「カテゴリーI 単年助成 第2期」には120件の申請があり、審査の結果、45件を採択いたしました(採択率37.5%)。助成予定総額は67,525千円です。
≪音楽分野≫
◆申請件数(採択件数): 28(10)
内訳:都内での芸術創造活動25(9)
国際的な芸術交流活動3(1)
◆採択率:35.7%
増加し続けていた申請数が2年半ぶりに減少に転じ、前年比で55.5%となりました。申請数は変わりましたが、クラシック音楽の流れをくむ申請が約6割、ジャズやロックその他の申請が約4割と、ジャンルの分布に大きな変化は見られません。今回は特に、採択経験者に企画力の高い充実した事業が目立ったこともあり、採択経験者の採択率が上がりました。そのため「ベテランとして分野に影響を与える活動」と、「持続的な活動の成果が表れ始めている活動基盤形成期の活動」が多くを占めています。一方、採択に至らなかった申請には、地域の場づくりを目指す音楽公演、多くの人が楽しめることを目的とした普及事業が多く見られました。新しい芸術的価値の探求や新たなアプローチで活動内容のステップアップに取り組む事業のご申請に期待いたします。
《演劇分野》
◆申請件数(採択件数): 43(15)
内訳:都内での芸術創造活動38(10)
国際的な芸術交流活動5(5)
◆採択率:34.8%
申請件数は第2期として過去最多で前年同期比136%となりました。初申請は全体の50%で、活動基盤形成期の団体やスタートアップ助成を経験した団体の割合が第1期と比べて増加しています。復調傾向にある国際的な芸術交流活動を筆頭に高い採択率となりました。企画内容としては、演劇の枠組を拡張する実験的な創作手法への取組みや、海外の演劇フェスティバルへの参加を通じて世界の演劇シーンへのステップアップをはかる国際共同制作などの意欲的な活動の他、時代を映す社会問題と向き合う上演、これまでの活動を見つめ直し、新たに具体的な目標を掲げて創作体制の充実をはかる取組みなどが採択となっています。
≪舞踊分野≫
◆申請件数(採択件数): 8(3)
内訳:都内での芸術創造活動7(3)
国際的な芸術交流活動1(0)
◆採択率:37.5%
申請件数はこれまでの中で一番少ない件数でしたが、年間の申請合計数は昨年度と同数となり、第1期と第2期の偏りが顕著に現れた形となりました。申請ジャンルは、現代舞踊・コンテンポラリーダンスが8割、活動ステージ別では、活動拡大・発展期が6割以上を占めました。スタートアップ助成との併願申請が減少し、申請のすみ分けが定着しつつあると考えられます。採択件数は限られましたが、他ジャンルのアーティストとの共同制作で創作の幅を広げ観客層の拡大にも繋がる事業や、これまでのカンパニーの創作方法にユニークな手法を取り入れ、自らの創造活動の活性化を目標に据えた団体の発展が見込める事業を採択しました。今後の申請においては、多様な舞踊ジャンルや活動基盤形成期からの積極的なご申請、また劇場の枠にとらわれない発表形式等、ダンスシーンに新たな息吹をもたらす独創性の高い活動内容の申請を期待しています。
≪美術・映像分野≫
◆申請件数(採択件数): 17(6)
内訳:都内での芸術創造活動14(4)
国際的な芸術交流活動3(2)
◆採択率:20.6%
美術・映像分野では、国際的な芸術交流活動は団体2件が採択となりました。欧州を拠点とするアーティストを招聘し、リサーチを経て制作・発表する都内での事業も採択となり、比較的規模の大きな国際的な事業が回復してきていることがうかがえます。絵画、彫刻、写真、映像等に加え、工芸、デザイン、パフォーマンスアート、AI等、様々な表現に関わる申請がありましたが、中でも映画・映像の制作や上映の申請が個人・団体共に多く半数以上を占め、アーティストがその後の創造活動の糧とするような上映企画や、新たな女性表象に挑戦する企画、海外のキュレーターと協働して行う革新的な事業等が採択になりました。スタートアップ助成で採択された個人からの申請の活動も採択となり、継続的な活動の発展に期待しています。
《伝統芸能分野》
◆申請件数(採択件数): 7(5)
内訳:都内での芸術創造活動5(4)
国際的な芸術交流活動2(1)
◆採択率:71.4%
能楽、邦楽、現代邦楽、日本舞踊、人形劇などの種目から申請がありました。申請件数はこれまでになく少ないものの、申請者ならではの工夫のある事業が多く、採択率は高くなりました。採択となった申請者の多くが、新型コロナウイルス流行下において活動を途切れさせることなく掘り下げ、その成果が今回の申請事業に反映されている点が特徴です。また、スタートアップ助成の採択実績を経て、今期本助成に申請があった2件についてはいずれも採択となっています。一方、初申請は少なく、いずれも不採択の結果となりました。申請事業が当助成の対象にあたるかどうか、計画が練られているか、事業の意図が第三者に伝わるよう書かれているかなどを、申請書作成の際に検討いただくとともに、当係への事前問い合わせ、相談も活用なさってください。
≪複合≫
◆申請件数(採択件数): 17(6)
内訳:都内での芸術創造活動11(2)
国際的な芸術交流活動6(4)
◆採択率:35.2%
複合分野(核となる分野を特定できない活動)では、17件の申請があり6件が採択となっています。採択事業の内訳としては、都内での芸術創造活動での採択数が2件、国際的な芸術交流活動での採択が4件となっています。申請内容は多岐にわたりますが、採択事業としては、ドラム奏者・電子音楽家・舞踏家によるコラボレーション企画等を採択しています。申請事業の中には、分野横断的な事業であっても、事業内容に具体性がないため、採択には至らない企画もありました。今後も、芸術分野の枠を超えた創造的・独創的な企画であり、かつ活動内容に具体性のある申請を期待します。