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アーツカウンシル東京ブログ

アーツカウンシル東京のスタッフや外部ライターなど様々な視点から、多様な事業を展開しているアーツカウンシル東京の姿をお届けします。

東京アートポイント計画通信

東京アートポイント計画は、地域社会を担うNPOとアートプロジェクトを共催することで、無数の「アートポイント」を生み出そうという取り組み。現場レポートやコラムをお届けします。

2019/04/26

どこまでがデザイン?―Artpoint Letterより

東京アートポイント計画では、毎月1回メールニュース「Artpoint Letter」を配信しています。
2019年4月号のメールニュースより、プログラムオフィサー・佐藤李青の記事をご紹介します。


気が付けば4月も終わりに近づき、大型連休も目前に迫ってきました。「新年度」を迎え、早1か月。年度の切り替わりに気持ちを一新しつつも、ここでは少しだけ、あの3月の嵐のような年度末にあった出来事のひとつを振り返ってみたいと思います。

東京アートポイント計画の年度末の恒例行事にドキュメント(プロジェクトの成果をまとめた冊子など)の発送作業があります。3月後半になると、各事業から続々と届けられるドキュメントは10数種類に及びます。そのボリュームとこだわりは、3月に開催した「ことばと本の展覧会」の一連のお知らせでお伝えしてきた通りです(開催レポート前回のレター)。

このドキュメント「群」をひとつの箱に詰め込んで、お世話になった方々に送付しています。作業は、スタッフが一丸となって取り組んでいます。


発送の作業風景

「もしかして、届けた先で、箱は開かれていないのではないだろうか?」

そんな疑念を発端に3年前から年度末発送の「届け方」のデザインに着手しました。数々の困難を乗り越え(レポート12)、今回で「かたち」は、ひとつの完成形を迎えたように思います。ドキュメントを束ね、白いゴムをかけて、透明なクリアケースに入れる。フタを閉めたら、白い印字をした透明テープを紐で縛るように巻き付ける。いつにも増して、届いたときの見た目に対する反応が好評です。


Words Binder 2019/Box+Letter

制作プロセスでは、これまでの「かたち」を踏襲しつつ、一連の作業の手間の軽減と時間の短縮を試みました。ほかにも配送に適した梱包方法の検討や伝票の貼り方(本当は伝票もデザインしたい!)など……いま振り返ってみれば、デザイナーの川村格夫さんと話したことの多くは「見栄え」以外のデザインについてでした。

すでにある社会の仕組みにデザインはどこまで触れることができるのか。

デザインとは見え方をつくるだけでなく、物事のやり方(仕方)をつくっていくことも指すのだと思います。見栄えが良くなると前者の「デザイン」は見えやすくなり、後者の「デザイン」の痕跡は見えにくくなっていきます。むしろ、見えなくなるほどにデザインは上手くいったともいえるかもしれません(これは東京アートポイント計画の取り組みの評価とも繋がっているような気がします)。

読み手に届くまでがドキュメントづくり。そう心のなかで念じながら続けてきた届け方のデザイン。まだまだ検討の余地はありそうです。


*東京アートポイント計画からのご案内

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