ACT取材ノート
東京都内各所でアーツカウンシル東京が展開する美術や音楽、演劇、伝統文化、地域アートプロジェクト、シンポジウムなど様々なプログラムのレポートをお届けします。
2017/11/20
子供から大人まで、みんなが一緒に音で遊ぶ「アンサンブルズ東京」【本番編】
2017年10月15日(日)、プロの音楽家と一般の人が一緒につくり上げる音楽フェスティバル「アンサンブルズ東京」が開催されました。
取材チームは、前日に行われた大友良英さんのワークショップに参加。果たして本番はどんなステージになるのでしょうか?
あいにくの天気にも負けない盛り上がりを見せたその様子をレポートします。
パレードで幕開け
今年の開催地は東京タワー。会場を彩るのは、事前ワークショップで一般の方たちが持ち寄って縫い合わせた毎年恒例の「大風呂敷」です。色とりどりの布が地面に敷かれ、頭上にはプロジェクトFUKUSHIMA!とワークショップ参加者が作り上げた吹き流しがはためいています。
「アンサンブルズ東京」の幕開けを飾ったのは、ワークショップ参加者たちによるパレード。大友さんチームは、約100名がさまざまな楽器や“音の出るもの”を手に、「あまちゃん」のオープニングテーマを演奏しながら館内を練り歩きます。
居合わせた観光客たちは突然現れたパレードに驚きながらも、大迫力の演奏に拍手を送っていました。
パーカッションだけで奏でるリズム・アンサンブル
続いてステージでは、ドラマー・芳垣安洋さんと打楽器集団・Orquesta Nudge!Nudge!による演奏が始まりました。
一般参加者40名ほどが、打楽器や音の出るものを持ち寄って参加したこのプログラム。さまざまな音色が混じり合い、アドリブも交えながらリズム・アンサンブルが繰り広げられます。
いっせいに空きビンを吹いて音を出すパフォーマンスも
夕暮れに響く歌声
続いては、ミュージシャン・坂本美雨さんと聖歌隊・CANTUSのステージ。
「声だけのオーケストラ」がテーマで、声を楽器代わりにしてハーモニーを響かせます。白いコスチュームに身を包んだ子供から大人まで約30名の一般の方もコーラスとして参加し、童謡『ふるさと』などを披露。夕暮れ時の薄明かりのなか、観客たちは美しい歌声にじっと耳を傾けます。
空と地に共鳴する音に、心が鎮まっていく
急遽、ステージではなく客席に降りて行われたミュージシャン・UAさんと医師・稲葉俊郎さんのプログラムでは、神秘的な雰囲気が会場を包み込みました。
参加者が輪になって、ゆったりと声を出したり、踊ったり。発する音は「あ」「い」「う」「え」「お」の母音だけで、さながら「歌になる前の歌」という印象です。
その心地よさからか、引き寄せられるように来場者も輪の中に。原始的な音楽をイメージさせるような光景でした。
ラストを飾る100名のビッグバンド
最後は、ついに大友さんチームの出番! 「大友良英スペシャルビッグバンド」と100名を超える一般参加者という、この日いちばんの大所帯でのステージです。
前日のワークショップには参加したものの、本番の舞台には立たずに客席で見守っていた筆者。前日いっしょにワークショップを行ったメンバーたちの晴れ姿に、開演前からドキドキしていました。
まずは、観客からのリクエストに応えるかたちで「あまちゃん」のオープニングテーマを披露。出演者も会場も一気に盛り上がります。
最前列に並んで演奏する子供たちも、指揮をとる大友さんもとっても楽しそう。
ライトアップされた東京タワーの下で聴く荘厳な『悲しくてやりきれない』は、感動的でグッときてしまいました。
その後も、アドリブを交えながら演奏は続きます。
大盛況のうちに、約40分間のステージは幕を閉じました。
そして同時に、今年のアンサンブルズ東京も閉演。最後は出演者・来場者みんなで大風呂敷を片づけ、たっぷりと余韻に浸りながら会場を後にしました。
観客として観るのも楽しいけれど、参加するともっと楽しいアンサンブルズ東京。今回はステージに立てなかったので、来年はかならずリベンジしたいと思います!
アンサンブルズ東京
- 日程:2017年10月15日(日)
- 会場:東京タワー 正面玄関前エリア、南側駐車場 など
- 主催:アーツカウンシル東京(公益財団法人東京都歴史文化財団)、アンサンブルズ東京実行委員会【ピースリーマネジメント有限会社、特定非営利活動法人大丸有エリアマネジメント協会、株式会社文化放送】
- 助成・協力:東京都
- 後援:港区
- 協力:株式会社三陽商会、東京タワー、公益財団法人日本デザイン振興会、レッドブル・スタジオ東京
- アンサンブルズ東京:https://www.artscouncil-tokyo.jp/ja/events/20952/
撮影:藤田慎一郎
取材・文:平林理奈