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アーツカウンシル東京のスタッフや外部ライターなど様々な視点から、多様な事業を展開しているアーツカウンシル東京の姿をお届けします。

アーツアカデミー

アーツカウンシル東京の芸術文化事業を担う人材を育成するプログラムとして、現場調査やテーマに基づいた演習などを中心としたコース、劇場運営の現場を担うプロデューサー育成を目的とするコース等を実施します。

2021/01/22

アーツアカデミー2020 第3回レポート:活動の意義を伝える評価軸を磨く ~活動を振り返り、改善・変革していく術を磨く~[講師:源由理子さん]

第3回講座は「活動の意義を伝える評価軸を磨く ~活動を振り返り、改善・変革していく術を磨く~」と題し、前年度に引き続いて源由理子(みなもと・ゆりこ)さんを講師にお迎えしました。前回の山元さんの回では自らの活動を分析しヴィジョン、ミッションを考えましたが、今回は次のステップとして、ヴィジョン、ミッションへ向かっていくためにはどうしたらよいのかが見えてくる回となりました。

講座のロジックモデル

まずは今回の講座をロジックモデルに当てはめて、講座の構成とロジックモデルについて説明がありました。これによって、講座自体が視覚化され、評価の対象になるということがわかり、受講生にとって評価というものが身近に感じられていたようでした。レクチャーが始まると、「誰の価値で判断するかで評価軸が変わってくる、というのが評価」と源さん。指標の測定=(イコール)評価ではなく、例えば「7割が成功した」という事実を「7割も」というか、「7割しか」というかでは評価が変わってくるということ。評価と聞くと、客観的な事実(数字)の測定ということがすぐに頭に浮かぶかもしれませんが、それだけではなく価値判断という要素が必ず必要になり、この価値判断をするためにも誰の価値基準を用いるのかということがとても重要になります。そのため、誰のため/何のための評価、誰が評価情報を使うのかを確認し、評価結果が活用されなければ意味はないと強調されました。

総括的評価と形成的評価の説明

また、社会における何かしらの事業に対して用いるプログラム評価では、結果だけではなくプロセスを評価することが重要と源さんはおっしゃいます。この、過程(活動の実施プロセス)の評価のことを「形成的評価」と言い、これに対して総合的な結果がどうだったかというものが「総括的評価」と言います。プログラム評価は、そのプログラムを改善するために活用するので、「総括的評価」と「形成的評価」を行き来して考えることが大事になってきます。

グループワークで作成したロジックモデル

今回の講座では架空の団体の事例をもとにロジックモデルを作るというグループワークを行いました。前年度はホワイトボードに付箋を貼り受講生全員で意見を出し合いましたが、今回はオンライン上で各グループで1つのGoogleスライドを使い、空欄のロジックモデルを受講生同士で議論をしながら埋めていきます。「アウトカム」は、通常「成果」と訳されますが、それは、「活動・事業をしたことで起こる良い変化、望ましい変化」のことです。具体的な活動→中間アウトカム→最終アウトカムの3段になっている構造を行ったり来たりしながら考えていきます。

実際に評価をやってみることで、たくさんの気づきがある演習となりました。特に実感できたのは、ロジックモデルを考えることが対話のツールになるということです。「ロジックモデルとは評価対象の構造を可視化する道具」、「関係者間の共通言語」と源さん。プロジェクトや組織を改善するために必要な対話が実は難しく、糸口をつかめないまま対話ができないと、課題解決の道は遠のいてしまうものですが、ロジックモデルにより、この難しさが解決できるということが、受講生の希望につがなったように思いました。

最後のまとめのレクチャーをする源さん

講座を受ける前までは、評価とは成績表をつけられるようなイメージを持つ受講生もいたようですが、評価の本質を知ることで、苦手意識を克服でき、「評価はより良い社会を実現するための道具である」という源さんの言葉で前向きに捉えることができました。決して一方的なものではなく、プロジェクトに関わる人が対話をすることによって課題へと向き合えるツールとして活用される評価。こうした評価を受講生自らが作っていけるようになれば良い変化が起こるのではと期待がこみ上げてくる講座となりました。


講師プロフィール

源由理子(みなもと ゆりこ)
明治大学公共政策大学院ガバナンス研究科・教授
明治大学プログラム評価研究所・代表
国際協力機構(JICA)等を経て現職。専門は、評価論、社会開発論。改善・変革のための評価の活用をテーマとし、政策・事業の評価手法、評価制度構築、参加型・協働型評価に関する研究・実践を積む。最近は、評価の過程におけるステークホルダー間の「対話」と価値創造、それを可能にする評価ファシリテーションの機能に注目している。プログラム評価研究所では自治体、NPO、財団、企業のCSR等の評価実践現場を支援。国際基督教大学卒、東京工業大学大学院社会理工学研究科博士後期課程修了、博士(学術)。

執筆:アーツアカデミー広報担当 山崎奈玲子(やまざき・なおこ)
運営:特定非営利活動法人舞台芸術制作者オープンネットワーク(ON-PAM)

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