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ACT取材ノート

東京都内各所でアーツカウンシル東京が展開する美術や音楽、演劇、伝統文化、地域アートプロジェクト、シンポジウムなど様々なプログラムのレポートをお届けします。

2017/02/28

清澄白河にアーティストたちが集合! 「MOTサテライト 2017春 往来往来」初開催

東京都現代美術館が建つ清澄白河エリア。美術館が長期休館中に、アーティストたちが町中の様々な場所で作品を発表する「MOTサテライト」が、2017年2月11日(土・祝)から開催されています。

会期は、3月20日(月・祝)まで。旧駄菓子屋や旧印刷所、作家自身のアトリエなど清澄白河駅から徒歩圏内の会場で、それぞれの作品に触れることができます。

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初開催となる今回のイベントコンセプトは「往来往来(おうらいおうらい)」。松尾芭蕉が暮らした地域でもあり、また東北や北陸へ旅した紀行文「おくのほそ道」のスタート地点でもあります。古くからの生活文化を引き継ぎつつ、現代の暮らしに即したお店や人の暮らしが共存する清澄白河エリアで、アートを通して新しい往来へ旅立つイメージを重ね、このコンセプトが設けられました。

また、当イベントには、休館中の東京都現代美術館から作品が町へ飛び出し地域の人々と作り上げることで、作品や町の魅力を再発掘する思いも込められています。

清澄白河で開催!「MOT サテライト」

「MOTサテライト」は以下のような形式で作品が展示されています。

町工場跡地や地域拠点を舞台にした7か所の「MOTスペース」

清澄白河エリアで空き家となっていた場所やギャラリー、店舗などを使ったインスタレーションや絵画などの展示が行われている「MOTスペース」。こちらは地域に7か所設けられており、空間全体を使ったパフォーマンスや作品展示が行われています。

  1. 旧駄菓子屋:mi-ri meter
  2. グランチェスター・ハウス:吉増剛造プロジェクト
  3. 深川資料館通り商店街協同組合事務所:佐野文彦
  4. 赤い庇の旧印刷所:松江泰治、花代
  5. F邸:毛利悠子
  6. 平野の旧印刷所:飯山由貴+remo[NPO法人記録と表現とメディアのための組織]
  7. リトルトーキョー:クサナギシンペイ

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画家・クサナギシンペイさんの作品たちは、複合施設「リトルトーキョー」内で展示されている

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地元の方々に借りて集めた3家族の8ミリフィルムを用いたインスタレーションを展示する、飯山由貴さんとremo[NPO法人記録と表現とメディアのための組織]の作品『旧印刷所|あとを追う PLAY A RECORD|顔』

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飯山由貴さんは、フィルム提供者にオファーをし『顔』という映像作品を制作。作中には、剃ったヒゲの粉末を集めて砂絵のように家族の似顔絵を作る、ユニークな男性も登場する。

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毛利悠子さんの作品『F邸のためのいくつかの作品』。コードの束と意味深に置かれたフラスコ。奥の真っ暗な部屋では、時折鉄琴が鳴る。観客側からは配線がどう繋がっているのか、なぜ鉄琴がなるのか仕組みが見えない不思議なインスタレーション。

清澄白河のカフェや店舗で作品を楽しむ20か所の「MOTスポット」

一方「MOTスポット」は、営業中の商店や文化施設に展示されている作品を見ることができます。日常風景に溶け込んだアーティストたちの作品は、清澄白河エリアに眠る歴史的背景を教えてくれます。

  1. 精米店、カフェ、本屋、お寺など計17か所:カニエ・ナハ+大原大次郎
  2. アライズ コーヒーロースターズ:クサナギシンペイ
  3. 江東区深川江戸資料館:ごはん同盟
  4. Coci la elle(コシラエル)アトリエ:ひがしちか

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ごはん同盟さんの『深川蔵屋敷弁当』。江戸時代の深川はかつて蔵屋敷が集まっていた地域で、各地の商人たちが行き交っていたことからヒントを得た。残念ながら食べられないが、この一折からかつての町の活気を感じることができる

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清澄白河在住の詩人カニエ・ナハさんの作った詩にデザイナーの大原大次郎さんがタイポグラフィックを手がけた作品『旅人ハ蛙、見えない川ノ漣』

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清澄白河エリアの様々な「MOTスポット」に暖簾がかかっている

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どこにかかっているかは会場で配布されているマップをチェック

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日傘作家のひがしちかさんのアトリエでは一点もののカラフルな傘たちが並ぶ

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今回の「MOTサテライト」では、傘をデザインする際にひがしさんがイメージした、傘の性格やキャラクターを絵本形式で見ることができる

他にも様々なプロジェクトが満載

また、MOTサテライト会期中は、展示作品だけでなく様々なトークイベントやワークショップなども開催されます。

関連イベントの今後の開催予定(一部)

(1)カニエ・ナハ「詩と本のワークショップ」
装幀家でもある詩人・カニエ・ナハによる詩集作りのワークショップ。
開催日時:2017年3月4日(土)14:00〜16:00
会場:江東区立深川図書館3Fホール
定員:15名(整理券制)

(2)参加作家による連続トーク
2017年3月5日(日)14:00〜16:00 松江泰治、クサナギシンペイ、毛利悠子
2017年3月12日(日)14:00〜16:00 飯山由貴+remo、mi-ri meter
2017年3月20日(月・祝)14:00〜16:00 吉増剛造、カニエ・ナハ、花代、ひがしちか
会場:三好地区集会所(MOTスペース4の北へ二軒隣)
定員:40名(先着順)

(3)remo読み歩きクルーズ「あの日の”あとを追う”-記録すること、残すこと-」
8mmフィルムのアーカイブを行うremoと、記録と記憶に残された界隈を歩きます。
開催日時:2017年3月11日(土)13:30〜16:30
会場:MOTスペース6(平野の旧印刷所)
定員:10名程度(整理券制)

また、今回のイベントに合わせてカニエ・ナハさん書き下ろしの詩の朗読や参加アーティストの一人である吉増剛造さんの声、町の人のインタビューなどを流す架空のラジオ番組も配信されています。『ラジオ往来往来』はこちらから、またはエリア内の視聴スポットで体験できます。

MOTサテライトで清澄白河エリアの今昔に触れよう

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歩いているだけで昔からある看板や平屋などを見ることができ、経年の味わいを感じられる清澄白河エリア。アーティストたちの作品はもちろん、町の雰囲気や人々を通して、より地域の歴史を身近に感じられるかもしれません。

春めいてきて、外出がより一層楽しくなるこの季節。下町風情あふれる清澄白河エリアへ、ぜひお出かけしてみてくださいね。


イベント詳細

  • 開催日: 2017年2月11日(土・祝)〜3月20日(月・祝)
  • 開催場所:清澄白河エリアの各所
  • 主催:東京都、東京都現代美術館・アーツカウンシル東京(公益財団法人東京都歴史文化財団)
  • 協力:深川資料館通り商店街協同組合、江東区深川江戸資料館 ほか
  • ウェブサイト:https://www.artscouncil-tokyo.jp/ja/events/16568/

写真:鈴木穣蔵
取材・文:立花実咲

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