東京アートポイント計画通信
東京アートポイント計画は、地域社会を担うNPOとアートプロジェクトを共催することで、無数の「アートポイント」を生み出そうという取り組み。現場レポートやコラムをお届けします。
2018/11/27
人生の先輩に出会う—声は、どこまで届けられるのか?―Artpoint Letterより
東京アートポイント計画では、毎月1回メールニュース「Artpoint Letter」を配信しています。
2018年11月号のメールニュースより、プログラムオフィサー・佐藤李青の記事をご紹介します。
「ラジオ下神白 あのときあのまちの音楽からいまここで」活動風景
60代と80代では思い出のヒット曲が違う。
言われてみれば、当然のことです。いまの10代と流行りの音楽を語り合えるか。50代の人と思い出の曲を共有できるか。全く自信はありません(何となく50代はいけそうな気もしますが……)。20年の隔たりを30代の自分の身に置き換えると分かることも、世代の違う「誰か」の話になってしまうと、つい想像力が働かなくなってしまいます。
福島県いわき市にある県営の復興公営住宅「下神白(しもかじろ)団地」。この団地を舞台としたプロジェクト「ラジオ下神白 あのときあのまちの音楽からいまここで」では、住民の方々の思い出の音楽と人生の語りを集め、編集したラジオ番組を制作しています。冒頭の台詞は本プロジェクトのディレクター、アサダワタルさんに活動の実感を伺ったときに出てきたものでした。
下神白団地には、どういう方々が住んでいるのか?
そう聞かれると、つい次のような説明をしてしまいます。
約200世帯が入居しており、75歳以上が約40世帯、60歳以上になると約80世帯、いずれも独居の数で(高齢者同士の)同居も含めると約160世帯が高齢世帯だと聞いた。
(「往還する記憶—「ラジオ下神白」から」(7年目の風景)より)
不思議なことに「ラジオ下神白」の番組を収録したCDを聴いていると、この団地に住まう、ひとりひとりに出会っているような感覚になります。世帯数の比率は変化しているとはいえ、いまも「高齢者」が多い団地であることは変わりがありません。それでも収録された「声」に触れることで、高齢者という言葉で一括りにするには余りあるほど、多様で、波瀾万丈な人生を歩んできた先輩たちが、遠くの団地に確かに「いる」ことを近くに感じます。「声」がもつ親密さがもたらすものなのかもしれません。
その声を、どこまで届けることができるのか?
(そこそこ)遠く離れた東京の地で「体感」する場をつくることは可能か?
この12月、下神白団地内を還流してきた「ラジオ下神白」の活動が新たな展開を迎えます。題して「REC⇄PLAY ある復興団地の「声(風景)」をなぞる 「ラジオ下神白 あのときあのまちの音楽からいまここへ」の報奏会」。ん、声をなぞるって? え、報奏会? 重なる謎に引っかかった方は、ぜひ12月8日にROOM302(3331 Arts Chiyoda 3F)へ。師走に訪れる、必見、いや必聴の企画です。みなさまのご来場をお待ちしております!
Art Support Tohoku-Tokyo トークセッション#03
REC⇄PLAY ある復興団地の「声(風景)」をなぞる
「ラジオ下神白 あのときあのまちの音楽からいまここへ」の報奏会
日時:2018年12月8日(土)14:00~19:00(開場13:30)
会場:ROOM302(東京都千代田区外神田6-11-14-302[3331 Arts Chiyoda 3F])
参加費:無料/定員:30名(要事前申込/通し参加優先)
※イベント詳細とお申し込み方法はこちらをご覧ください。
「ラジオ下神白」の活動は以下のブログでも触れています。
>「往還する記憶:ラジオ下神白から—7年目の風景(7)」
>「風景を重ね合わせる—東北からの風景(1)」
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