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アーツカウンシル東京ブログ

アーツカウンシル東京のスタッフや外部ライターなど様々な視点から、多様な事業を展開しているアーツカウンシル東京の姿をお届けします。

ACT取材ノート

東京都内各所でアーツカウンシル東京が展開する美術や音楽、演劇、伝統文化、地域アートプロジェクト、シンポジウムなど様々なプログラムのレポートをお届けします。

2023/03/24

有形文化財の寺を活用した能や落語の公演、街なか音楽祭や地域のアートフェスティバルも対象に!? 【地域芸術文化活動応援助成】活用のススメ。

公益財団法人東京都歴史文化財団 アーツカウンシル東京では、東京の芸術文化の魅力向上をめざす事業の一つとして、さまざまな芸術文化活動を支援する多彩な助成プログラムを展開しています。その中に、2023年度から都内各地域の文化財や文化資源を活用した公演や展示、アートプロジェクトなどを支援する新たな助成プログラムが加わります! 「最大で200万円助成します。積極的に活用してほしい」と語るのはアーツカウンシル東京助成課のシニア・プログラムオフィサー酒井徹さん。どんな内容なのか詳しく教えてもらいました。

教えて!「地域芸術文化活動応援助成」

――どんな支援をしてくれるのですか?

酒井徹さん(以下、「酒井」):地域芸術文化活動応援助成(以下、「地域応援助成」)は、東京都内の各地域の特色ある文化の醸成・発展を促進する芸術文化活動を支援します。また、各地域の文化財や文化資源を未来に向けて継承し、その魅力を地域内外に広く発信する取り組みも積極的にサポートします。具体的には、東京都内の芸術文化活動を行う芸術団体、NPO、実行委員会や無形民俗文化財を継承する団体などが主催する活動の経費の一部を助成するというものです。

――この助成プログラムが生まれた経緯は?

酒井:東京都の「『未来の東京』戦略」の中に、「東京に集積する芸術文化資源を最大限活用し、世界のアートシーンの中心に」という戦略があります。この実現に向けて、誰もが芸術文化に身近に触れられる環境の整備が求められています。こうした背景を受けて、区市町村や地域の芸術文化団体等による芸術文化活動の活発化を促進し、地域の芸術文化を暮らしの中で楽しめる環境づくりをより応援するために新たな助成プログラムとして「地域応援助成」を設けました。また、「地域応援助成」を通して、コロナ禍で停滞していた地域の芸術文化活動の回復を後押しすることで、地域活性化や地域振興も目指しています。

活用のススメ1

その活動もあてはまる⁉︎ 幅広い4つの事業が助成対象

――どんな活動が応募できますか?

酒井:【無形民俗文化財活用事業】【有形文化財(建造物)・歴史的建造物等活用事業】【地域文化資源活用事業】【地域の文化魅力づくり事業】の4つの事業が助成対象となっていて、該当する活動であれば応募することができます。それぞれの事業基準と、例えばどんな活動が対象となり得るかを紹介します。

  1. 【無形民俗文化財活用事業】とは
    東京都内の無形民俗文化財(国または地方公共団体により指定・選定・登録されたもの)を公開し、その安定的な継承に資する芸術文化活動(公演、展示、アートプロジェクト等)を指します。
    —–対象となり得る活動の例—–
    ・東京都の無形民俗文化財に指定される伝統芸能の公演
    ・市の無形民俗文化財(民俗芸能)に指定されるお囃子の実演 など
  2. 【有形文化財(建造物)・歴史的建造物等活用事業】とは 
    東京都内の有形文化財(建造物)(国または地方公共団体により指定・選定・登録されたもの)や、東京都内の歴史的建造物等を活用し、その魅力や価値を高める芸術文化活動(公演、展示、アートプロジェクト等)を指します。
    —–対象となり得る活動の例—–
    ・国や区市町村の有形文化財に登録されている寺を活用した能楽や落語の公演
    ・市庁舎、銀行、学校など、明治から昭和までの文化的遺産となる建築物を活用したアートプロジェクト など
  3. 【地域文化資源活用事業】とは
    東京都内の特定の地域の文化資源を発掘し、地域に根付かせていく芸術文化活動。また、既に地域に定着している文化資源を活用し、継承・発展させていく芸術文化活動(公演、展示、アートプロジェクト等)を指します。
    —–対象となり得る活動の例—–
    ・地域の文化的特色を形づくる地場産業を軸に街の活性化を目指すアートプロジェクト
    ・クラシック音楽の演奏などを通して地域の文化的遺産を次世代につなげるとともに、街づくり、活性化を目指した音楽祭
    ・落語や太神楽などさまざまな演芸を通して、地域の芸術文化として親しまれることを目的としたお祭り など
  4. 【地域の文化魅力づくり事業】とは
    地域市民による自主的な地域密着型の芸術文化活動。地域市民の誰もが参加することができて、継続的な活動を通して将来的に地域に根ざし、その地域の文化的魅力を高める活動を指します。
    —–対象となり得る活動の例—–
    ・地域市民が主体となって実施する芸術文化活動
    ・大道芸やダンス、美術などのアーティストが多くの市民と協力して地域の特色づくりを目指すフェスティバル など
※いずれの事業も実施場所は東京都内かつ公開活動が必須です。
※夏祭りやクリスマスイベントなど町会や商店会が主催する一般的な祭りやイベントは対象外です。

