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アーツカウンシル東京のスタッフや外部ライターなど様々な視点から、多様な事業を展開しているアーツカウンシル東京の姿をお届けします。

東京アートポイント計画通信

東京アートポイント計画は、地域社会を担うNPOとアートプロジェクトを共催することで、無数の「アートポイント」を生み出そうという取り組み。現場レポートやコラムをお届けします。

2015/12/25

東京アートポイント計画 活動報告会を開催! 成長を支える「仕組み」を考える

東京アートポイント計画 活動報告会を開催! 成長を支える「仕組み」を考える活動報告会では、各NPOの事務局メンバーがプレゼンテーション。

東京アートポイント計画 活動報告会を開催! 成長を支える「仕組み」を考える

2015年12月18日(金)、「東京アートポイント計画活動報告会」を開催しました。6月のキックオフ会から半年、それぞれどんな活動を実施し、何を生み出し、発見したのでしょうか。13事業の関係者が集まり、目標達成状況を共有しました。

▼平成27年度 東京アートポイント計画 共催事業とNPO

TERATOTERA(一般社団法人Ongoing)
としまアートステーション構想(一般社団法人オノコロ)
東京スープとブランケット紀行(一般社団法人指輪ホテル)
三原色〔ミハライロ〕(特定非営利活動法人kichi) ※遠隔地につき、発表は担当POから
長島確のつくりかた研究所:だれかのみたゆめ(一般社団法人ミクストメディア・プロダクト)
AKITEN (特定非営利活動法人AKITEN)
トッピングイースト(特定非営利活動法人トッピングイースト)
TOKYO FABBERS(FabCafe LLP)
Art Bridge Institute(特定非営利活動法人Art Bridge Institute)
東京迂回路研究(特定非営利活動法人 多様性と境界に関する対話と表現の研究所)
リライトプロジェクト(特定非営利活動法人インビジブル)
アートアクセスあだち 音まち千住の縁(特定非営利活動法人音まち計画)
小金井アートフル・アクション!(特定非営利活動法人アートフル・アクション)

東京アートポイント計画 活動報告会を開催! 成長を支える「仕組み」を考える東京アートポイント計画に関わるNPO、自治体、東京都、アーツカウンシル東京の関係者が集合。

guest ゲストコメンテーターとして、芹沢高志さん(P3 art and environment 統括ディレクター)、帆足亜紀さん(アート・コーディネーター/横浜トリエンナーレ組織委員会事務局プロジェクト・マネージャー)にお越しいただきました。

東京アートポイント計画 活動報告会を開催! 成長を支える「仕組み」を考えるアーツカウンシル東京・事業調整課長 / 東京アートポイント計画・ディレクターの森司。「東京アートポイント計画は、来るべき社会に応答するための活動です。これからも文化事業を通して、皆さんそれぞれのもつ新しい価値観を社会に提示しましょう」

「共催」だから、できること

東京アートポイント計画は、複数年にわたるアートプロジェクトを東京都およびアーツカウンシル東京と都内各地のNPOが共催し、プロジェクトと組織の両面の成長を支援する事業です(くわしくはこちら)。

NPOがプロジェクトの事務局を組織し、アーツカウンシル東京からはプログラムオフィサー(PO)が2名ずつ事業実施の伴走を担当。事業計画から、プログラムの企画運営、広報や会計も含め、アートプロジェクトの全てのプロセスを年間を通して一緒に進めて行く「共催」型事業として展開しています。

この手法は、アーツカウンシル東京の中でも、東京アートポイント計画独自のアプローチ。細やかなプロセスをとることで、成長過程の小さな組織や、実験的な事業企画も、公的文化事業の一環として開催することができます。

23212845184_344bb3c771_kアーツカウンシル東京のプログラムオフィサー(写真右:芦部)も、担当プロジェクトのフェーズや、成果、課題をそれぞれの視点で共有。

アートプロジェクトに「仕組み」をつくる

……と、説明すると、完成した取り組みのようですが、実際には様々な課題があります。

まず、まちなかを舞台にした「アートプロジェクト」という分野も、NPOという組織形態も、まだまだ歴史が浅く、手法や制度が整っているとは言いがたい状況であること。

そして、「東京アートポイント計画」は7年目を迎えましたが(※)、日々状況が変わる社会においては、事業の枠組みそのものも毎年改善する必要があります。わたしたちのチームが、アートプロジェクトに特化した人材育成と研究・開発の事業「Tokyo Art Research Lab」を並行して手がけているのは、そのような背景があります。
※2015年4月にアーツカウンシル東京と組織統合するまで、旧・東京文化発信プロジェクト室で実施

