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アーツカウンシル東京ブログ

アーツカウンシル東京のスタッフや外部ライターなど様々な視点から、多様な事業を展開しているアーツカウンシル東京の姿をお届けします。

ACT取材ノート

東京都内各所でアーツカウンシル東京が展開する美術、音楽、演劇、伝統文化、地域アートプロジェクトなど様々なプログラムを外部ライターが取材し、現場の様子をお届けする取材日記です。

2017/01/10

八王子エリアにて開催「伝承のたまてばこ~多摩伝統文化フェスティバル2016~」多摩の伝統文化・芸能を街なかで体験

2016年11月26日(土)・27日(日)に、八王子駅周辺の街中を中心に「伝承のたまてばこ〜多摩伝統文化フェスティバル2016〜」(以下、伝承のたまてばこ)が開催されました。

アーツカウンシル東京、八王子市と公益財団法人八王子市学園都市文化ふれあい財団が主催する同イベントは、東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会から「東京2020公認オリンピアード」に承認された事業で、駅前の商店街を中心に、神社仏閣や講堂、工房など7つの会場で実施されました。そのうち5つの会場では、八王子を含む多摩地域に根付いたお囃子や地芝居などが披露されました。

今年度が初開催だった「伝承のたまてばこ」。今回は、26日(土)の賑わいの様子をお届けします。

秋川歌舞伎の役者たちと八王子芸妓衆のお練り(おねり)

八王子駅北口を出たところにある「西放射線ユーロード」という商店街では、多くのプログラムが開催されました。

この日、「ユーロード」では秋川歌舞伎という地元の人々によって継承されてきた地芝居の出演者たちと、八王子芸妓衆によるお練りがそれぞれ1回ずつ行われました。

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道行く人は、突然商店街の真ん中に人力車の一行が現れ、少し驚いていた様子。けれど、「よっ、日本一!」などの掛け声が飛ぶなど、すぐに和やかな雰囲気に。カメラを構えている人々が一気に集まり、華々しい役者や芸妓たちの撮影を楽しんでいました。

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ちなみに、お練りを気っ風よく引っ張っていたこちらの男性は、ふだんは八王子市内で料理屋を営むご主人とのこと。
お店の営業と並行して、12年間人力車を引いているそうです。浅草から来た人力車陣営を率いてゆっくりと歩を進める姿に、地元の人から「よっ!」と声をかけられる姿も見られました。

中町公園で伝統芸能に触れる

途中、「ユーロード」内の少し開けた中町公園に設けられた特設ステージでは、数々の演奏や踊りなどが披露されます。

町田市の無形文化財「三ッ目囃子(みつめばやし)」

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午前中は、町田市の無形民族文化財に指定されている「三ッ目囃子(みつめばやし)」が披露されました。このお囃子は幕末の頃から地元の人々によって受け継がれてきたものです。

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子供たちでも比較的分かりやすい振付だったためか、踊り手を見ながら手を動かしている子供も。軽快なお囃子を聞きつけ、足を止める大人たちの姿も多く見られました。

八王子芸妓衆の華と粋

午後には、お練りを終えた八王子芸妓衆が華々しく舞台へ登場。

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中町公園のすぐ近くに黒塀通りという風情のあるエリアがあり、実はここが東京都内23区以外で唯一の花街。若手を含めた現役の芸妓衆19人が、日々唄や踊りの稽古を行っています。

一時は衰退の道を辿るかと思われた花柳界ですが、今では街にとっても大切な存在。品格もありつつ、表情豊かな踊りに、観客たちはうっとりと見とれているようでした。

地元の人々で手作りし続け110年。無形民俗文化財の秋川歌舞伎

「ユーロード」の最終地点にある横山町公園の屋外ステージでは、110年の歴史を誇る秋川歌舞伎の演目「三人吉三巴白浪(さんにんきちさともえのしらなみ)」が行われました。

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お嬢吉三(おじょう きちさ)、和尚吉三(おしょう きちさ)、お坊吉三(おぼう きちさ)という同じ名前を持つ盗賊が初めて出会う名場面。

秋川歌舞伎は、衣装や美術もほぼ地元の方々で手作りをしてきた、地域に根付く地芝居。現在は小学生から退職後のお年寄りも含めた約90人で、秋川歌舞伎を継承しています。

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見得を切ったり、お芝居の見せ場になったりすると、観客からはお菓子のおひねりが投げ入れられ、盛り上がりを見せていました。

約170年の歴史を誇る「八王子車人形」

八王子駅周辺から少し離れたところにも、「伝承のたまてばこ」の会場は設置されています。駅から徒歩10分ほどの距離にある八幡八雲神社の神楽殿では、約170年の歴史を持つ車人形の「三番叟(さんばそう)」「東海道中膝栗毛―赤坂並木から卵塔場の段」の2演目が行われていました。

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車人形は人形遣いがろくろ車に腰掛け、1体の人形を操ります。同じ人形を使ったお芝居でも、3人で1体の人形を操る文楽とはまた違い、動きがダイナミックでどこかかわいらしくも見えます。

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今回の演目は、八王子車人形の継承と発展を170年守り続けてきた、八王子車人形西川古柳座によるもの。西川古柳座は世界各国での上演実績もあり、神楽殿にも外国人観光客が訪れ、お芝居を楽しんでいました。

日本の職人技術を体験!「和・染物体験」

八幡八雲神社から更に10分ほど歩いたところでは、参加者が伝統技術を体験できるプログラムもありました。

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染色家として指折りの名人である藤本義和さんは、八王子出身。そんな藤本さんの「藤本染工芸」の工房では、ランチョンマット、ハンカチ、トートバッグを、自分の選んだ好きな型と色で染めていく「型染め」体験が行われました。

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今回は、型紙から直接染料を乗せて染めていく方法と、型紙を使って糊をつけたものに色差しをし、水洗いして乾燥させて仕上げる方法の2通りを選ぶことができます。

こちらの女性は、後者を選んで体験。刷毛で思い思いに染色をしたら、水洗いをして糊を落とし、アイロンをかけたらできあがり。世界に一つだけしかない、一点物の作品の完成です。

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親子で参加したという、こちらのお二人は、お母様が八王子出身とのこと。娘さんは藤本さんにも「色使いのセンスがあるね!」とお墨付きをいただいていました。

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地域が誇る伝統芸能を、街の方々自身の手で伝えていく「伝承のたまてばこ」。多くの来場者で賑わった会場、市外に住む人はもちろん、八王子で暮らす人々が地元の魅力を見つめるきっかけにもなったのではないでしょうか。


イベント詳細

  • 開催日:2016年11月26日(土)10:00〜17:30、27日(日)10:00〜17:00
  • 開催場所:JR八王子駅周辺(西放射線ユーロード、中町公園、横山町公園、八幡八雲神社、八王子繊維貿易館、藤本染工芸、福傳寺 ほか)
  • 主催:アーツカウンシル東京(公益財団法人東京都歴史文化財団)、八王子市、公益財団法人八王子市学園都市文化ふれあい財団
  • ウェブサイト:https://www.artscouncil-tokyo.jp/ja/events/13674/

写真:鈴木穣蔵
取材・文:立花実咲

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