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現場に行ってみた!! 宮本篇

東京文化発信プロジェクトが行う様々なプログラムにライターの宮本が出向き、現場からお伝えします。アート、音楽、舞台、地域プロジェクト etc… 文化は会議室ではなく、現場で生まれている!

2015/01/08

東京アートミーティング(第5回)「新たな系譜学をもとめて― 跳躍/痕跡/身体」 / 「中田英寿×真鍋大度(ライゾマティクス)」トークイベントレポート

現代アートと様々な専門領域の表現が出合うことで、新たな可能性を探求する「東京アートミーティング」。2014年9月27日から2015年1月4日の約3か月間、東京アートミーティング(第5回)「新たな系譜学をもとめて― 跳躍/痕跡/身体」が、東京都現代美術館で開催されました。
会期中、様々な公演プログラムや関連イベントが行われる中、多くの注目を集めたトークイベント「中田英寿×真鍋大度(ライゾマティクス)」の模様をご紹介します。

多様な身体表現と、そこに刻まれた記憶と創造を結びつけたアートとパフォーマンスによる幅広い作品が展示される中、中田英寿さんは、当時レアル・マドリードに所属していた世界的サッカープレイヤーのジダン選手の動きを17台のカメラが90分間とらえ続けた映像作品「ジダン:21世紀の肖像」の解説ビデオで本展に参加。無数のカメラが捉えたジダン選手の凄さを、自身もアスリートとして活躍していた中田さんならではの視点で語っています。

真鍋大度さんは二つの展示に参加。一つは、展覧会の総合アドバイザーを務めた野村萬斎さんのアーカイブスペース。萬斎さん自身が選んだ映像アーカイブとあわせて展示されたデジタル年表で”野村萬斎”をビジュアル化し、伝統芸能とデジタルを融合させ新たなアプローチを提案しました。もう一つはスポーツとデジタル表現を融合したデンツウ ラボ トウキョウ&ライゾマティクス名義の「SAYONARA国立競技場 FOR THE FUTURE」と「フェンシング×テクノロジー」。「SAYONARA国立競技場 FOR THE FUTURE」は、スポーツの聖地として親しまれてきた国立競技場のファイナルイベントにて、56年という時間を映像と最新テクノロジーで甦らせた感動の映像作品。​「フェンシング×テクノロジー」は、フェンシング選手の太田雄貴さんが、2020年東京オリンピック・パラリンピック招致プレゼンテーションで使用した映像作品です。剣先の軌跡や加重の動き、視線の動き等​を可視化することで、競技の面白さがより分かりやすく伝わり、多くの人の興味を引きました。

メディアアーティストとして国内外で注目を集める真鍋さんと、日本代表としてはもちろん海外でも鮮烈なプレーを見せつけ日本サッカーの歴史にその名を刻んだ中田さん。それぞれのジャンルで活躍する2人のトークイベントとあって、会場には大勢の観客が集まりました。

舞台上には、中田英寿さん、真鍋大度さんに加え、進行役として東京都現代美術館チーフキュレーターの長谷川祐子さんが登壇。冒頭は、真鍋さんの映像作品視聴からスタート。展示作品の題材となったスポーツに関する話から、話題は「スポーツのビジュアル化」の話に。実は、サッカー好きだという真鍋さん。野球がデータスポーツと言われる中、サッカー界ではコンピューターでのデータ分析がかなり遅れているという中田さんに対し、真鍋さんは独自の目線と経験から、データ分析を含めた新しいビジュアル化の提案を投げかけます。

一つは、データ分析によるビジュアル化によって技術やチーム力が数段アップするであろうというもの。もう一つは、サッカーを観る側にとって新しい観戦視点を提案するというものでした。サッカーは数学的だと言う中田さんは、現役時代、感覚的ではなく実証的なプレーが多かったそうです。どの角度にボールを蹴るか、どのポジションに走りこむのがベストなのか。情報を取り入れてトレーニングすることで、プレーの精度が上がりミスは確実に減ると言います。一方で、実際のプレーにおいては、人間対人間の戦いであり、技術に加え感情が伴う為、データ解析することは不可能ではとも話します。様々な情報をインプットした上で、情報を意識しながらプレーすることを子供の頃から繰り返すことで、プレーの質が向上し、上手く強くなっていくだろうと話しました。

ビジュアル化により、観戦する側にも新しい楽しみ方が提供されます。テクノロジーの進化によって、例えば選手の視点で試合を観ることが可能になるかもしれません。第三者ではなく、当事者視点でスポーツを観ることが出来るようになると、今まで知らなかった世界を体感し新たな感情が生まれ、スポーツの見方が変わるだけでなく、その実体験が生活そのものに大きな変化をもたらすことでしょう。

スポーツとデジタルメディアが融合しビジュアル化されることによって、選手自身の技術や能力アップはもちろんのこと、スポーツを楽しむ側の視点や関わり方も、今後より多様化していくことと思います。この日語られた様々なビジュアルプレゼンテーションの可能性が具現化される日は、そう遠くはないはずです。

新たな表現を創造し続ける「東京アートミーティング」。今後の動きにご注目ください。

■本イベント概要
東京アートミーティング(第5回) 「新たな系譜学をもとめて― 跳躍/痕跡/身体」
※関連トークイベント
中田英寿×真鍋大度(ライゾマティクス)
2014年11月30日(日)東京都現代美術館 講堂
http://www.bh-project.jp/search/tabid/62/pdid/522/Default.aspx

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