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アーツカウンシル東京ブログ

アーツカウンシル東京のスタッフや外部ライターなど様々な視点から、多様な事業を展開しているアーツカウンシル東京の姿をお届けします。

東京アートポイント計画通信

東京アートポイント計画は、地域社会を担うNPOとアートプロジェクトを共催することで、無数の「アートポイント」を生み出そうという取り組み。現場レポートやコラムをお届けします。

2020/03/30

「あとがき」がいい本って? プログラムオフィサーが選ぶあの本、この本。 ― アートプロジェクトの本棚 (その1)

春を迎えましたが、なかなか外出するのも難しい今日この頃ですね。どのように時間を過ごしていますか? 東京アートポイント計画でも、新型コロナウイルスの感染拡大を防止するため、アートプロジェクトにまつわる企画やイベントの延期や中止をしました。

そんなとき、外出しなくてもアートプロジェクトにふれる方法があります。それは「本」を読んでみること。「東京アートポイント計画」「Tokyo Art Research Lab」「Art Support Tohoku-Tokyo」の3事業から発行された200冊以上の本は、ウェブサイトからダウンロードして読むこと、宅配便で受け取ることもできます。

※本のPDFは無料、宅配の場合も送料のみのご負担でお届けします。お申し込みはこちらから。
※一部、データを公開していないものや、在庫が少なく送付ができないものもございます。

この度、東京アートポイント計画のプログラムオフィサーが、おすすめの本を選び、テーマに基づいてセットを組んでみました。気になる本をみつけたら、ぜひ紹介リンクをクリックしてみてください。ピンと来ることばや、気になる視点に出会えるかもしれません。

「あとがき」がいい

あとがきが好きです。本を手にとって、そこから読むこともしばしば。1冊の本をつくるという大仕事。一息ついた後の文章に著者の姿がにじみ出る。なぜ、この本が書かれたのか。気持ちのこもった力強いことばが現れやすい場所なのだと思います。

『松島湾のハゼ図鑑』のあとがきは取材・文担当の加藤貴伸さんと身近な存在だったハゼの「出会い直し」が綴られています。『働き方の育て方』の「おわりに」のタイトルは、ずばり「Moving forward―飾りじゃないのよ、文化は」。4人の著者の態度表明の声が聞こえてくるようです。『FIELD RECORDING』第4号には拙稿「編集後記」を収録。震災後の東北と他の厄災が重なってくる感覚を描きました。(佐藤李青)

▼「あとがき」がいい3冊
『松島湾のハゼ図鑑』
『働き方の育て方 アートの現場で共通認識をつくる 』
『FIELD RECORDING vol.04 特集:出来事を重ねる』

右から読む?左から読む?

あるプロジェクトのことを、二つの視点や切り口で伝えたい。でも、どちらを先にするか、メインにするか、選ぶのは難しい……。そんなときは、思い切って「両側から読める」ようにしてしまったり、「二つの本をくっつけて」しまったりするのも手かもしれません。

『TERATOTERA 2013 “commit” Document/TERATOTERA 2013 の作り方』や、『アーティスト・イン・児童館 コンセプトブック』は、表裏の2方向から読むことのできる、プロジェクトのドキュメントです。「イベントの記録」と「裏方の声」、「実践紹介」と「事業のコンセプトや位置づけ」など、異なる視点が共存しています。『Ways to End Public Art by Relight Project』は、二つのドキュメントが合体しているパターン。「プロジェクトの記録」と、「プロジェクトを通じて生まれたもの(参加者による寄稿やワークシートなど)」をそれぞれ集めています。(岡野恵未子)

▼右からも左からも読める3冊
『TERATOTERA 2013 “commit” Document/TERATOTERA 2013 の作り方』
『アーティスト・イン・児童館 コンセプトブック[READ][LOOK] 』
『Ways to End Public Art by Relight Project 1: Reflection –省察–』『Ways to End Public Art by Relight Project 2: Recollection –回想–』

つくりかたから考えてみる

「アートプロジェクト」とひとくちにいってもそのありかたは本当に様々。つまり、つくりかたも様々。「つくること」自体に注目した3冊をご紹介します。

アートを生み出す小さな拠点“アートステーション”をつくるための要素をまとめた『としまアートステーションのつくりかた』シリーズ。文化創造拠点をつくる実験の内容をレシピ集として落とし込んだ『ぐるぐるヤ→ミ→プロジェクト 2010-2013』。そして、そもそもつくりかた自体への問いと向き合う『つくりかた研究所の問題集』。(つくりかたの答えは「まだ」ない、というのがミソ)。

果たして、つくりかたについて読めば、つくれるようになるのだろうか? それとも、つくることへの問いはより深まるのだろうか?(坂本有理)

▼つくりかたをめぐる5冊+カードゲーム
『としまアートステーションZのつくりかた 』
『としまアートステーションYのつくりかた』
『としまアートステーションXのつくりかた』
カードゲーム「としまアートステーションYのつくりかた」
『ぐるぐるヤ→ミ→プロジェクト 2010-2013』
『つくりかた研究所の問題集』

日記でたどるアートプロジェクト

「プロセスが大切!」と謳われて久しいアートプロジェクト。「日記」というフォーマットは誰が・誰と・いつ・どんな発想から・何を目指して「プロジェクト」となったのか、が主体者のことばで書かれていて、キモの部分をとらえやすいのです。ひとりの人が語ることばでひとつの連なった「物語」としてさくっと読めるのも良いところ。プロジェクトの残しかたとしてもおすすめです。読んでみて、やってみてください。(大内伸輔)

▼日記で綴られた3冊
『10年を伝えるための101日 「東京アートポイント計画 ことばと本の展覧会」ドキュメントレポート』
『誰もが先生、誰もが生徒 三宅島大学の試み 五十嵐靖晃「そらあみ―三宅島―を事例に」』
『「思索雑感/Image Trash」2004-2015ー校正用ノート 』

下を向いて歩こう

ちょっと注意深く歩いてみる。

なんてこともない野草にも些細な変化が起きていたり。アスファルトに引かれた一風変わった白線に出会えたり。日常に「華を添える」つもりで、探しています。
むしろ積極的に、下を向いて歩いていきたい。

道端にある遊びに、気づかせてくれる3冊です。(村上愛佳)

▼下を向いて歩くのにぴったりな3冊
『PPR空想地学研究所「PAPER」準備号 』
『淺井裕介×東京アートポイント計画』
『ひののんフィクション2010 ドキュメント』


(撮影:ただ(ゆかい))


*東京アートポイント計画からのご案内

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