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F/T15 special

フェスティバル/トーキョー(F/T)ディレクターズコミッティのメンバーで、ドラマトゥルクの横堀応彦が、今年のF/Tの見どころを独自の視点でお伝えする限定ブログ。

2015/12/24

【最終回】F/T15閉幕!一線を越えたパフォーマンスとの出合いを振り返る

《出合い》のチカラを通してF/T15の見どころを紹介してきた本ブログも遂に最終回。今回は思い出とともにイベントの終盤を振り返ります。

『ブルーシート』の記録写真(c)武田陽介
『ブルーシート』の記録写真
(c)武田陽介

さる2015年12月6日(日)、豊島区 旧第十中学校グラウンドで上演された『ブルーシート』(作・演出:飴屋法水)をもって、フェスティバル/トーキョー15は閉幕いたしました。期間中を通してたくさんの方にご来場いただき、心より御礼申し上げます。

今年のフェスティバルでの《出合い》について挙げればキリがありませんが、個人的にはアンジェリカ・リデルの『地上に広がる大空(ウェンディ・シンドローム)』を日本で紹介できたことは大きな喜びでした。海外の演劇作品を日本に招聘するには人手もお金もかかるため、1度のフェスティバルで紹介することのできる本数は(他の芸術ジャンルに比べて)どうしても限られてしまいます。普段の生活の中でも「美しい作品」や「良く出来た作品」に出合うことはありますが、「度肝を抜く作品」に出合う機会はそれほど多くありません。そんな中『地上に広がる大空(ウェンディ・シンドローム)』の上演が各所で賛否両論を巻き起こしたことは、この作品の持つ強いチカラを改めて感じる結果になりました。これは筆者の思い込みかも知れませんが、『ブルーシート』や『地上に広がる大空(ウェンディ・シンドローム)』のような《一線を越えた》パフォーマンスを見ていると、役者たちの立っている舞台空間さえも「この作品に出合えて幸せだ」と喜びを表しているように感じられるのです。

『地上に広がる大空(ウェンディ・シンドローム)』東京公演の記録写真(c)石川純
『地上に広がる大空(ウェンディ・シンドローム)』東京公演の記録写真
(c)石川純

上演だけでなく、東京芸術劇場アトリエイーストで行ったF/Tトーク「ポーランド演劇の現在形」でも多くの出合いや発見がありました。この企画ではポーランド広報文化センターからの支援を得てポーランドから20代〜40代の3人の若手演出家を招き、プログラム期間中、トークセッションや映像上映、ディスカッションを行いました。ゲストの1人であるウカシュ・トゥファルコフスキが専属演出家を務めるヴロツワフ・ポーランド劇場では、新たに発足したばかりの内閣の文化大臣が作品上演を中止に追い込むスキャンダルが起こったばかりで(最終的に上演は行われたようですが)、会場ではその問題について連日連夜議論が重ねられました。国際政治状況が目まぐるしく変化する現代、このような問題はいつどの国で起こっても不思議ではありません。そのような時代にこそ、お互いの国が置かれている状況を共有し「互いの顔が見える」関係を地道に築いていくことが重要であると考えます。そしてここで築いたポーランド演劇との繋がりが、近い将来大きなプロジェクトに発展していくことに期待したいと思います。

左から、小島寛大(F/Tディレクターズコミッティ副代表)、クシシトフ・ジャブコ=ポトポヴィッチ(通訳)、ヤロスワフ・フレト(演出家、俳優、Teatr ZAR主宰、グロトフスキ・インスティトゥート代表)、マグダ・シュペフト(演出家)、ウカシュ・トゥファルコフスキ(ヴロツワフ・ポーランド劇場専属演出家)、筆者、マルタ・カルシ(ポーランド広報文化センター副所長)、岩城京子(演劇ジャーナリスト)
左から、小島寛大(F/Tディレクターズコミッティ副代表)、クシシトフ・ジャブコ=ポトポヴィッチ(通訳)、ヤロスワフ・フレト(演出家、俳優、Teatr ZAR主宰、グロトフスキ・インスティトゥート代表)、マグダ・シュペフト(演出家)、ウカシュ・トゥファルコフスキ(ヴロツワフ・ポーランド劇場専属演出家)、筆者、マルタ・カルシ(ポーランド広報文化センター副所長)、岩城京子(演劇ジャーナリスト)

閉幕から約半月が経った今、既に来年のフェスティバルに向けた準備やクリエーションも始まっています。今年の《出合い》が来年以降の新たな《出合い》へと繋がっていくことを期待しつつ、今年のF/Tブログを終えたいと思います。それではまた来年、皆さんと会場でお会いできるのを楽しみにしております。

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