F/T15 special
フェスティバル/トーキョー(F/T)ディレクターズコミッティのメンバーで、ドラマトゥルクの横堀応彦が、今年のF/Tの見どころを独自の視点でお伝えする限定ブログ。
2015/10/30
フェスティバルならではの《出合い》を楽しもう
国際的な舞台芸術の祭典「フェスティバル/トーキョー(F/T)」が今年も10月31日から12月6日にかけて開催されます! これから5回にわたって、フェスティバル/トーキョー15の見どころなどについてご紹介していきます。
仕事柄、海外のフェスティバルに行くことが多いのですが、例えば今年の7月に訪れたアヴィニョン演劇祭では、まちの至る所にチラシが貼られており、食事をしながら次に観る演目を考える観客たちの姿がありました。
アヴィニョン演劇祭では約3週間の会期のあいだに、インと呼ばれる公式プログラムが約40作品、オフと呼ばれる自主参加演目が約1,300作品上演されています。今年のオフでは日本からも劇団「開幕ペナントレース」がアーツカウンシル東京の助成を受け公演を行い、連日大入りの人気でした。(なにせ1,300作品も上演されているので、お客さんの取り合い合戦は熾烈を極め、中にはお客さんの来ない演目もあるとか・・・)
しかし公式プログラムが40作品もあると、どの作品を観ればいいのか全く分からず、時には「ハズレ」の作品に出合うことも。ですがそんな中、それまで全く知らなかった面白いものと《出合う》チャンスが溢れているのがフェスティバルの最大の魅力です。毎朝起きて、仕事へ行って、帰宅して・・・。社会人になると、それまで知らなかったものと出合う機会はそれほど多くありません。そんな日常から少し離れて、いくつかの作品の中から《偶然の出合い》を見つけること。これこそがフェスティバルの醍醐味なのです。
今年のフェスティバル/トーキョーでは12の主催プログラムが上演されます。フェスティバルを最大に楽しむには全ての作品をご覧いただくのが一番!ではありますが、3演目セット券や5演目セット券など「観れば観るだけお得」なチケットも設定してありますので、是非複数の作品をハシゴして《知らないものとの出合い》を楽しんでいただければと思います。
F/Tのオープニングを飾る『真夏の夜の夢』(演出:宮城聰)を製作している静岡県舞台芸術センター(SPAC)は昨年アヴィニョン演劇祭の公式プログラムにも招聘されたばかり。もう1つのオープニング演目である『フェスティバルFUKUSHIMA!@池袋西口公園』は、なんと2日間とも入場無料でお楽しみいただけます。出演アーティストも一挙発表された《フェスティバルの中のフェスティバル》に是非お越しください!
昨年の『フェスティバルFUKUSHIMA!』撮影:菊池良助 (c) Ryosuke Kikuchi
『真夏の夜の夢』photo: K.Miura
なお『フェスティバルFUKUSHIMA!@池袋西口公園』2日目の11月1日は、東京芸術劇場コンサートホールで開館25周年記念コンサート『ジョワ・ド・ヴィーヴル―生きる喜び』が開催されます。若き音楽家鈴木優人さんがディレクションした2部構成の演奏会にはフェスティバル的要素が満載! 西口公園でライブを楽しみ、盆踊りを踊ったあとは、コンサートホールで《生きる喜び》が見つかるかも!?