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アーツカウンシル東京ブログ

アーツカウンシル東京のスタッフや外部ライターなど様々な視点から、多様な事業を展開しているアーツカウンシル東京の姿をお届けします。

ACT取材ノート

東京都内各所でアーツカウンシル東京が展開する美術、音楽、演劇、伝統文化、地域アートプロジェクトなど様々なプログラムを外部ライターが取材し、現場の様子をお届けする取材日記です。

2018/08/10

いくつもの非日常が出現。パフォーマンスの祭典「TACT/FESTIVAL」

大人も子供も楽しめる「TACT/FESTIVAL」。9回目の開催となる「TACT/FESTIVAL 2018」が、2018年6月29日(金)~7月1日(日)の3日間にわたって池袋の東京芸術劇場で行われました。
その2日目である、6月30日(土)の様子をお伝えします。

東京芸術劇場とその周辺で次々にパフォーマンスが行われるこのイベント。
まず地下1階のロワー広場で始まったのは、コスチュームアーティストのひびのこづえさんの衣装を身につけた「ホワイトアスパラガス」(谷口界とハチロウによる“現代サーカスカンパニー”)が繰り広げる『WONDER WATER』です。

ウェットスーツを着たふたりが登場! 水中を泳ぐように、ゆっくりとステージに近づきます。

海の生物をイメージしたという、ひびのさんのカラフルで楽しいコスチュームデザイン。幻想的な光景に、観客から拍手が上がります。

華麗な大道芸も披露。笑いも交えためくるめく展開に、あっという間に観客たちが引き込まれていくのを感じました。川瀬浩介さんによる音楽もパフォーマンスを盛り上げます。

通りすがりの人も足を止め、気がつけば大きな人だかりができていました。
見ている子供たちが驚いたり笑ったりといろいろな表情になっていたのが印象的です。

『WONDER WATER』のあとは、2階のプレイハウスへ。
ここで上演されるのは、フランスから招聘したブランカ・リー・ダンスカンパニーによる『Solstice(ソルスティス)―夏至/冬至』です。

振付と演出を手がけるブランカ・リーは、スペイン出身でパリを拠点に活躍する世界的な振付家。ビヨンセやポール・マッカートニーのPV映像の振付を担当し、また女優としても活動しています。

ステージ上で繰り広げられるのは、ダイナミックなパーカッションに合わせてボディ・クラッピングが響くダンスパフォーマンス。
本作のテーマは、人間と自然との関係。プロジェクションマッピングを使ったダイナミックな演出とともに、海や雲、嵐や稲妻、氷河や砂丘などのイメージを舞台上で表現し、悪化する地球の環境問題への危機意識も込められています。


撮影:青木司


撮影:青木司

音楽も衣装も、そしてセットもごくシンプルだからこそ、身体から発せられるパワーが迫力をもって伝わってきます。時には息づかいでリズムを刻み、素早く動く手足が空気を切る音だけが聞こえる瞬間も。緊張感あふれる身体表現に、会場全体が魅了されます。


撮影:青木司

再びロワー広場に戻ると、なにやら不思議な光景が。
柵で囲まれた芝生で、パフォーマーたちが扮する“ひつじ”たちが優雅にくつろいでいます。

この作品は、劇団コープスによる『ひつじ』。今や「TACT/FESTIVAL」の常連になっているパフォーマンスです。
1997年にカナダで旗揚げされた劇団コープスは、場所を選ばず、セリフを排除したユニークな動きで展開するシュールさが持ち味。ひつじたちはエサを食べたり、羊飼いに毛を刈られたりと自由気ままに過ごしています。

なぜか一匹だけ、柵の外につながれているひつじも……。
観客を意に介さず、ひたすらにひつじらしさを貫きます。その無表情さがリアルで、かわいいような、不気味なような。周りで見ていた子供たちも不思議そうな顔をして眺めていました。

すると突然、事件が勃発。
狼がエスカレーターに乗って(!)襲来しました。

危険を察知して集まるひつじたち。
柵を飛び出して逃げ惑い、観客も巻き込んで大騒ぎになったあと、やがて無事に狼は去っていきます。ひつじたちはホッとした様子で放心し、牧場には再び平和が戻りました。

そして時間が訪れると、エスカレーターに乗って去っていくひつじたち。
白昼夢のような光景に集まった人たちから自然と拍手が湧き起こり、みんな笑顔になってしまうのでした。

ひつじの世界観から一転、東京芸術劇場の前では、田中泯さんの『場踊り』が始まっていました。

田中泯さんは1974年に独自の活動を始めたダンサー。パリのルーブル美術館をはじめとして、世界各地さまざまな場所でダンス・パフォーマンスを展開してきました。劇場の中にとどまらず、道や広場、神社や廃墟などあらゆる場所で踊ること。それを田中さんは「場踊り」と称しています。

強い日差しや地面の熱も力に変えていくかのように、力強い動きで観客を魅了する田中さん。本作は、誰でも見られる無料のプログラム。通りすがりの人たちも次々に足を止め、人だかりはだんだんと大きくなっていきました。
途中、水分補給用のヤカンを片手に、子供とたわむれるシーンもありました。踊っているときとは違うやわらかい表情がライブ感を引き立てます。

田中さんに招かれた観客のひとりが飛び入り参加し、一緒にダンス! 田中さんのパワーに触発されて、選ばれた人も、周りの人も盛り上がります。

このあともプログラムは続き、にぎわいを見せた「TACT/FESTIVAL 2018」2日目。
国もスタイルも世界観もさまざま、言葉ではなく身体で伝えるパフォーマンスが集まった今回のイベントは老若男女を夢中にさせ、街に非日常をもたらしました。
次回の開催も楽しみです!


TACT/FESTIVAL 2018

撮影:鈴木穣蔵
写真提供:東京芸術劇場(撮影:青木司)
取材・文:平林理奈

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