東京アートポイント計画通信
東京アートポイント計画は、地域社会を担うNPOとアートプロジェクトを共催することで、無数の「アートポイント」を生み出そうという取り組み。現場レポートやコラムをお届けします。
2018/04/24
アートプロジェクトの「3年間」―Artpoint Letterより
東京アートポイント計画では、毎月1回メールニュース「Artpoint Letter」を配信しています。
2018年4月号のメールニュースより、東京アートポイント計画ディレクター・森司の記事をご紹介します。
桜が咲き舞う華やいだ季節が足早に過ぎ、初夏を思わせる陽気の日もある4月、いかがお過ごしでしょうか。
東京アートポイント計画事業にとって4月は、前年度の経理締め、本年度事業の着手、来年度予算準備といった業務が並行して進む忙しい季節です。
その中でも中心を占めるのが、アートプロジェクトを共催するNPOとの「振り返り」業務。今後の事業のためにどうしてもクリアしたい壁を確認したり、新たな展開の兆しを会話の端からふっと垣間見たり。しかし、実はそういった学びの多い、豊かな対話ができるようになるには、事業をスタートしてから「2、3回転する時間」が必要です。事業期間が1年単位なら、3年はかかると言っていいでしょう。これは、2009年から9年間、40団体以上とアートプロジェクトを共催して得た経験則です。
特に、組織と活動のスタートアップを支援する東京アートポイント計画では、長いようで短いこの3年の時間がとても大切で、同時に、最も難しい期間です。
では、その3年間をどう過ごしていくべきか紐解くと、まずは「マネジメントにおけるルーティーンワークの精度を上げること」から始まります。例えば、とてもシンプルですが「時間を守る」あたりから始めるのが良いでしょう。アートプロジェクトを計画的に進めるために工程表は必要ですし、その進行管理は事務局業務の要です。
その次の課題は「着地点をイメージすること」。事業のマネジメントサイクルが1回転したら、いま一度、「辿り着きたい先(ビジョン)がどこであったのか」を確認して欲しいのです。そもそもなぜアートプロジェクトとしてこの活動をするのか。唱えることばは、「なぜ、なぜ、なぜ? だから、だから、だから?」。「なにを、どうする」の問が、こうして「なぜ、だから」の問へ進化することも、アートプロジェクトのマネジメントサイクルおいて「精度をあげる」の所作の一つです。しかし、「精度をあげること」は目的ではなく手段であることもハッキリと理解しておきたいところです。大切なのは、あくまでアートプロジェクトを通じ、それぞれのチームが目指す「ビジョン」を形にすることです。
今年度は、東京アートポイント計画事業全体で、「精度/解像度をあげる」をテーマに掲げたいと思います。そのために私も、事業に伴走するプログラムオフィサーも、豊かな対話を築けるよう、努力していきます。アートプロジェクトが日常に自由と楽しみをもたらすために。
2018年度もどうぞよろしくお願いいたします。
ディレクターやプログラムオフィサーによる記事は、東京アートポイント計画が毎月20日前後に配信する月刊メールニュース「Artpoint Letter」でご覧いただけます。
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