ACT取材ノート
東京都内各所でアーツカウンシル東京が展開する美術や音楽、演劇、伝統文化、地域アートプロジェクト、シンポジウムなど様々なプログラムのレポートをお届けします。
2016/10/03
「パフォーマンスキッズ・トーキョー」ホール公演 小野寺修二演出「ピノッキオ」を上演しました
2016年8月21日(日)に、東京都狛江市にある狛江エコルマホールにて、「パフォーマンスキッズ・トーキョー」ホール公演「ピノッキオ」が上演されました。
「パフォーマンスキッズ・トーキョー」は、国内外で活躍するアーティストを都内の学校やホール、文化施設に派遣し、子供たちとともに10日間程度のワークショップを重ね、舞台作品を創作し、最終日には発表公演を行います。
今回は狛江エコルマホールで「ピノッキオ」を上演。小学2年生から6年生までの子供たちが8日間かけて練習を重ねてきました。
小野寺修二演出「ピノッキオ」を上演
会場は満員。出演する約40人の子供たちの両親や親戚、友達も見守る中、舞台は幕を開けました。
あらすじは児童文学の名作「ピノッキオの冒険」をベースにしたものです。ゼペットじいさんが、意思を持った丸太を見つけ、木製の人形を作りピノッキオと名づけます。
最後はサメに飲み込まれてしまったゼペットじいさんを救い、人間の男の子になれるというストーリー。
「ピノッキオ」の世界を、パネルや小道具、そしてジャンプしたり走ったりしながら、みんなで表現します。
陰影と体の動きを中心に表現された「ピノッキオ」。会場は大きな拍手に包まれました。
パフォーマンスキッズ・トーキョーに参加してみて
終演後、出演していた子供たちや、その親御さんにお話をうかがいました。
こちらのお母さんは「言葉を介さない表現やコミュニケーションに興味があった」とのこと。「息子は参加するのを最初はすごく嫌がっていました。でも、1日目の練習から帰ってきたら『すごく楽しかった!』って。練習が楽しみすぎて眠れないって言っていたくらいです」
こちらのお母さんも、息子さんが恥ずかしがり屋だったから最初は心配だったと話していました。
「大人も観て楽しめる作品になっていたのが驚きでした。息子も練習に出るようになってから、目の輝きがすっかり変わりましたね」
「大阪から引っ越してきて、地域に馴染む一歩として参加させてみようかと思いました」というこちらのお母さん。娘さん本人は、人見知りをせず、はじめからのびのびと楽しんでいたよう。母娘共々、機会があればまたぜひ参加したいとのことでした。
子供の個性を引き出すパフォーマンスを
演出を務めたのは、演出家・俳優の小野寺修二さんです。
「『ピノッキオ』の持つ親子、嘘という2つのテーマに惹かれ、題材を決めました。今回は40人という大所帯でしたが、子供たちの個性をどう引き出すかを稽古中は、ずっと考えていましたね。うちのメンバー(大人の役者陣)にも、『自分はこの40人の中のどの子だろう』って考えようと話していました。子供たちは自分の鏡のようでしたね」
大人たちも子供に混ざって同じ視点から一緒に作品作りをすることで、小野寺さんたちにとっても、チャレンジ精神を刺激された8日間だったようです。
パフォーマンスキッズ・トーキョーのホール発表公演は、来年の2月26日(日)に振付家・ダンサーの平原慎太郎さん、3月20日(月)にはダンスユニットのかえるPさんそれぞれを招いた、子供たちとの公演を予定しています(出演者募集は10月中旬〜12月中旬を予定)。どなたでも観に行けますので、お子さんのいる親御さんや、舞台に興味のあるお子さんは、ぜひ足を運んでみてくださいね。
「パフォーマンスキッズ・トーキョー」ホール公演「ピノッキオ」概要
- 開催日:2016年8月21日(日)
- 会場:狛江エコルマホール
- 主催:アーツカウンシル東京(公益財団法人東京都歴史文化財団)、特定非営利活動法人 芸術家と子どもたち
- 共催:一般財団法人狛江市文化振興事業団
- 助成・協力:東京都
- ウェブサイト:https://www.artscouncil-tokyo.jp/ja/events/13057/
写真:鈴木穣蔵
取材・文:立花実咲