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東京芸術文化創造発信助成[長期助成プログラム]活動報告会

アーツカウンシル東京では平成25年度より長期間の活動に対して最長3年間助成するプログラム「東京芸術文化創造発信助成【長期助成プログラム】」を実施しています。ここでは、助成対象活動を終了した団体による活動報告会をレポートします。

2018/04/17

第2回「身体を透してみえてくるもの-更新をつづける国際ダンスフェスティバル Dance New Air」(前編)

対象活動:一般社団法人ダンス・ニッポン・アソシエイツ「Dance New Air」(平成27年度採択事業:2年間)
スピーカー(報告者)
宮久保真紀(チーフプロデューサー)
平岡久美(プロデューサー)
小野晋司(プロデューサー)
小林裕幸(プロデューサー)

司会進行:企画助成課シニア・プログラムオフィサー 今野真理子


助成対象活動の概要

体制を一新して始動したフェスティバル「Dance New Air」の2年間にわたる活動展開。

  • 1年目
    フェスティバル前年の新企画サイトスペシフィックシリーズ公演の実施とフェスティバルのプログラミングのためのリサーチとプログラム制作。
  • 2年目
    フェスティバルの開催。6プログラム・全16公演のダンス上演企画に加えて、新旧の優れたダンスフィルムの上映企画や屋外パフォーマンス、ワークショップ、ブックフェアも展開。提携プログラムとして、音楽家、蓮沼執太による展覧会とのコラボレーション、ダンスと託児の新機軸「ダンス保育園!!」、世界のダンスプロデューサー20名の招聘プログラム「International Dance Network」等、多岐にわたるプログラムを通して約6万4000人が参加。国内外のフェスティバルとのネットワーキングにも意欲的に取り組み、来る2018年のフェスティバル開催に向けて広がりのあるプロセスを構築した。

第1部:自己紹介&分析 “越境し、都市に根を張るDNA”
東京都港区青山界隈を主な舞台として、2年に1度開催される、国際ダンスフェスティバル「Dance New Air」。アーツカウンシル東京の東京芸術文化創造発信助成【長期助成プログラム】を得た、2年間の活動報告(第1部)は、チーフプロデューサー・宮久保真紀さんによる、前身となったフェスティバル「ダンスビエンナーレトーキョー」のスタートから現在までの来歴紹介、事業紹介を中心としたものになりました。
(文:鈴木理映子)
「ダンスビエンナーレトーキョー」は、青山劇場・青山円形劇場の自主事業として、2002年にスタート。世界中の新たな才能を紹介し「コンテンポラリーダンスの現在」を提示し、国内でも有数規模のダンスフェスティバルとして開催初期から大きな注目を集めていた。2004年にはスパイラルが参画。2006年以後は3年ごとに開催する「ダンストリエンナーレトーキョー」となったが、近隣のミニシアターのシアター・イメージフォーラムでのダンス映像上映や、青山ブックセンターなども巻き込んだプロモーション企画の数々は、フェスティバルとしての広がりをいっそう印象づけていた。

そんな大プロジェクトが岐路に立たされたのは2012年の「ダンストリエンナーレトーキョー」開催直前のこと。主催の中心である青山劇場・青山円形劇場(公益財団法人児童育成協会)の2015年3月での閉館を厚生労働省が発表した。そんな状況の中、閉館前の最後の年にあたる2014年秋にはフェスティバルの名称を変えた「Dance New Air」を開催。この時点では、2016年以後の開催は決定的なものではなかったが、継続の可能性を模索し、新たな法人(一般社団法人ダンス・ニッポン・アソシエイツ)を立ち上げることを検討する中で出合ったのが、アーツカウンシル東京の長期助成プログラムだった。

「申請した時にはまだ実行委員会で、一般社団法人としてやるかどうかも決まっていませんでした。ただ、新たな組織を立ち上げて継続していく意志があるということを書面でも、面談でもお伝えしました。2年に一度のフェスティバルですので、どうしても事前準備には時間が必要です。単年ではなく、長期の助成というのはそういった意味でもありがたいものでした」(宮久保)

この助成が決まったことで、「Dance New Air」は2016年の次回開催に向けて、本格的に動きだす。1年目にはフェスティバル招聘作品検討の為の視察として、モンペリエ・ダンス・フェスティバル(フランス)、GRECフェスティバル(スペイン)などを訪問、現地でのリサーチ、ミーティングも重ねた。こうした場で新たなアーティストや作品に出合い、具体的な出演交渉を行っても、スケジュールなどの諸事情で、実際のプログラムには反映されないこともあるという。だが、世界のダンス表現の現在を目撃し、その魅力や課題を共有することは、フェスティバルを常に新鮮に保ち、未来へ向けて刷新し続けることにもつながる。

