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アーツカウンシル東京のスタッフや外部ライターなど様々な視点から、多様な事業を展開しているアーツカウンシル東京の姿をお届けします。

東京アートポイント計画通信

東京アートポイント計画は、地域社会を担うNPOとアートプロジェクトを共催することで、無数の「アートポイント」を生み出そうという取り組み。現場レポートやコラムをお届けします。

2019/10/15

『10年を伝えるための101日 「東京アートポイント計画 ことばと本の展覧会」ドキュメントレポート』を発行しました。

「東京アートポイント計画」事業の10周年企画として2019年3月2日〜18日の17日間、ROOM302(3331 Arts Chiyoda 3階)で開催した「東京アートポイント計画 ことばと本の展覧会」。そのドキュメントレポートを発行しました。

タイトルは『10年を伝えるための101日』。企画の立ち上がりからその実施に至るまでを、企画の統括をしたプログラムオフィサーの視点でまとめています。

■ 企画者の手記で振り返る、101日間の展覧会制作

東京アートポイント計画の10周年。何かやらねば、と思っていた年末に「いきなり決まった展覧会企画」。その1日目から撤収完了の101日目までの出来事を手記として記しました。当時「日記」として記録をつけていたわけではないけれど、制作パートナーたちとのメールのやりとりや、会議の資料やその端に書いたメモ、打ち合わせや設営時、会期中に何気なく自分で撮りためた写真のログを頼りに101日分の出来事を時系列に表にまとめて組み立てています。

そうすることで、いつ・どこで・だれが・何をしたかがフラットに整理されて、伝えるべきことがらが選択しやすくなる。これは展覧会と同時進行していた東京アートポイント計画の10年本『これからの文化を「10年単位」で語るために ― 東京アートポイント計画 2009-2018 ―』の制作でも採用した手法です。

■ かたちのない「プロジェクト」を、価値化するための「返し縫い=記録」

10 年間の試行錯誤をどのように表現すれば伝わるのだろうか。その問いと向き合い続けた101日。結果として10年間に発行してきた200冊の「本」と、東京アートポイント計画を体現する「ことば」の展覧会へと集約しました。アウトプットである会期中だけの様子だけではなく、「200冊の本だけで伝わる?」といった思考の変遷をも残すのは、今回の展覧会づくりもまた「プロジェクト」であるからです。

ビジョンを持ち、試行とスタディを重ね、かたちにし、複層的な関わりを生みだす本番がある。そして残す。

101日目、「プロジェクトは終わる」では以下の文で結びました。

プロジェクトを残すことにことさら注力してきた東京アートポイント計画。そのとき、どのように思い、何が起こり、何へとつながったか。より、試みを強固なものにするために、伝わることばをつくるために、返し縫いのような営みをこれからも飽くことなく続けていく。

アートプロジェクトは意識しなければ何も残らない。消えてなくなることも多いです。せっかく縫い合わせてかたちになった「プロジェクト」も、結びや止めがなければほつれてしまう。その価値を振り返り、確かなものにするための行為として「返し縫い=記録」が疎かにできないことは、あらためて手記を書いて実感したことです。アートプロジェクトを担う方々に、その残し方・伝え方のひとつのよすがとして参照していただければ幸いです。


手記が淡々と進んでいっては101日間のジェットコースターのような進行の裏に隠れた機微がこぼれて落ちてしまうので、脚注文に託すことにしました。読む体験も「返し縫い」。お見逃しなく。

【概要】
10年を伝えるための101日 「東京アートポイント計画 ことばと本の展覧会」ドキュメントレポート
執筆|大内伸輔(アーツカウンシル東京)
編集・構成|中田一会(きてん企画室)
デザイン|福岡泰隆
写真|高岡弘
監修|森司(アーツカウンシル東京)
発行|公益財団法人東京都歴史文化財団 アーツカウンシル東京

PDF版はこちらから

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