近年、障害者芸術に関する法整備が進むなど、アートが持つ包摂性に着目した活動への関心や需要が高まっています。
東京文化会館では、多様性のある共生社会の実現にむけて、より質の高いアート活動を展開できる機運醸成と課題提起を目指し、公開レクチャー&ディスカッションを開催いたします。各テーマに精通した第一人者や当事者を迎え、この領域における現状や課題を整理しながら、文化関係者がどのように向き合うべきなのか、どうしたらより質の高い活動が実施できるのか、模索していきます。
第2回は「音楽と認知症ケア」をテーマに取り上げます。
いまや認知症は私たちにとって身近な存在となりましたが、認知症に対してどのようなイメージを持っていますか。認知症になってからも、生活は続きます。認知症患者ご本人、そして家族や友人が長期化する認知症ケア「ロンググッバイ」を、少しでも豊かに過ごすために音楽が有効であるという研究結果も出てくるようになりました。
この公開レクチャー&ディスカッションでは、人生100年時代をより豊かに生きるために音楽や音楽を通じた社会参加の有効性を検討しながら、文化施設がどのような役割を果たせるのかを国内外の事例から検討します。
第1部 レクチャー&事例報告(20分)
音楽ワークショップと認知症ケアに関するレクチャー、そして英国、ノルウェー、オーストラリアでの実践例を報告いただきます。
第2部 公開ディスカッション(60分)
東京文化会館ミュージック・ワークショップを実施している高齢者施設の担当者を招き、高齢者施設での生活や一般的な活動を概観します。その後、音楽ワークショップを実施した体験や感想を伺いながら、音楽活動の可能性について公開ディスカッションを行います。
原真理子(はら・まりこ)
インランドノルウェー応用科学大学 研究員
認知症の祖母を介護した経験より、音楽による認知症ケア実践や研究に携わるようになる。在英中は、音楽社会学研究グループ(SocArts)に在籍し、認知症患者と介護者の音楽活動に関するエスノグラフィー調査を実施。ノルウェー移住後は、インランドノルウェー応用科学大学では音楽教育研究グループに在籍し、オスロを中心に活躍する移民音楽家のキャリア形成の調査研究に携わる。多文化社会、高齢化社会における音楽の役割に関心があり、現在はコロナ禍における多文化音楽活動の研究を行っている。英国エクセター大学社会学部博士後期課程修了。社会学博士。
野崎建治郎(のざき・けんじろう)
社会福祉法人足立邦栄会 足立ブロック事務長
2003 年足立邦栄会入職。生活相談員、介護支援専門員を経て現職。人材育成プロジェクトや法人20周年記念オンライン企画などで、高齢者施設・障害者施設での音楽ワークショップ導入のコーディネーターを務める。社会福祉士、ワークショップデザイナー。
中村美亜(なかむら・みあ)(モデレーター)
九州大学大学院芸術工学研究院 准教授
アートと社会の関わりについて研究。とくに多様な人たちが参加するアートの場の作り方、ファシリテーションの方法、芸術文化の価値と評価に関心がある。共編著に『“社会包摂×文化芸術”ハンドブック』シリーズ(九州大学ソーシャルアートラボ、2019, 2020, 2021)、『社会包摂につながるアート活動のためのガイドブック』(東京文化会館、2020)、『ソーシャルアートラボ』(水曜社、2018)、単著に『音楽をひらく』(水声社、2013)など。
音楽関係者、アーティスト、自治体・文化行政関係者、教育・社会福祉関係者、学生、研究者など
70名程度(事前申込制、先着順)
聴講無料
専用申込フォームよりお申込みください。
受付期間
2021年5月10日(月)~6月11日(金)
【注意事項】
※記録のための撮影および録画を行います。撮影した写真・動画は東京文化会館の報告書や広報物、SNS等で使用されます。予めご了承ください。
※やむを得ない事情により、内容が変更になる場合がございますので予めご了承ください。
東京文化会館 事業係
TEL:03-3828-2111(代表)