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アーツカウンシル東京ブログ

アーツカウンシル東京のスタッフや外部ライターなど様々な視点から、多様な事業を展開しているアーツカウンシル東京の姿をお届けします。

ACT取材ノート

東京都内各所でアーツカウンシル東京が展開する美術、音楽、演劇、伝統文化、地域アートプロジェクトなど様々なプログラムを外部ライターが取材し、現場の様子をお届けする取材日記です。

2017/09/13

主役は子供たち。アーティストとつくりあげる舞台作品【発表公演編】

小・中学校やホールで、アーティストと子供たちがオリジナルの舞台作品をつくる「パフォーマンスキッズ・トーキョー」。練馬区のIMAホールでは、珍しいキノコ舞踊団主宰の伊藤千枝さんが構成と振付を務めました。8日間のワークショップを経てできあがったのは、ダンスに歌にと盛りだくさんの『ナルのね物語』。2017年8月19日、その発表公演が行われました。

※ワークショップの様子はこちら

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満席の会場が見守るなか、いよいよ開演! ステージ後方の幕とフロアの間から、子供たちが這って登場しました。

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続いて伊藤千枝さんが登場し、「3本足の生き物!」「100本足の生き物!」と呼びかけます。するとみんなが自由にそれを表現。伊藤さんが出す即興のお題に、子供たちはいろいろな工夫をしながら一生懸命応えます。

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舞台美術は、作家・イラストレーターのD[diː]さんが担当。ワークショップのなかで子供たちと一緒に描きあげた絵が、ファンタジックでにぎやかな世界観を引き立てます。

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「さあ、冒険の旅に出かけよう!」というセリフをきっかけにグループに分かれ、体を使って思い思いの「トンネル」をつくります。ステージの左右にあるゲートをつなぐように、トンネルをくぐりながら移動。最後のひとりがくぐり終わるまで、観客は応援するように見守っていました。

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冒険は続き、伊藤さん扮する魔法使いが現れました。同じく魔法使いに指名された子が代わる代わる「猫になあれ」「メガネになあれ」と唱えると、子供たちは全身を使ってそれを表現します。なかには、ほかの子供に声をかけて協力し合うことも。上の写真は「メガネ」を表しているところです。

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続いてのシーンでは、舞台上につくられたゲートからさまざまな動物たちが登場。グループごとに力を合わせて、それぞれ象やキリンなど好きな動物を表現します。

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場面が変わり、今度はみんなそろってアカペラで合唱! 歌に合わせた振り付けは子供たちが考えたそうです。

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続いて陽気な音楽が流れ、リズムに合わせてダンスを踊ります。観客を目の前にしても物怖じせず、生き生きと全身で舞う姿は圧巻です。

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最後のシーンでは、観客も一緒にダンス。観客として来ていた子供たちも思わず立ち上がって踊り出します。

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決められたセリフはほとんどなく、子供たちのアイデアが生きた『ナルのね物語』。あっという間に約45分間の上演が終了しました。会場は拍手に包まれ、気がつけばそこにいる全員が笑顔になっていました。


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終演後は参加者とその保護者がロビーに集まり、打ち上げのような状態になっていました。子供たちは興奮冷めやらぬ様子で、感想を言い合ったり、写真を撮り合ったり。伊藤さんの前には参加者が列をつくり、9日間を過ごした思い出を残していました。みんなの晴れ晴れとした表情がとても印象的でした。

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参加者にインタビュー

参加した子供たちと親御さんにお話を聞いてみました。
まずは、重要な役にも積極的に立候補していたこちらの男の子。

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「みんなでトンネルをつくるところが楽しかった。男の子は少なかったけど、仲良くなれてよかった」と話してくれました。お母さんに参加のきっかけを聞くと、「去年、私の姉と姉の子供が参加してすすめられた」とのこと。ワークショップには子供だけが参加するルールだったので「これまでどんな様子かわからなかったけど、本番を観たらすごく楽しそうで。参加させてよかったです」とおっしゃっていました。

続いては、とても楽しそうにダンスを踊っていた女の子。

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学校からパフォーマンスキッズ・トーキョーのチラシを持って帰ってきて、自ら参加したいと言ったのだそう。ふだんから踊ることが大好きで、「ダンスのシーンが一番楽しかった」と笑顔で話してくれました。お母さんは「ステージで堂々と踊ったり歌ったりしているのを見て、すごく度胸があるんだなとおどろきました」と話していました。

毎年、子供たちの成長を見るのが楽しい

パフォーマンスキッズ・トーキョーの会場は、ホールからのエントリーを受けて選出しています。今回の会場であるIMAホールの担当者にお話を伺いました。
「きっかけは、若い人に発表の場をもたせてあげたいという思いから。ここ数年は続けてエントリーし、IMAホールを使ってもらっています。また応募したくなるのは、わずかな期間で大きく成長する子供たちの姿を見るのが毎年楽しいからです」。予想外の発想や行動に、「大人の私たちのほうが勉強させられることも多い」とおっしゃってました。

子供たちのアイデアが詰まった舞台

最後に、構成・振付・出演の3役を務めた伊藤千枝さんにも感想を聞きました。

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ワークショップでは、子供たちに意見を聞きながら一緒につくっていった伊藤さん。「『みんなも踊りつくりたい?』と聞いたら、『つくりたい!』と言う子もいれば、『つくりたくない』という子もいて。みんなちゃんと自分の考えを伝えてくれるんです」と話します。「私は指示を出すのではなく、意見をとりまとめて具体的な動きを提案するような役割でした。だから、ほとんど子供たちのアイデアでつくられたようなものです」。
また、本番を振り返り「スタンバイしているときはみんなすごく緊張していたんですが、開演したらほんの数秒で舞台に慣れていましたね。ほんとうに楽しそうにやっていて、私も同じステージに立ててすごく楽しかった。子供たちと仲良くなれてうれしかったです」とおっしゃっていました。

こうして幕を閉じたIMAホールでのパフォーマンスキッズ・トーキョー。参加者にとっては、ひと夏の思い出という以上に大きな成長につながったのではないでしょうか。

パフォーマンスキッズ・トーキョーのホール公演は、来年の3月(予定)に武蔵村山市民会館でも行われます。どなたでも観覧できるので、ぜひ足を運んでみてください。


パフォーマンスキッズ・トーキョー
IMAホール(練馬区光が丘)「ナルのね物語」

  • 日程:2017年8月7日(月)、8日(火)、9日(水)、12日(土)、13日(日)、14日(月)、17日(木)、18日(金)
  • 発表:2017年8月19日(土)
  • 会場:IMAホール(練馬区光が丘)
  • アーティスト:伊藤千枝(振付家・演出家・ダンサー・珍しいキノコ舞踊団主宰)
  • 主催:アーツカウンシル東京(公益財団法人東京都歴史文化財団)、特定非営利活動法人 芸術家と子どもたち
  • 共催:IMAホール
  • 助成・協力:東京都
  • 「パフォーマンスキッズ・トーキョー」事業ページ:https://www.artscouncil-tokyo.jp/ja/what-we-do/creation/festivals/performance-kids-tokyo/18065/

撮影:鈴木穣蔵
取材・文:平林理奈

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