東京アートポイント計画通信
東京アートポイント計画は、地域社会を担うNPOとアートプロジェクトを共催することで、無数の「アートポイント」を生み出そうという取り組み。現場レポートやコラムをお届けします。
2016/09/29
PO勉強会ノート#03 大内伸輔「アートポイント誕生前夜」、中田一会「アートとマーケティングは水と油?」
7月に開催したPO勉強会第3回では、大内伸輔と中田一会が担当しました。PO・中田がレポートします。
PO勉強会とは?
東京アートポイント計画のPO(プログラムオフィサー)が、毎月2名ずつテーマを持ち寄る情報共有の場。アートプロジェクトの仕組みづくりや、現場サポートに活かしていくことが目的です。このブログでは、PO勉強会で共有された問題意識や知見を、各POの紹介も兼ねながら記録しています。
>>POの仕事とは?
>>これまでのPO勉強会レポート:第1回・第2回
【大内伸輔】コードネームは「千の見世」。東京アートポイント計画誕生前夜を振り返る
大内伸輔(おおうちしんすけ)
▶PO歴|8年目(2009年~)
▶担当事業|東京スープとブランケット紀行、東京アートポイント計画、Tokyo Art Research Lab事業全体のマネジメント
▶前職|東京藝術大学音楽環境創造科 教育研究助手
▶最近の関心事|ワークライフバランス
チーフマネージャー・大内は、東京アートポイント計画の立ち上げ期(2009年前後)を振り返りました。
「立ち上げ期は、《新しい公共》という概念が提唱されていた時代。市井のNPOが主体的に活動し、文化からまちや人の生活を豊かにしていくことを目指して、アートポイントが立ち上がりました。この7年間は、公益事業としてその手法や仕組みをつくっていくことに奔走してきました」
アートポイントのはじまりは、2016年の五輪招致活動に合わせて提案された「千の見世構想」という事業構想プラン。「見世」や「屋台」のような、交流の拠点(=アートポイント)が東京のあちこちに出現し、「千の結び目(Thousands Knots)」をつくるという、新しいソフト型の文化事業の姿を描いたプランでした。
このコンセプトを、東京アートポイント計画に引き継ぎ、2009年から今まで都内さまざまな場所で、さまざまなNPOとともに、アートプロジェクトを実施しています。「まちなかで開催するアートプロジェクトを、NPOと行政が継続的に共催していく」という現在の取り組みは、当時は前例がなく、試行錯誤の連続でした。
7年前の2009年7月18日。「Central East Tokyo(CET)」イベントの中で、東京アートポイント計画を発表する記者会見を開催した。
【中田一会】アートとマーケティングは水と油? 新しい仕組みを考えてみる
中田一会(なかたかずえ)
▶PO歴|2年目(2015年~)
▶担当事業|東京迂回路研究、東京スープとブランケット紀行、リライトプロジェクト、TARL研究・開発プログラム、東京アートポイント計画全体のコミュニケーション・デザイン
▶前職|株式会社ロフトワーク PR・コミュニケーションディレクター
▶最近の関心事|カメの飼育、紙媒体の企画編集
続いては、私、中田が担当しました。テーマは「アートプロジェクトとマーケティング」です。
もともと、民間企業でパブリック・リレーション(PR/広報)を専門に働いていたこともあり、アートプロジェクトの現場に、もっとマーケティング活動的な思考を取り込んでもいいのではないか、と、今回提案しました。ここでいうマーケティングとは、《事業とコミュニケーション活動が循環するよう戦略的に設計し、周囲にいる人々との関係を育成していく活動》 を指します。
アートプロジェクトとビジネスマーケティングという異なる目的の活動にも、目を凝らすと共通点があります。例えば、活動のストーリー性が重要であること、ステークホルダーとの丁寧で継続的な対話を大事にすること、人々の気持ちや状況の変化に合わせてアクションを変えることなど。
勉強会では、マーケティングのモデルやアートプロジェクトの事例を参照しつつ、POや中間支援の立場から具体的にできることを議論しました。
プログラムと情報発信のタイミングをマッピングして整理し、計画的なリレーション活動を実施していく提案。
過去を振り返り、未来の形を想像する。今回の勉強会でも、様々な議論や次のアイデアが生まれました。次回のPO勉強会では、「Tokyo Art Research Lab 思考と技術と対話の学校」を取り上げます。
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