東京アートポイント計画通信
東京アートポイント計画は、地域社会を担うNPOとアートプロジェクトを共催することで、無数の「アートポイント」を生み出そうという取り組み。現場レポートやコラムをお届けします。
2019/10/02
アートポイントが「本の販売」をはじめた理由―Artpoint Letterより
東京アートポイント計画では、毎月1回メールニュース「Artpoint Letter」を配信しています。
2019年9月号のメールニュースより、プログラムオフィサー・嘉原妙の記事をご紹介します。
9月に入り、朝晩涼しく秋めいて過ごしやすくなってきたと思っていた矢先、各地で暴風や大雨など落ち着かないお天気が続いています。被害に遭われたみなさまには心よりお見舞い申し上げるとともに、一日も早い復興をお祈り申し上げます。
気づけはもう9月も終わり、2019年度も下半期に向けて折り返し地点。今年度、上半期に新たにスタートした書籍の「販売」についてご紹介したいと思います。
プロジェクト成果としての書籍を届けたい
ちょうど半年前の3月下旬、毎年恒例のドキュメント発送を行っていました。
東京アートポイント計画では、毎年約10冊以上の書籍をつくっていますが、それらをひとつのハコに詰め、年度末に、お世話になった方々にお届けしています。この発送方法は、Tokyo Art Research Labの研究・開発プログラムの一環として、2016年度にはじめました。
アートプロジェクトにおいて、ドキュメントづくりは活動の成果を可視化し、価値化していく方法のひとつ。完成したそれらの書籍には、プロジェクトの理念や活動のプロセスでの気づき、今後取り組むべき課題のヒントが詰まっています。
しかし、それらの書籍は書店販売など一般流通には乗らないものも多いため、せっかく得た知見や技術を広く社会に伝えることが難しい。つくるだけでなく「届けること」まで含めて考える必要があるのではないかという問題意識から、これまで数々の「届け方」を試行錯誤し(レポート1/2)、2019年3月、「届け方のデザイン」のひとつの完成形に辿りつくことができました。
その他にも、これまでに発行したドキュメントデータのアーカイブ、PDFデータの公開にも取り組んできました。2019年9月現在、211冊のドキュメントデータを新たにアーカイブ・公開しています。
それでも、まだまだ届ける方法があるのではないか。郵送、ウェブ公開、スタッフの手を介した配布以外に書籍を手にとる方法として「販売」の仕組みが必要ではないか。そうして昨年から、書籍販売方法の模索がはじまりました。
本をつくって売る
今回、販売を可能にしたのは、財団全体として「公益」事業の線引きが変わったことが背景にありました。
より多くの方々に事業の成果を手にとってもらう手段を増やす。そのために価格を付け、店舗で販売を行う。では、価格設定の費用をどこまで見込むのか、いかに販路を開拓するか、などの課題を整理し、ひとつひとつ手続きを進め、今年から書籍の「販売」を本格始動できることになったのです。
書籍の販売は、事業成果を広める「新たな手段」となりました。目的は、事業の成果を多くの方々に触れてもらうこと。これまでの手段であったウェブサイトでのPDFデータの公開も引き続き行っています。
現在、『これからの文化を「10年単位」で語るために ー 東京アートポイント計画 2009-2018 ー』と『【新装改訂版】 東南アジアリサーチ紀行―東南アジア9カ国・83カ所のアートスペースを巡る』の2冊を販売しています。お取り扱い店舗も少しずつ増えてきました。
「届け方」の新たな挑戦としてはじまった書籍販売。販売の難しさと販路拡大に向けての創意工夫の日々です。「届け方」は奥深い。
それでも、書籍を読んでくださった行政の方から講演依頼をいただくなど、少しずつ届けた後の動きが生まれています。今後、販売中の書籍をテーマとしたトーク企画も計画中です。また近日、ご案内できればと思います。
*お取り扱い店舗のご案内
『これからの文化を「10年単位」で語るために ー 東京アートポイント計画 2009-2018 ー』
・FALL(東京都杉並区)
・museum shop T(東京都国立市)
・3331 CUBE shop&gallery|3331 Arts Chiyoda(東京都千代田区)
・NADiff a/p/a/r/t |ナディッフ 本店(東京都渋谷区)
・NADiff contemporary |東京都現代美術館 ミュージアムショップ(東京都江東区)
・Contrepoint |水戸芸術館 ミュージアムショップ(茨城県水戸市)
・NADiffオンラインショップ
・Art Center Ongoing|カフェ (東京都武蔵野市)
・ビルド・フルーガス(宮城県塩竃市)
『【新装改訂版】 東南アジアリサーチ紀行―東南アジア9カ国・83カ所のアートスペースを巡る』
・Art Center Ongoing|カフェ (東京都武蔵野市)
・3331 CUBE shop&gallery|3331 Arts Chiyoda(東京都千代田区)
・NADiff a/p/a/r/t |ナディッフ 本店(東京都渋谷区)
・museum shop T(東京都国立市)
・ビルド・フルーガス(宮城県塩竃市)
■お取り扱い店舗募集中です!
上記の書籍ををお取り扱いいただける書店様を随時募集しております。
アートスペースなど書籍に関心のある方が訪れる場所であれば「書店」に限りません。
詳細は、下記お問合せ先までご連絡ください。
<お問合せ>
公益財団法人東京都歴史文化財団 アーツカウンシル東京
TEL:03-6256-8435
E-mail:tarl@artscouncil-tokyo.jp
※平日10:00~18:00
*東京アートポイント計画からのご案内
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・書籍『これからの文化を「10年単位」で語るために ー 東京アートポイント計画 2009-2018 ー』発売中
・書籍【新装改訂版】『東南アジアリサーチ紀行 ―東南アジア9カ国・83カ所のアートスペースを巡る』発売中