1年目の活動:フェスティバルのプログラミングのためのリサーチ。モンペリエ・ダンス(フランス)の視察

さらにこの年にはプレ公演として、サイトスペシフィックシリーズvol.1 『“distant voices-carry on” ~青山借景』(コンセプト・演出・出演:ハイネ・アヴダル、篠崎由紀子)を開催。スパイラルの30周年に合わせて行われた同公演は、2部構成。観客は、普段は関係者のみが使用する楽屋や非常階段など、スパイラル館内のさまざまな場所で展開するパフォーマンスをツアー形式で巡った後、ホール内でのパフォーマンスに導かれる。音と現象を扱うアーティスト梅田哲也がインスタレーションで参加したほか、山田うん、遠田誠、白神ももこら、日本の気鋭のダンサー・振付家も出演。都市と建築、音、ダンス、さまざまなボーダーを軽やかに交差させるさまは、東京、そして青山という街における「Dance New Air」のあり方を、改めて可視化する試みのようでもあった。

1年目の活動:サイトスペシフィックシリーズvol.1 『“distant voices-carry on” ~青山借景』 photo by Hideo Mori

1年目の活動:サイトスペシフィックシリーズvol.1 『“distant voices-carry on” ~青山借景』 photo by Hideo Mori

1年目の活動:サイトスペシフィックシリーズvol.1 『“distant voices-carry on” ~青山借景』 photo by Hideo Mori

そして翌年9月、「Dance New Air 2016」は、6つのダンス作品と映像上映、展覧会、屋外パフォーマンス、ワークショップなどを擁し、幕を開ける(詳細はこちら)。
アーツカウンシル東京とは別の大型助成金が不採択になったことから、プログラム構成や規模を大きく見直さざるをえない局面もあった。だが、むしろそのことが、スタジオ アーキタンツの協力で開催したワークショップや、作曲家・蓮沼執太の展覧会とのコラボレーションや託児とワークショップを組み合わせた「ダンス保育園!!」といった提携事業、同時期に国内で開催されるダンス公演との広報協力を軸とした連携プログラムまで、フェスティバルに有機的な広がりをもたらすきっかけにもなった、と宮久保は振り返る。

来日アーティストによるダンスワークショップ@スタジオ アーキタンツ photo by Miki Sato

DNA2016提携展覧会 蓮沼執太『作曲的|compositions : rhythm』 photo by bozzo

「プログラムを3分の1弱まで縮小する必要がありました。お金がない時には知恵を、と言いますが、そういう時に相談する仲間たちがたくさんいるというのはとても大切なことでしたし、結果として提携事業や連携プログラムに膨らみが出たことで、フェスティバル感が強くなったなと感じています」

「Dance New Air 2016」には、提携事業、連携プログラムも合わせ、のべ6万4000人が来場した。ファッションブランドのミナ ペルホネンがデザインするオリジナルTシャツを使ったプロモーションやネスプレッソが協賛したコーヒーの提供など、企業の参画もフェスティバルに都心の文化発信基地らしい華やかさを加えた。さらに現場では「サポートスタッフ」と呼ばれるボランティアが運営を支えた。

Dance New Air2016のプログラムと参加者数

Dance New Air2016 開催会場

「2002年から16年まで、さまざまな国の方がフェスティバルに参加してくださいました。ただ、やはりヨーロッパに偏っていますし、まだ交流が持つことのできていない地域もあります。これからフェスティバルを継続していくにあたって、その輪を広げていきたいと考えています。また、DNA(Dance New Air)は様々なジャンルと結びつきながら、ダンスの面白さをまだ知らない方にもどんどんアピールをしようということで続けてきました。これからも、アーツカウンシル東京のような中間支援団体も含め、共同して活動できる方たち、ジャンルをさらに増やしていきたいと思っています」(宮久保)
「Dance New Air」とその副題「ダンスの明日(Dance No Ashita)」は、同じ「DNA」を持っている。東京、青山で誕生し、継続されてきたこのフェスティバルのDNAは、2018年以後に向けても、さらなる継承と成長を期しているようだ。

DNAオリジナルTシャツ(デザイン:ミナ ペルホネン)を着たチェコのダンスカンパニーヴェルテダンスのメンバー達 photo by bozzo

中編(第2部:深堀りインタビュー)に続く

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