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ACT取材ノート

東京都内各所でアーツカウンシル東京が展開する美術や音楽、演劇、伝統文化、地域アートプロジェクト、シンポジウムなど様々なプログラムのレポートをお届けします。

2017/12/07

上野の歴史と魅力をアートで伝える「TOKYO数寄フェス2017」

1876年、日本初の公園として上野恩賜公園が誕生し、それ以来博物館や美術館、芸術大学、動物園などの文化施設が集まり発展してきた上野エリア。
2017年11月10日(金)から11月19日(日)の10日間にわたって、この街を舞台にアートの祭典「TOKYO数寄フェス2017」が開催されました。

取材チームが訪れたのは、秋晴れとなった11月11日(土)。たくさんの人でにぎわった会場の様子をお伝えします。

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最初に訪れたのは、不忍池のほとり。
アーティストの日比野克彦さん、人類学者の海部陽介さん、自らつくった葦舟での航海をライフワークとしている探検家の石川仁さんの3人が、ここに「上野造船所」をつくりました。

会期中は一般の方が参加し、日比野さんがデザインした葦舟『TANeFUNe』を石川さんのレクチャーのもとで制作するワークショップを開催。最終日には、実際に舟を不忍池へ浮かべるそうです。
この日はワークショップ2日目でしたが、早くも舟底の一部がかたちづくられていました。できあがりが楽しみです!

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会場では、一般の方が自由に参加し、小さな舟をつくるワークショップも開かれていました。
材料となるのは、葦やスタッフが上野公園で集めた木の枝や落ち葉。子供たちが夢中になって、オリジナリティあふれる舟をつくりあげます。

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取材チームは次に、上野公園の噴水前広場に移動しました。

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噴水池に浮かぶように建つ高さ約14mのインスタレーションは、アーティスト・大巻伸嗣さんの作品。
上野公園ができる前、この一帯には寛永寺の仏閣が建ち並んでいました。その寛永寺の山門である「文殊楼」をモチーフにしたのが、今回の作品「プラネテス -私が生きたようにそれらも生き、私がいなくなったようにそれらもいなくなった-」です。

時代が変わり、街の様子もさま変わりした現代に呼び起こされた土地の「記憶」。ふだんとは違う風景を、たくさんの人たちが足を止めて眺めていました。

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こちらは、同じく噴水広場の「ティーテイスターフォレスト」。アーティストの橋本和幸さんと伊藤園がコラボレーションした、開放的な空間でお茶の魅力を楽しめるプログラムです。

自転車でひく移動式住居&茶室は、橋本さんが最近取り組んでいる作品。その展示とともに、来場者に温かいお茶がふるまわれました。

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移動式住居の内部。壁には、これまでの旅の思い出が詰まっています。小窓からは大巻伸嗣さんの作品が見えました。

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橋本さんの東京藝術大学での教え子がつくったという移動式茶室も展示。内部にはなんと掘りごたつが!

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東京藝術大学の学生が制作した藝祭御輿の展示も!

続いては谷中エリアに移動。谷中アートプロジェクト「The Whole and The Part / 全体と部分」として、東京藝術大学とパリの国立高等美術学校の学生が、街なかにある古民家で展示を行いました。

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風情ある古民家の空間に寄り添うような作品の数々は、学生たちが谷中に1ヶ月間滞在して制作したもの。空間と作品とが共鳴し合い、心地よい空気を生み出していました。

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最後はふたたび上野公園の噴水広場へ。
夜の闇に、山門が亡霊のように浮かび上がり、なんとも幻想的な光景が広がります。

街の歴史を生かした作品によって、見慣れた街が見せたいつもと違う顔。散策しながらめぐるアートは上野の魅力をさらに深め、この街をもっと好きにさせてくれました。


TOKYO数寄フェス2017

  • 日程:2017年11月10日(金)〜19日(日)
  • 会場:上野恩賜公園(不忍池一帯、噴水前広場 ほか)、東京国立博物館、東京都美術館、東京文化会館、谷中地域 ほか
  • 主催:上野「文化の杜」新構想実行委員会、アーツカウンシル東京(公益財団法人東京都歴史文化財団)
  • 「TOKYO数寄フェス2017」イベントページ:https://www.artscouncil-tokyo.jp/ja/events/22760/

撮影:鈴木穣蔵
取材・文:平林理奈

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