今期は、昨年度第Ⅱ期と比べ申請件数は減少したものの採択件数が増加し、採択率も39.8%(昨年度同期24.2%)となりました。申請の傾向として活動成熟・トップ期にある団体からの申請が減少した点と、教育普及(アウトリーチ)や人材育成など芸術創造環境に資するプログラムの増加が目立ちました。
以下に、今期の採択結果をまとめました。
《音楽分野》
音楽分野における申請は、当助成プログラムに初めて申請する団体が6割を占め、オペラや室内楽等のクラシック音楽や現代音楽に加えて、和楽器や日本の伝統芸能、伝統文化と現代的な音楽表現とを結び付ける企画が目立ちました。また、地域に密着したフェスティバルや教育的な活動に関する申請が増加傾向にあります。すでに活動実績の豊富な申請団体が多く、当助成の基本方針である「各ステージにおける助成方針」に照らし、助成の必要性と効果を慎重に検討しました。
《演劇分野》
演劇分野の申請件数39件の内訳は、劇団・ユニット・実行委員会からの申請31件、企画制作会社によるプロデュース公演の申請7件、中間団体からの申請1件でした。当助成の基本方針である「各ステージにおける助成方針」に則り、劇団・ユニット等からの公演事業の申請については活動基盤形成期(若手)または活動拡大・発展期(中堅)にあり、かつ「審査基準」に照らして優れている点が見出される団体を優先しました。また公演の他にも、障害者や高齢者、病気の子供達に向けたアウトリーチ事業や、若手舞台芸術人材の育成事業、劇団アトリエを活用した演劇による地域活性事業などの申請がありました。これらについては企画内容と団体の実績を総合的に判断し、いずれも採択となっています。
《舞踊分野》
舞踊分野では、コンテンポラリーダンスやクラシックバレエ、ストリートダンス、大道芸などの幅広い活動団体から申請がありました。また、特徴として、身体表現の多様性を探求するプロジェクトや障害のある方とのコラボレーション(共同制作)など、既存の枠組みに捉われない活動の申請も見受けられました。平成26年度第Ⅰ期と比較して申請件数は減少しましたが、意欲的な活動が多く、採択率は上昇しています。審査にあたって、活動基盤形成期は将来性を、活動拡大・発展期は創造的な活動を持続している点や国際性を、活動成熟・トップ期は後進育成の視点を持った活動である点を踏まえて判断しました。
《美術・映像分野》
美術・映像分野では、展示や上映、ワークショップなどの形態や構成を工夫して、地域コミュニティとアーティストの新しい価値観やつながりを探求するプロジェクトや、アジア諸国・地域との人的交流・芸術交流のプロジェクトの申請が目立ちました。また、これまで申請の少なかった平面の美術作品を扱うプロジェクトや、美術館における企画展のための申請があったことも特徴で、今後の新しい傾向につながることが期待されます。平成26年度第Ⅰ期と同様、充実した企画内容の申請が多く、高い採択率となっています。
《伝統芸能分野》
伝統芸能分野の申請件数は平成26年度第I期から半分に減り、ほとんどが都内の事業でした。昨今の伝統芸能を巡る表現内容並びに表現形態、公演の運営方法などの変化を反映して多様な企画の申請があり、鑑賞環境の刷新や鑑賞者への新しい働きかけを目指す企画が目立ちました。審査にあたっては、継承性の観点を重視すると共に、当助成プログラムの趣旨である創造活動支援の視点から、どのような具体的成果が期待されるかどうかに注目しました。
《複合・その他分野》
複合・その他の分野については、申請内容より、演劇、舞踊、音楽、美術・映像、伝統芸能の複数の分野にまたがるものを振り分けました。舞台芸術の制作者やアーティストを対象とした人材育成など、芸術創造環境に資するプログラムや、独創的な複合表現を試みるプロジェクトや公演などが採択となりました。
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