東京アートポイント計画通信
東京アートポイント計画は、地域社会を担うNPOとアートプロジェクトを共催することで、無数の「アートポイント」を生み出そうという取り組み。現場レポートやコラムをお届けします。
2013/07/16
三田POレポート 新人の体験記(3か月目)
7月2日「長島確のつくりかた研究所:だれかのみたゆめ」のキックオフが行われました。
「長島確のつくりかた研究所」という名称は、とてもあやしげな研究所に聞こえますが、アートプロジェクトについて「つくりかた」から考えていく、その名のとおり「つくりかた」を研究していく活動です。
長島確さんは、3年にわたり、墨田区、豊島区、三宅島と場所を移動させながら、「アトレウス家」というギリシャ神話や演劇に登場する一家の物語をつかったプロジェクトを実施してきた方です。まちなかでの上演は、劇場で出来ていたことは通用しないけれども、それ以上に可能性に満ちた空間でもある。この可能性を試していくために、新しく「つくりかた」から考えていこうとしています。
研究所では、ベテラン研究員の方々と一緒に組んで、一緒に研究を行う若手研究員の募集を行いました。
いよいよ全体での初顔合わせとなるキックオフ当日。
長島さんに連絡すると、椅子の並べ方をすこし悩みたいとのことで「準備開始は1時間前」と言われます。
予定通り1時間前に数人の研究員と、準備開始。
まずは顔合わせにふさわしく、全員の顔が見えるよう、円形に椅子を並べてみています。
実際に座ってみると、どこを見ても全員の顔がみえてしまうことが、初対面の人同士では、かえって気づまりでもあることに気がつきます。
その解消として、円を四角へと変え、隣同士の顔は見えなくなりました。
しかし、真正面に座っている人とはどうしても視線が合ってしまう。
何かを真ん中の空間に置こうということで、スイカ(研究員の方が持ってこられたお土産です)が置かれました。
キックオフの様子
約1時間、充分な時間をかけて、キックオフの場は作られました。
簡単に椅子を並べたら、おそらく10分もかからなかったのだと思います。
キックオフ会の話ではなく、準備の話を、紆余曲折に合わせ書いてしまったのは、結論を急がず、悩みながら試していくプロセスから、つくりかた研究所の特徴がでているように思えたからです。
今後、「長島確のつくりかた研究所」では、「だれかのみたゆめ」という上演にむけて、まずリサーチが始まります。また、同時にまちなかで上演される「だれかのみたゆめ」をどのように捕獲するのか、アーカイブの研究も行われる予定です。
果たしてどんな風に展開されていくのか。一度聞いたら忘れることのできない不思議な名前ですので、もしもどこかでこの名前をきいたらぜひ注目してみてください。
東京アートポイント計画プログラムオフィサー 三田真由美