アーツカウンシル東京の事業

果てとチーク第六回本公演『くらいところからくるばけものはあかるくてみえない』

  • 団体名 : 果てとチーク
  • 区分 : 都内での創造活動
  • 助成タイプ : 単年
  • 分野 : 演劇

事業概要

本事業は、ジェンダーギャップ順位146か国中116位であるこの国の現実を、Jホラーの様式を用いた軽快な会話劇で戯画的に描いた作品である。カルト集団の巫女になり、性的暴行を受け殺された少女(福井夏)の復讐譚を通して、ミソジニーとミサンドリーの非対称性を露にし、また母胎信仰など、女性の“産む力”を神性と結び付け、客体化する手法を痛烈に批判した。今尚、日本社会に残るジェンダーステレオタイプによって、多数派には見えない地獄を生きる人々を、上野哲太郎、川村瑞樹、鈴木彩乃らが好演した。また、妊娠への圧力にストレスを感じ、スピリチュアルに傾倒する妻を林ちゑ、彼女を信仰の底なし沼に迎え入れるリーダーを川隅奈保子が怪演した。一見“よき夫”でありながら、他人の地獄を足蹴にして生きる夫を、佐藤英征、函波窓が高い解像度で演じきった。舞台美術はいとうすずらん、音響は櫻内憧海、照明を緒方稔記が担当し、場転が多く、シーンが次々と移り変わる本作の舞台に、説得力を持たせた。

プロフィール

【果てとチーク】
升味加耀が主宰する演劇ユニット。2016年留学先のベルリンで旗揚げ。ユニット名の由来は「ヘイト(hate)とホープ(hope)」。大きな世界とちっぽけな人々の絶望的に変わらない状況を、ありったけの憎しみと、ごくごく僅かな希望を込めて描きだす。神話や古典戯曲・都市伝説から材をとった、非現実的で極端な設定を用い、社会に遍在する透明化された差別や断絶を、登場人物の混乱や葛藤・ショッキングな結末を通して活写する。

お問い合わせ

果てとチーク
hatetohope15@gmail.com

実施場所

アトリエ春風舎(東京都板橋区)


※事業概要等の情報は、助成をしている団体及び個人より提供されています。