ACT取材ノート
東京都内各所でアーツカウンシル東京が展開する美術や音楽、演劇、伝統文化、地域アートプロジェクト、シンポジウムなど様々なプログラムのレポートをお届けします。
2018/10/30
みんなでつくりあげる音楽フェス「アンサンブルズ東京」【本番編】
2018年8月26日(日)、東京タワーで「アンサンブルズ東京」が開催されました。
ワークショップを経た、プロのミュージシャンと一般参加者による参加型音楽フェスティバル。真夏の青空の下で行われたその様子をリポートします。
東京タワーの南側駐車場につくられた特設会場には、事前ワークショップで一般の人が布を持ち寄ってつくった「大風呂敷」がはためくタワーが出現。地面にも同様の大風呂敷が敷かれていました。
フェスティバルは、すべてのワークショップの参加者によるパレードで幕が開きました。
東京タワーの正面玄関からスタートし、建物内部を練り歩きながらにぎやかに演奏。東京タワーを訪れた観光客も加わり、お祭り気分を一気に盛り上げます。
特設会場のパフォーマンス1組目は、芳垣安洋とOrquesta Nudge! Nudge!のステージです。
打楽器を中心に、手作りの楽器や日用品など音の出るものならなんでもアリのこのステージ。一般の参加者約50名と即興のリズムアンサンブルを奏でます。
大迫力のその音に、観客たちは早くも魅了されていました。
芳垣安洋(打楽器奏者)
原田仁(ボイス・パフォーマー)
続いては、高木完×DJみそしるとMCごはんが登場。6組の親子が事前ワークショップでつくった「オヤコラップ」を披露します。
高木完(DJ/プロデューサー&クリエイティブ・ディレクター)
右:DJみそしるとMCごはん(ラッパー)
ラッパーネームを自分たちで考え、衣装もラッパー風にキメた参加者たち。
ラップの内容は「夏休みの思い出」をテーマに、「最近気になっていること」や「日々のお父さんの苦労」などバラエティ豊かです。たどたどしくも頑張る子供たち(と、子供に負けないくらいノリノリの大人)がとてもかわいらしく、会場は大いに盛り上がりました。
こちらのお父さんのラッパーネームは「DJ送り迎え」!
その後は、アンサンブルズ東京の芸術監督・大友良英さんと「プロジェクトFUKUSHIMA!」の代表、山岸清之進さんのトークショーが行われました。
左:大友良英(アンサンブルズ東京芸術監督/音楽家)、右:山岸清之進(「プロジェクトFUKUSHIMA!」代表)
そこに、スペシャルゲストとして女優であり創作あーちすとの“のん”さんが登場! 音楽や芝居など自身の活動について話し、「ギターがうまくなった」と大友さんに褒められて照れるひと幕もありました。
のん(女優/創作あーちすと)
トークのあとはアコースティックギターを手にライブも。RCサクセションの『I LIKE YOU』とオリジナル曲の『へーんなのっ』を披露しました。
続いて特設会場メインステージには、サンティアゴ・バスケスさんと約100名のワークショップ参加者がスタンバイ。バスケスさんのハンドサインに従って、さまざまな楽器と歌で即興のアンサンブルがつくられていきます。
サンティアゴ・バスケス(打楽器奏者/作曲家/指揮者)
今回は、一般参加者に加えて「サンティアゴスペシャルバンド」のメンバーも参加。柴田聡子(ボーカル)、原田仁(ボーカル)、大友良英(ギター)、勝井祐二(バイオリン)、鈴木広志(サックス)、木村仁哉(チューバ)、かわいしのぶ(ベース)、高良久美子(ヴィブラフォン/パーカッション)、芳垣安洋(ドラム/パーカッション)などの面々が舞台を彩ります。
高良久美子(ヴィブラフォン/パーカッション)
鈴木広志(サックス)
陽が傾き、夜が近づいていく幻想的な風景のなかで、音楽はどんどん展開していきます。みんなで一斉に音を出す瞬間もあれば、ソロパート、打楽器の音だけが静かに鳴る場面など、その振り幅の広さにおどろかされます。
不協和音や偶然生まれた音の強弱は、まさに即興演奏ならでは。
終盤には観客も拍手で「演奏」に参加するなど、会場がひとつになっていく様子はドラマチックでした。
柴田聡子(ボーカル)
こうして歓声と拍手に包まれながら今年のアンサンブルズ東京は閉幕。その後は、会場を彩った「大風呂敷」を、出演者と来場者が一緒になって片づけました。
プロもアマチュアも観客も一体となって、音楽に酔いしれる夏の終わり。終演後、みんなすがすがしい笑顔になっていたのが印象的です。
来年もまた参加したいと思います!
アンサンブルズ東京
- 日程:2018年8月26日(日)15:00
※事前にワークショップを実施 - 会場:東京タワー 南側駐車場など
- 主催:アーツカウンシル東京(公益財団法人東京都歴史文化財団)、アンサンブルズ東京実行委員会【ピースリーマネジメント有限会社、特定非営利活動法人大丸有エリアマネジメント協会、株式会社文化放送】
事業ページ:https://www.artscouncil-tokyo.jp/ja/what-we-do/creation/festivals/ensembles-tokyo/26663/
撮影:鈴木穣蔵
取材・文:平林理奈