今回の活動報告会でも、嬉しい報告と同時に、大小さまざまな悩ましい課題が共有されました。報告会の改善も含め、「仕組み」から現場やチームを支えることが、わたしたち東京アートポイント計画・プログラムオフィサーの役割です。頑張らなくては!と、感じました。

表側は楽しく、柔らかく、華やかに。でも舞台裏ではしっかり考え、振り返り、成長できるように。東京に創造的な拠点(=アートポイント)をつくろうとしている全てのメンバーとひきつづき励んでいきます。

東京アートポイント計画に関する情報は、アーツカウンシル東京ウェブサイトのイベント情報で日々更新していますので、ぜひご覧くださいね。

東京アートポイント計画 活動報告会を開催! 成長を支える「仕組み」を考える

*活動報告会で共有されたプロジェクトの進捗状況(抜粋)

<人材育成・組織体制>
・アートプロジェクトを通した人材育成の進捗が順調(スタッフや、地域のサポートメンバー等)
・各プログラムに進行管理、PR、資金調達担当をつけたかったが、分業がまだできていない
・産休育休など、NPO内のメンバーの働き方に応じた柔軟なチーム編成ができた
・これまでのワンマン体制を見直し、チームで動ける編成に挑戦した

<事業・企画>
・アーツカウンシル東京負担金以外のファンドレイジング(助成金、クラウドファンディング、企業協賛)などに成功した
・東京アートポイント計画の共催事業とNPOの自主事業を上手に連携させることができた
・ニッチなテーマだが、深い共感を抱くコラボレーターが着実に増えている
・トークやフォーラムからメディアをつくり、メディアから関係性をつくり、そこからプログラムが生まれるというユニークな循環型プロジェクトのモデルができた

<地域連携>
・区役所や介護福祉施設など地域の公共施設を巻き込んだ企画が進んでいる
・市民中心の場づくり・企画づくりが始動している
・今までの活動を誰もがつかえる仕組みに開くことに挑戦した結果、地域から協力提案を受けた
・地域のボランティアスタッフを150名まきこんだプログラムを実施できた

<情報発信>

・事業コンセプトが伝わりにくいとの声があり、情報発信に一層の努力が必要
・通年で編集/ライターに関わってもらったことで情報発信力があがった
・多様なプログラムを記録し、アーカイブしていく仕組みが確立してきた

*ゲストからの総括コメント(抜粋)

芹沢高志さん(P3 art and environment 統括ディレクター)

「東京アートポイント計画の活動は、初期から長く見ているけれど、とにかく多様ですね。定着して地域に浸透しているプロジェクトもあれば、何だかまだわからないけれどワクワクするようなプロジェクトもある。その多様さが面白さでもあります。東京都内でこれだけの時間をかけて、本当に何かが起こり出しているなという感じで、他地域のプロジェクトと比較すると羨ましい。まちなかで、活動をしている人が着実に増えている印象です。きっと、東京アートポイント計画が開拓してきたテイストや、チームに影響されて、同じような活動が周辺にも増えているのではないでしょうか。まちで何かをはじめようとするときに、この資産があることは非常に心強いと感じます」

帆足亜紀さん(アート・コーディネーター/横浜トリエンナーレ組織委員会事務局プロジェクト・マネージャー)

「政治家の選挙活動には3つのバンが必要だと言われていますが、アートプロジェクトにも似たようなバンが必要だと感じています。『ジバン(地盤=業界・労組・後援会のような力のある組織)』改め『コミュニティの支持と組織力』、カンバン(看板=知名度)改め『発信力』、そして、『カバン(鞄=資金)』改め『交換可能な価値(資金とアイデア)』。これらのバランスを考えながら成長していくのだろうなと感じました。難しいテーマに挑戦する事業もあれば、コミュニティに根付くことを目的とした事業、また、組織が継続していくことで複数年かけて価値を出している事業もありますね。東京アートポイント計画のラインアップはプロジェクト名やコンセプトが概念的だったり詩的だったり、『とても東京的』。ジャンル名(美術、演劇、音楽など)や形式(展覧会、ワークショップなど)を明示しないところに『東京らしさ』と『東京だからこそできる』チャレンジが感じられます」

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*東京アートポイント計画からのご案内

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