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アーツカウンシル東京ブログ

アーツカウンシル東京のスタッフや外部ライターなど様々な視点から、多様な事業を展開しているアーツカウンシル東京の姿をお届けします。

ACT取材ノート

東京都内各所でアーツカウンシル東京が展開する美術、音楽、演劇、伝統文化、地域アートプロジェクトなど様々なプログラムを外部ライターが取材し、現場の様子をお届けする取材日記です。

2016/09/08

夏休みに日本文化に触れよう! キッズ伝統芸能体験「おけいこサマーキャンプ in 江東」が開催されました

2016年8月7日に、キッズ伝統芸能体験「おけいこサマーキャンプ in 江東」が開催されました。

当日は、発表会と「1-Dayいろいろ体験」の2つのプログラムが設けられ、夏休み中の子供たちがお父さんやお母さんらとともに集まりました。

発表会は「おけいこサマーキャンプ」という短期プログラムに参加した子供たちによる、演奏会。7月31日から始まった6回のお稽古を経て、たくさんの子供たちや親御さんたちが見守る中、三味線とお箏(こと)の演奏を披露しました。

そして、この日限定で開催された「1-Dayいろいろ体験」は、当日集まった子供たちが興味のある伝統芸能のプロの実演を見たり、実際に楽器に触れたり舞台の上で舞を習ったりできるプログラムです。

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まずは、プロの方々による生演奏&実演。

この日初めて聞く音色、聞き慣れない言い回しや思わずクスッと笑ってしまうひょうきんな動きに、子供たちも釘付けです。

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プロの方々のミニパフォーマンスが終わると、次は体験タイム!

舞台では日本舞踊、能楽の謡・仕舞(うたい・しまい)と狂言を、別室では三味線、小鼓、太鼓、篠笛、お箏の演奏を実践できます。

「キッズ伝統芸能体験」で日本文化に触れてみよう!

日本舞踊は、「さくら」に挑戦。

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「さくら」では、扇子を使って、桜の花びらが風に乗ってはらはらと散る様子を表現します。しなやかでやわらかい、けれどブレない体幹による先生の足運びは、優雅の一言です。

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子供たちも自分の腕の長さほどもある大きな扇子を、小さな手で支えながら、先生のあとについて踊ります。

能楽は、まず謡・仕舞を体験します。「謡」(うたい)とは、能の中の「うた」の部分。謡に合わせて舞う「仕舞」(しまい)は演目の見どころを抜き出して舞うもの。

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体験する舞は「羽衣」。三保の松原が舞台で、羽衣をなくした天女が、羽衣をひろった漁師から羽衣を返してもらうために舞を舞うというあらすじです。

現在演じられている能の形は、約600年前に成立したと言われています。すり足で動き、慣れない発声に、戸惑う子も多い様子。

ですが、先生の指導を受けながら、背筋を正して円を描きながら舞います。

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最後は、「笑い」や「おかしみ」をテーマにしたセリフ劇である狂言。今回は、盆栽を盗みに他人の家にこっそり忍びに行く、という一幕を演じます。

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狂言では、セリフだけでなく効果音も自分で発します。

家に侵入するために、垣根をノコギリでかき分けるシーンでは「ズカ! ズカズカズカ!」と大きな声を出します。

扇子をノコギリのように見立てて、みんなで、せーの!

「ズカ! ズカズカズカ!」

元気いっぱいな声が、ホール内に響き渡りました。

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舞台上では、子供たちが恥ずかしがることなく、大きな声を出したり、先生の動きを真剣な眼差しで見つめて真似していたりと、短い時間であっという間に習得している子が多いのが印象的でした。

楽器の方は、どんな様子でしょうか。

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にぎやかな音が聞こえてきます。

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篠笛は、子供たちの小さな指で穴をふさぐのが大変そうでした。さらに、唇を添えて音を出すだけでも一苦労。なかには思ったように音が出ず、悔しさのあまり泣いてしまう子も。

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三味線とお箏は、子供たちに人気のある楽器で、体験コーナーには行列ができていました。

