“もりりゅう”のアー(ッ)ト驚く、ためになる通信
アーツカウンシル東京 企画室広報調整担当課長、森隆一郎がアーツカウンシル東京の事業やアートにまつわる様々な現場を訪ね、「アー(ッ)ト」驚いたポイントやこれはためになるな、と感じたことなどを記してゆきます。あぁ、世代がわかりますよね。アーっと驚くタメゴロウ…
2017/12/22
社会のイノベーションは「文化力」で!
Photo: Hubble Uncovers a Mysterious Hermit Image credit: NASA/ESA CC-BY2.0
いよいよ年の瀬ですね。
今日は、今年のARTS界(そんな言葉あるのか?)を振り返って気になった言葉などを紹介したいと思います。
■全国各地で芸術祭が活発に
横浜トリエンナーレ、札幌国際芸術祭、リボーン・アートフェスティバル(宮城県石巻・牡鹿半島)、北アルプス国際芸術祭、奥能登国際芸術祭、種子島宇宙芸術祭などなど様々な芸術祭が行われました。
上記の北アルプスや奥能登の他にも、大地の芸術祭などの芸術祭などのディレクターとしても知られる北川フラムさんのインタビュー 東京新聞記事(2017年10月14日)から引用
高齢化、過疎化した地域に、アートは「効く」んです。二〇一〇年にスタートした「瀬戸内国際芸術祭」の総合ディレクターもしていますが、毎回百万人が訪れる世界的にも珍しい芸術祭になりました。瀬戸内海の男木(おぎ)島では休校の小学校が復活し、小豆島には近年、年間でおよそ四百人が移住しています。
こういう、国際芸術祭ってトリエンナーレといって3年に一回行うものが多いんですね。で、今2017年ですから、次の開催はと言うと、2020年なんですよ。他には埼玉トリエンナーレも2020年に開催すると先日発表していました。
さて、百花繚乱、とても素晴らしいし、業界人としてはたくさん現場があることはありがたいことでもあるんですが、一過性のお祭りに終わってしまうととても残念です。そうならないために、というか、国としてもしっかりと継続的に文化力を活かしていこうということで、今年、法律が改正されました。
■文化芸術基本法の改正〜芸術文化の横串を指す力が明記
この法律では、芸術文化の力を、社会の様々な分野で活かしていくことが明記されました。例えば、福祉、医療、など、他にも観光、まちづくり、教育などなど。それぞれの分野の連携を文化が牽引していくんだということが書かれています。
そこで、気になる言葉を(手前味噌ではありますが)アーツカウンシル東京のブログから引用してみます。
若林朋子さんのACTブログ「見聞日常」(2017年9月16日)より
大変なのはこれからだ。今後、幅広い領域と協働して文化政策を進めていくためには、相手の土俵でも通用する言語やロジック、そして、「手段」として消費されない芸術や文化の本質的な強度が今よりもさらに問われるだろう
社会に横串を指す、といったところで、本当に力がある表現でなければ、人の心は動きませんよね。「文化」を提供する私達こそ、まずはしっかり鍛えていきましょうという言葉として、肝に銘じておきたいと思います。
■「イノベーション」は文化を基軸に
さて、社会変革に芸術や文化の力を活用していくというときに、私達アーツカウンシル東京には原点になる言葉があります。
福原義春さん(資生堂名誉会長)ACT「コラム&インタビュー」から
「アーツカウンシル東京の発足にあたり 東京芸術文化評議会会長 福原義春氏講演より」(2013年1月27日)
私は本来、企業経営者ですが、これからの社会における企業のあり方を模索しているうちに、文化を基軸にして企業を変革しなければならないと思うようになりました。
企業経営に必要な要素として考えられてきたヒト・モノ・カネに、もう一つ「文化」というものを第四の要素として加え、拡大再生産が可能なストックとして文化をとらえる、「文化資本経営」を提唱してきました
文化を基軸としたイノベーションは、非営利の組織づくりや地域政策などにも応用できるのではないか、この考えで、企業だけでなく社会全体を変革できるのではないだろうかと思うようになったわけです
世の中、イノベーション流行りというか、何かというとイノベーションな気がします。働き方改革、インバウンド、AI社会、などなど、時代が大きく動いています。イノベーションには新たな視点が不可欠ですが、それこそ「ARTS」の得意技です。
ということで、1年の締めくくり的に福原さんのお言葉、いただきました。
冬休み、アーツカウンシル東京のブログやコラムを読んでイノベーション力を鍛えてください!
メリークリスマス!