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アーツカウンシル東京ブログ

アーツカウンシル東京のスタッフや外部ライターなど様々な視点から、多様な事業を展開しているアーツカウンシル東京の姿をお届けします。

ACT取材ノート

東京都内各所でアーツカウンシル東京が展開する美術や音楽、演劇、伝統文化、地域アートプロジェクト、シンポジウムなど様々なプログラムのレポートをお届けします。

2018/03/23

音で世界を旅する。子供も大人もはしゃいだ「ほくさい音楽博」

東東京エリアを舞台に、さまざまな参加型の音楽イベントを行っている「東京アートポイント計画」のプロジェクト、「トッピングイースト」。2018年2月18日(日)、その一環として「ほくさい音楽博」が開催されました。

会場は、両国駅近くにあるお寺、回向院とその周辺会場です。
国内外で名をはせた葛飾北斎に尊敬の念を込めて、彼の生誕地であるこの地域の子供たちに、世界中の音楽に触れてもらうこのイベント。「小さな好奇心をもち続け、いつか葛飾北斎のように羽ばたき、世界に影響を与える存在になっていってほしい」という想いが込められています。

小学生による演奏会のほか、来場した子供たちが自由に参加できる体験プログラムももりだくさん。
1日中にぎわった会場の様子をお伝えします!

回向院本堂の前に人だかりができ始め、いよいよ開会式の始まりです。
と、その前に、敷島として土俵に立っていた浦風親方が登壇。みんなで「相撲体操」をして身体をほぐします。

続く開会式では、スティールパンのオリジナル曲「ほくさいセレナーデ」を演奏しながらみんなで歌ったり、太神楽(だいかぐら)の傘回しが披露されたりと大いに盛り上がりました。

開会式のあとは、同時多発的に行われる多彩なプログラムを巡ります。

義太夫発表会

義太夫とは、物語やせりふに三味線の伴奏で節をつけて読み上げる日本の伝統的な音楽です。
本格的な衣装に身を包んだ小学生たちが披露した演目は「寿式三番叟(ことぶきしきさんばそう)」。この日までに練習を重ねた子供たちが大きな声で語り、観客はその迫力に引き込まれていました。

スティールパン体験

こちらはカリブ海の島国、トリニダード・トバゴで生まれた楽器「スティールパン」の体験プログラムです。
最初は緊張した表情だった子供たちも、叩いてみるとたちまち笑顔に。プロの奏者に教えてもらいながら、すぐに音階を奏でられるようになりました。
ドラム缶からつくられたこの楽器。独特の丸みのある、美しい音が響きます。

バテリア体験(サンバ楽器隊)〜パレード

一方、屋外では、サンバに欠かせない打楽器隊「バテリア」の体験が始まっていました。
好きな楽器を選び、おそろいのコスチュームを着て、まずはかんたんなリズムパターンをおぼえます。

うまくおぼえられたら回向院を飛び出し、両国駅まで続く大通りをパレード!
にぎやかな音を街に響かせ練り歩く子供たちは、キラキラとした笑顔を見せていました。

太神楽体験

両国駅に隣接する商業施設、「-両国- 江戸NOREN」内では、子供たちが江戸の大道芸「太神楽」に挑戦。細長い紙を縦に折って鼻の上に立てる「紙立て」などにチャレンジし、苦戦しながらも夢中になって楽しんでいました。

ガムラン発表会

続いて行われたのは、インドネシアのバリ島に古くから伝わる舞踊と打楽器のアンサンブルで奏でられる民族音楽「ガムラン」の発表会です。講師の指導のもと、今日まで一生懸命に練習してきたといいます。
重厚なガムランがずらりと並んだ光景は、まさに圧巻。澄んだ音色と舞踊が混ざり合い、神秘的な雰囲気が生まれていました。

発表会のあとにはガムランの楽器体験会も開かれました。
つい先ほど目の前で演奏されていた楽器に触れられるという貴重な体験。子供たちはみんな不思議な音に興味津々です。

ものづくり体験

回向院本堂には、いろいろなものづくりを体験できる一室がありました。
誰でも自由に参加することができ、部屋のなかは子供たちの熱気でいっぱい。作業に没頭している姿は、小さな職人のようでした。


好きなデザインを六角形の中に描き、オリジナルの家紋を作るコーナー。みんなの自由な発想におどろきました。


自分で紙を選び、穴を開けてリングで製本。オリジナルのノートを作れるコーナーもありました。珍しい機械に緊張しながらも、みんな上手に仕上げていました。


ほくさい音楽博の一場面を紙に描いてレポートする「新聞記者体験」。描いたものはその場でスキャンし、特設ウェブサイトに掲載。イベント中にどんどん記事が増えていくという楽しい試みです。

楽器作り体験

回向院の隣のビルにある「ギャラリーX(カイ)」も、ほくさい音楽博の会場のひとつです。ここでは、楽器を作るワークショップが行われていました。
ペットボトルなど身近な素材でできた手作りの楽器を、シールやスパンコールで思い思いにデコレーションします。

スティールパン発表会

小学校低学年と高学年に分かれて、スティールパンの発表会が行われました。
参加者は低学年14人、高学年12人。観客の声援に緊張がほぐれたのか、のびのびとした音が心地よく響きます。
これまでの練習の成果が伝わる、圧巻のステージでした。

ほくさい音楽博では、ほかにも「作詩体験」や「ウクレレ発表会」、みんなで盆踊りをする「河内音頭体験」、飛び入り参加OKで発表内容は自由の「だれでもオープンマイク」など、さまざまなプログラムが行われました。
そのどれもが大盛況。子供たちのみずみずしいエネルギーにふれ、一緒になってはしゃぐ大人の姿も印象的です。

このイベントの魅力は、幅広い世代の人が気軽に参加できること。オープンな雰囲気で常に人が出入りし、にぎわっていたのが印象的です。回向院の中だけでなく、街にもその活気が広がっているように感じました。

みんなが刺激を受け合った「ほくさい音楽博」。音楽は、国や世代を越えて人をつなぐパワーをもっているのだなと再認識した1日でした。

次回の開催も楽しみです!


ほくさい音楽博

  • 日程:2018年2月18日(日)13:00開演
  • 会場:回向院、-両国- 江戸NOREN、ギャラリーX(カイ)
  • 主催:東京都、アーツカウンシル東京(公益財団法人東京都歴史文化財団)、特定非営利活動法人トッピングイースト
  • 協賛:東京東信用金庫、回向院、J:COMすみだ・台東、-両国- 江戸NOREN、国技館通り商店会
  • 後援:墨田区教育委員会、一般社団法人 墨田区観光協会
  • 協力:陸奥部屋、すみだトリフォニーホール、株式会社ルネサンス
  • イベントページ:https://www.artscouncil-tokyo.jp/ja/events/25136/

撮影:鈴木穣蔵
取材・文:平林理奈

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