活用のススメ2

【活動の可能性が広がる!助成上限額200万円】

――申請区分は2つあると聞きました。

酒井:助成上限額の違いで「区分1」と「区分2」に分かれています。いずれの助成対象事業(活動)も「区分1」か「区分2」のどちらかを選んで申請していただきます。「区分1」は50万円、「区分2」は最大で200万円の助成が受けられます(助成対象経費の1/2以内)。「区分2」は、多くの地域市民(1,000人以上を目途)が地域の芸術文化に触れ、参加できる事業が対象です。地域の活性化にもつながる中規模クラスの芸術文化活動の支援を図りたいと考えています。

――各区分で「審査の視点」が違うんですね。

酒井:「区分1」「区分2」では下記の「審査の視点」が違います。審査にあたって、「区分1(50万円)」は(1)~(3)の3項目を、「区分2(200万円)」は(1)~(5)の5項目を重視します。みなさんの活動がこれらの視点を踏まえられているか、申請の際はあらためて確認してみてください。

「審査の視点」

  1. 計画性
    ・事業の目的と具体的内容が合致しており、収支予算書、実施体制が適正である。
  2. 地域性
    ・地域の芸術文化に誰もが触れ参加できる環境を促進する活動である。
    ・その地域ならではの特色を生かした文化財や文化資源の価値を、地域内外の人々が認め、共有していける活動である。
    ・地域の文化的特色の形成に寄与する活動である。
  3. 継続性/継承性
    ・単発の事業に終わらない継続的な活動である。
    ・地域の文化財や文化資源の価値を次世代に継承していく活動である。
  4. 連携力 *「区分2」のみ
    ・地域内外の団体や組織、コミュニティ、メディア等との連携・協力関係が幅広く築かれており、充実している。
    ・協賛や助成、現物供与支援ほか、資金面での協力・支援体制を開発している。
  5. 発信力 *「区分2」のみ
    ・地域内外から観客や参加者が集まり、地域振興や観光振興に結び付く活動である。
    ・広報計画が良く練られており、動員力や事業成果の発信力が見込める。
※審査の視点をどれだけ満たしているかを総合的に判断し審査します。
※「区分2」は、団体の実績として、申請する事業と同じ内容の事業を、同地域で1回以上主催していることが必須です。

活用のススメ3

【“これならできる!” 誰でもわかりやすい申請書】

――助成プログラムの「申請書」は複雑で難しい印象があるのですが……。

酒井:応募意欲はあるものの、多くの方が申請をためらう要素の一つかもしれません。「地域助成」は、「区分1」「区分2」でそれぞれ専用の申請書がありますが、「区分1」の申請書は“これならできる!”と思っていただけるように記入項目を減らし、簡略化しました。助成の応募が初めての団体のみなさんにも、ぜひトライしていただきたいです。

――申請書作成にあたってアドバイスはありますか?

酒井:基本は申請書に空欄がないようにしっかり確認してください。強いて言うのであれば、申請書内の「事業の趣旨・目的」部分を5つの「審査の視点」を踏まえて書いてみてください。みなさんの活動が地域や社会に対してどのように影響する(メリットを与えられる)かも大事なポイントです。みなさんの芸術文化活動の「意義」を言語化して申請書を通じて伝えていただきたいです。

活動、求ム!いよいよ、第1期公募開始

――第1期の公募が始まりましたね。

酒井:みなさんの芸術文化活動の支援とさらなる継続発展を推進するべく、たくさんの応募をお待ちしています。もし“助成対象事業にあてはまるかわからない”など、申請にあたって少しでもわからないことがあれば、ぜひお気軽にお問い合わせください。新しい地域の芸術文化活動との出会いを楽しみにしています!


2023年度 第1期「地域芸術文化活動応援助成」について、詳しくはこちらをご覧ください。
助成申請を検討されている方を対象に4月4日(火)に公募説明会を開催します(要事前申込、定員あり)。公募説明会についてはこちらをご覧ください。

「地域芸術文化活動応援助成」に関するお問い合わせ
公益財団法人東京都歴史文化財団 アーツカウンシル東京 助成課助成係
TEL:03-6256-8431(平日10:00~18:00)
E-mail:josei@artscouncil-tokyo.jp


このインタビュー記事の英語版/ English version of this page [PDF].

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