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現場に行ってみた!! 宮本篇

東京文化発信プロジェクトが行う様々なプログラムにライターの宮本が出向き、現場からお伝えします。アート、音楽、舞台、地域プロジェクト etc… 文化は会議室ではなく、現場で生まれている!

2014/10/31

【東京発・伝統WA感動】人間国宝三人が一堂に会した歴史的公演 『至高の芸、そして継承者~狂言 』

600年以上の歴史を持ち、現存する最古の演劇と言われている伝統芸能・狂言。狂言の世界を古くから牽引してきた人間国宝・野村万作、山本東次郎、野村萬の三人とその継承者たちが一堂に集い、10月28日(火)国立劇場大劇場にて東京発・伝統WA感動「至高の芸、そして継承者~狂言」を開催しました。狂言界の人間国宝三人が同じ公演で舞台に立つのは今回が初めてということで、歴史的瞬間に立ち会うべく、現場に行ってきました!

この公演は、伝統芸能・文化の魅力を国内外へ発信する「東京文化発信プロジェクト」が行う「東京発・伝統WA感動」のプログラムの一環として開催したもの。世界に誇るべき日本の伝統芸能・文化の魅力を広く発信すると共に、その根底にある「和の心」を次世代に継承していくことを目的として実施しています。


会場は、東京・千代田区にある国立劇場大劇場。約1600席ある会場の前売りチケットは完売。夢の舞台を一目見ようと、この日を楽しみにしていた人々で会場は開演前から大賑わい。公演は、人間国宝とその至高の芸を継承する次代を担う狂言師が、得意演目「三番叟」(さんばそう)「木六駄」(きろくだ)「舟渡聟」(ふなわたしむこ)をそれぞれ披露。上演された三演目の上演時間は40分前後で、ステージ両サイドの電光掲示板に台詞が表示され、言葉の意味を一つひとつ理解しながら楽しむことが出来ました。では、それぞれの演目に分けて、少しずつご紹介します。

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【和泉流】 三番叟 (さんばんそう) 神楽式

新年の能会や祝賀会など、儀式的な催しの最初に演じられる「翁」(おきな)から三番叟を独立させた略式奏演。さらに「神楽式」(かぐらしき)の小書をつけて、千歳(せんざい)も加えられた。めでたい文句を唱え、舞いを舞う祝典曲。

(出演)
三番叟 – 野村万作(人間国宝)
千歳 – 野村萬斎 ほか

笛の音色が会場全体に響き渡り、開演。面箱を持った千歳(野村萬斎)が正面に登場、正面に箱を置き、平和な世界が永く続く事を祈る千歳の舞を舞います。着物の袖を大きくふりながら拍子を足踏み。徐々に囃子のリズムが速くなると、そこへ三番叟(野村万作)が橋掛かりから中央へ走り出て五穀豊穣を祈る三番叟の舞へ。軽快に舞台を踏みしめる揉みの段、次に面をかけ、鈴をふりながら躍動的に舞う鈴ノ段。全体的に足拍子が多く、エネルギッシュ且つ美しく、躍動感の感じられる演目でした。

【狂言 大蔵流】 木六駄 (きろくだ)
「官途成り(任官披露)に新築する叔父宅へ材木を届けよ」と主人に命ぜられた太郎冠者は、豪雪の山道に難渋。
峠の茶屋には酒がなく、少々頂戴とばかり貢物の上級酒に手をつけるうちにエスカレート。
奥の間に伯父がいるとも知らず太郎冠者は・・・

(出演)
太郎冠者 – 山本東次郎(人間国宝)
主 – 山本凜太郎
茶屋 – 山本則重
伯父- 山本泰太郎 ほか

元々は和泉流の演目ですが、名作のあまり明治期に大蔵流正規演目に加えられた、とにかく可笑しく、笑いが絶えない演目。太郎冠者(山本東次郎)は、主家に仕え報酬を受けとるのと引き換えに自由を奪われた下人。内に秘めた自立心と外面の従順さを持つ太郎冠者。酒が入って気持ちが大きくなり、主人から預かった貢物である上級酒だけでなく最後は材木を背負った牛ごと茶屋に渡してしまう太郎冠者と、太郎冠者の気持ちをさらに盛り上げるような言葉を重ねる茶屋のやりとりが軽快で愉快でした。

【狂言 和泉流】 舟渡聟 (ふなわたしむこ)
船の船頭が乗せた客は、酒樽と鯛を備え、新婚の妻の実家を訪問する「聟入り」する若者。
酒好きの船頭は、船を揺さぶったり、漂わせたりして強引に酒を奪い、ついには酒が底を尽いてしまう。
若者は妻の父・舅(しゅうと)の家へ、船頭は自宅へ帰る。
帰宅後、家を尋ねてきた先客が先ほど船に乗せた聟と分かり、会うわけにはいかないと逃げ腰の夫に妻は腹をたて、
自慢の大髭を剃り落して座敷へ出させる。そして舅と聟「初対面」の挨拶を交わす・・・

(出演)
船頭 – 野村萬(人間国宝)
聟 – 野村万蔵
船頭の妻 – 野村万禄 ほか

なんとしてでも酒を飲もうとあの手この手を尽くす船頭と、妻の実家へ向かう気持ちを整えるかのごとく樽を前に置き船の真ん中に座る若者。動と静が、所作や言葉息の合った掛け合いで表現されていました。テンポよく進む意外な展開の中には笑いが散りばめられ、気持ちよく笑いのリズムに乗れる演目でした。舅と聟の初対面シーンでのやりとりもまた、ユーモアに溢れたものでした。

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人間国宝三人の至高の芸に酔いしれ、後継者の芸に明るい将来を感じ、
世代も時代も飛び越える日本の「笑い」の原点・狂言の魅力を存分に体感した贅沢な2時間半。
日本が誇り引き継いでいくべき伝統芸能・文化の継承には、
それを伝え広げる鑑賞者もまた継承の担い手の一人なのではと思いました。
魅力あふれる日本の文化・伝統に、たまには触れてみてはいかがでしょうか。

・・・そんな機会を探しているあなたに↓
「東京・伝統WA感動」、今後のイベントスケジュールはこちらをご覧ください。
http://www.dento-wa.jp/

※参考文献※
至高の芸、そして継承者「狂言」公演パンフレット

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