作りが必要」「東京一極集中を是正するために、全国でプログラムを開催する」「東京にある豊富な文化資源に、まず東京の人々が気づくべきである」など、オリンピック開催までに実現すべきことについて述べる一方で、バービカン・センターアーツ部門ディレクターのルイズ・ジェフリーズさんは、前回ロンドンオリンピック時の文化の果たした役割や現在のロンドンの状況を例に、オリンピック終了後を見据えた政策の必要性を語りました。

世界中から注目を浴び、自分たちの「国」を実感出来るタイミングである2020年東京オリンピック・パラリンピック。開催までに何が出来るか、開催後に何を残せるのか。今後の東京・日本において、それが大事なポイントになることは間違いありません。


(写真左から)
片山正夫さん、トーマス・オーバーエンダーさん、逢坂恵理子さん、コンラート・シュミット=ヴェルテルンさん、ルイーズ・ジェフリーズさん、橋本裕介さん、イム・ミヘさん、三好勝則さん

東京の文化の国際発信と国際ネットワーキングの強化は、今後より重要なものとなっていくことでしょう。世界中の各都市はもちろん、国内地域との連携を強めることで、より魅力ある文化創造都市「東京」を創り出すと共に、都市の新しい価値を創出することにつながっていくのではないでしょうか。

( photo by 斎藤巧一郎 )

■東京・ベルリン友好都市提携20周年記念「文化の力・東京会議2014」 文化創造都市とフェスティバル■
2014年11月7日(金)16時~19時45分 都庁都民ホール
[基調講演]
トーマス・オーバーエンダー(ベルリン芸術祭総裁)
逢坂恵理子(横浜美術館館長)
[パネルディスカッション]
ルイーズ・ジェフリーズ(バービカン・センター アーツ部門ディレクター)
イム・ミヘ(ソウル芸術文化財団 芸術教育チーム長)
橋本裕介(ロームシアター京都/KYOTO EXPERIMENT プログラムディレクター)
コンラート・シュミット=ヴェルテルン(ベルリン市文化部長)
三好勝則(アーツカウンシル東京<公益財団法人東京都歴史文化財団>機構長)
モデレーター:片山正夫(公益財団法人セゾン文化財団常務理事、東京芸術文化評議会専門委員)

※本会議の成果は、報告書としてまとめ、公式ウェブサイトにて公開される予定です。
http://www.bh-project.jp/search/tabid/338/Default.aspx

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