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プロの実演家から直々に教えてもらえる機会は滅多にありません。子供たちは先生に手を添えられながら、一音一音ならします。ベンベンというリズミカルな三味線の音と、ポロンポロンという、しとやかな音色のお箏。右手と左手を交互に確認しながら鳴らす、脈々と受け継がれてきた伝統的な音色は、子供たちにどんなふうに聞こえたのでしょうか。

気軽に伝統芸能を学べるのがうれしい

来場していた、保護者の方々にもイベントに参加した経緯や感想を聞いてみました。

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初めて「おけいこサマーキャンプ」に参加したお子さんのお母さんは「能や狂言など舞台上での伝統芸能は、教えてもらいたいなと思っても、どこに習いに行けばいいか分からなくて。でも、こういうところで5分とか10分だけでも触れられる機会があると、いざ子供が何かをやりたいと思った時にイメージがつきやすくなるかなと思って」と参加理由を教えてくださいました。

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たまたま、お話をうかがったお母さんのひとりが、中国出身の方でした。「家では中国語をずっと使っているので、1日でいろいろな日本文化に触れられる機会はすごく貴重だと思い、連れてきました」とのこと。

ちなみに娘さんは2人とも、「日本舞踊がキレイな感じがして、すごく楽しかった」と話していました。

また、「姿勢やしぐさ、挨拶などハキハキできるようになったと感じます」「今回は1-Dayのみの参加だったので、次回は長期のプログラムに申し込んでみたい」という声も多く聞かれました。

お稽古の成果をお披露目。「おけいこサマーキャンプ」の発表会をやりました!

「1-Dayいろいろ体験」のあとは、短期プログラムでお稽古を重ねてきた子供たちの発表会です。「1-Dayいろいろ体験」に参加していた子供たちやその親御さんたちも、ホールに集まり、みんなで演奏を聞きました。

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三味線とお箏は、どちらも2クラスずつ計4チームに分かれて、お稽古の成果を披露しました。三味線では「さくら」が演奏されました。

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高学年クラスでは、背筋を伸ばし、一度も手元を見ずに演奏をしていた子も。「たった6回の稽古にも関わらず、子供たちの吸収力は素晴らしかった」と先生からのコメントもありました。

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続いてお箏の発表です。お箏でも「さくら」を演奏します。「さくら」は、お箏の手ほどきをするために作られた曲だと言われているそうです。そのため、演奏するときの指の動きを練習するのに最適なんだとか。

また、小学校1年生から4年生の子供たちで発表するAクラスは「チューリップ」、5年生から6年生のBクラスは「きらきら星」も演奏しました。

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お稽古日数がたった6日とは思えないほどの、完成度。子供たちは曲が変わると音程を変更するために弦を支える箏柱(ことじ)と呼ばれる道具を自分で動かしていました。これも、練習を重ねて位置や音を覚えていないとできないことです。

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伝統芸能のお稽古をするとなると、少し敷居が高いイメージですが、少し興味があったり、子供たちに体験させてあげたいという親御さんも多いはず。

「おけいこサマーキャンプ」そして「1-Dayいろいろ体験」に参加された方々にとって、新しい世界への入口を見つけた、特別な時間になったと思います。


「おけいこサマーキャンプ in 江東」概要

  • 開催日:2016年7月31日(日)〜8月7日(日)
    ※同時開催プログラム「1-DAYいろいろ体験」:8月7日(日)
  • 会場:江東区文化センター
  • 主催:東京都、アーツカウンシル東京(公益財団法人東京都歴史文化財団)、公益社団法人日本芸能実演家団体協議会
  • 共催:公益財団法人江東区文化コミュニティ財団(江東区文化センター)
  • 企画制作・運営:公益社団法人日本芸能実演家団体協議会
  • 協力:公益社団法人能楽協会、公益社団法人日本舞踊協会、公益社団法人日本三曲協会、一般社団法人長唄協会
  • ウェブサイト:https://www.artscouncil-tokyo.jp/ja/events/12480/

写真:鈴木穣蔵
取材・文:立花実咲

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