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2014/06/20

平成26年度第I期 東京芸術文化創造発信助成 採択結果の概況

 平成26年度第I期東京芸術文化創造発信助成については、単年助成の申請件数146件、うち61件を採択しました。また、長期助成は申請件数19件、うち4件を採択しました。
 単年助成の申請状況ですが、今期は過年度と比べ美術・映像や舞踊分野の申請が増加しました。また、東京の芸術文化の強い発信力を持つ活動成熟・トップ期(ベテラン)にある団体からの申請も多数ありました。単体の公演・展示のほか、フェスティバルや複合的な企画、ならびに創造活動の拠点となっている民間の劇場・スペースからの申請も増加の傾向がみられます。
 以下、長期助成及び単年助成の各分野における、今期の採択結果の概要をまとめました。

長期助成プログラム

◆申請件数/( )内採択件数:19(4)

長期助成については、今期は演劇分野から2件、舞踊分野から1件、美術・映像分野から1件を採択しました。申請団体それぞれに特徴のあるプロジェクトでしたが、採択にあたってはプログラム・ガイドラインに掲げる審査基準に加え、社会や各芸術分野に対する課題意識や貢献意欲がみられるかに注目しました。同時に、申請団体にとっての適時性を重視する結果となりました。

単年助成プログラム

《音楽分野》

◆申請件数/( )内採択件数:総数 18(12);都内 10(7)、海外 5(4)、 国際コラボレーション 3(1)
◆採択率:66.7%

 今期の音楽分野における申請は、オペラやオーケストラ等のクラシック音楽、合唱やグループ等による現代音楽、和太鼓音楽や民族楽器によるワールドミュージック、前衛的なロックやノイズミュージック等、内容は多岐に渡りました。コンサート形式の公演の他に、総合的な舞台作品や、音楽家が舞踊家、美術家、演出家等と協働で作り上げる舞台の上演が申請の三分の一を占めました。総体的に企画の水準が高く、高い採択率となっています。
 また、単体の公演の他に、フェスティバルや多数のアーティストが参加するオムニバス形式の事業が増加しており、事業を企画し組織する優れた制作者の存在が注目されました。

《演劇分野》

◆申請件数/( )内採択件数:総数 54(15);都内 41(9)、海外 9(4)、 国際コラボレーション 4(2)
◆採択率:27.8%

 演劇分野の申請件数54件の内訳は、劇団・ユニットからの申請43件、企画制作会社によるプロデュース公演の申請6件、民間の小劇場からの申請4件、中間団体からの申請1件でした。当プログラムの助成方針に則り、劇団・ユニットからの申請については活動基盤形成期(若手)または活動拡大・発展期(中堅)にあり、かつ審査基準に照らして優れている点が見出される団体を優先して採択しました。ただし、今期は若手〜中堅層からの申請が比較的少数だったため、活動成熟・トップ期(ベテラン)にある団体についても海外公演や国際コラボレーション、後進の育成を推進する活動を中心に採択することとなりました。

《舞踊分野》

◆申請件数/( )内採択件数:総数 35(16);都内 25 (11)、海外 10(5)
◆採択率 45.7%

 舞踊分野は、平成25年度第II期から申請件数が12件増え、海外案件は全分野のなかで最も多数となりました。特に20代から30代前半の舞踊家を中心とするカンパニーからの申請増加が顕著で、それが採択結果にも反映されています。企画としては、国際的なダンス・フェスティバルや、若手舞踊家・振付家の支援を行う民間の小劇場の取組など、都内の舞踊の創造環境や人材育成に貢献する事業のほか、東京の一地域をリサーチしながら2020年に向けて段階的に舞踊作品を創作する、オリンピックを意識したプロジェクトも見受けられました。採択にあたっては、アーティストの革新性や将来性、企画の影響力や普及力といった点を重視しました。

《美術・映像分野》

◆申請件数/( )内採択件数:総数 22(10);都内 16(8)、海外 3(1)、 国際コラボレーション 3(1)
◆採択率:45.5 %

 今期の美術・映像分野では、上映会や映像祭などの申請の増加が目立ち、若手映像作家などによる活動が都内各所で展開していることがうかがわれました。また、多様なジャン ルや形態の企画の申請があり、鑑賞環境や鑑賞体験の変革を目指す等、実験的で意欲的な企画が多く見られたことも今期の特徴でした。海外における活動や国際コラボレーションの申請も増加しています。全般に特色のあるユニークな内容とともに、実施体制もしっかりした申請が多く、採択率は前回の20%より大幅に上昇しました。

《伝統芸能分野》

◆申請件数/( )内採択件数:総数 15(7);都内 8(5)、海外 7(2)
◆採択率:46.7 %

 これまでは特定の分野(能楽・狂言)の申請が突出する特徴が見られていましたが、今回は種目数が格段に幅広くなり、また芸格が確かな若手や中堅(各種目内での相対的基準)の演者からの申請が増える傾向が認められました。審査にあたっては、「継承性」の観点を慎重に検討し、また文化交流や国際親善に比重を置いた申請案件は優先度を低くしました。異分野とのコラボレーションは、その必然性が十分かつ慎重に検討され丁寧な取り組みが行われているかどうかに注目しました。

《複合・その他分野》

◆申請件数/( )内採択件数:総数 2(1);都内 1(1)、国際コラボレーション 1(0)

 音楽、舞踊、美術など異なる分野の芸術家が対等な関係で新たな作品を作る事業や、文化や社会、科学の広い領域と芸術との関係をテーマにした事業等を、この分野の対象としていますが、今期はいずれかの芸術分野の要素の強いものについては各分野に振り分け、結果として複合・その他分野に該当する件数は2件と少なくなりました。したがって、ほかの各分野における申請事業にも、異ジャンルとの協働を指向するものも多く含まれていたことを補記します。

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