東京アートポイント計画通信
東京アートポイント計画は、地域社会を担うNPOとアートプロジェクトを共催することで、無数の「アートポイント」を生み出そうという取り組み。現場レポートやコラムをお届けします。
2020/04/24
写真から現場を感じてみよう。おすすめのあの本、この本。― アートプロジェクトの本棚 (その2)
「東京アートポイント計画」「Tokyo Art Research Lab」「Art Support Tohoku-Tokyo」の3事業から発行された200冊以上の本は、ウェブサイトからダウンロードして読むこと、宅配便で受け取ることもできます。
※本のPDFは無料、宅配の場合も送料のみのご負担でお届けします。お申し込みはこちらから。
※一部、データを公開していないものや、在庫が少なく送付ができないものもございます。
前回に引き続き、東京アートポイント計画のプログラムオフィサーが、おすすめのセットを組んでみました。気になる本をみつけたら、ぜひ紹介リンクをクリックしてみてください。ピンと来ることばや、気になる視点に出会えるかもしれません。
写真から現場を感じてみよう
写真を見ると、こんな想像を巡らせてしまう。
「撮影した状況はどんな空気感だったのだろう? パリッとしていたのか、高揚感に包まれていたのか。被写体とカメラマンはどんな時間を過ごしたのだろう? 緊張感があるのか、親密な距離感なのか。」
今回ご紹介するのは、写真から現場感を想像して楽しんでほしい3冊です。
日本に住むネパール出身の若者の葛藤から「移民」の状況を描く“未完の映画”をもとに制作、撮影した『クリシュナ―そこにいる場所は、通り道』。音楽を通して子供たちの好奇心がふくらんでいく様子が感じられる『ほくさい音楽博 Photo Document』。そして、土地に生きる「人」を生き生きと描くことを試みた『三宅島ポスタープロジェクト』。
カメラがその瞬間をとらえるまでに、過ごしてきたであろう時間や経験、現場で育まれた温度感を感じながら、ページをめくってみてください。(上地里佳)
▼写真からアートプロジェクトを感じられる3冊
・『クリシュナ―そこにいる場所は、通り道』
・『ほくさい音楽博 Photo Document』
・『三宅島ポスタープロジェクト』
東京はインプログレス
2009年にスタートした東京アートポイント計画では、アートプロジェクトを通じて常に「東京」と向き合ってきました。
変わりゆく都市景観の観測拠点として、仮設的に隅田川沿いに物見台を設置したプロジェクト「東京インプログレス」をはじめとして、東京アートポイント計画とは現在進行形の変わりゆく「東京」そのものを観測し、分析し、身体化して進歩させるための営みなのかもしれません。その準備と試行が詰まった3冊です。(大内伸輔)
▼「東京」に向き合うプロジェクトから生まれた3冊
・『川俣正・東京インプログレス = Tadashi Kawamata Tokyo in Progress Document : 隅田川からの眺め : ドキュメント』(美術出版社、2014年)
・『東京スープとブランケット紀行 2014-2017』
・『戯曲|東京の条件』
「10」シリーズ
10の扉、10のステップ、10年……。「10シリーズ」と題してご紹介します。
『ノック!-じぶんの地域ともう一度出会う10の扉-』は、その名の通り、私たちが暮らす地域と改めて出会い直す10の扉を可愛い漫画やことばで紹介した一冊。『日常の巡礼 -まちと出会い直す10のステップ-』は、私たちが暮らす「日常」のまちをまるで旅人のように、ときに積極的に迷子になりながら歩く実験的な方法をまとめた本。そして東京アートポイント計画の10年の歩みをぎゅっと詰め込んだ『これからの文化を「10年単位」で語るために ― 東京アートポイント計画 2009-2018 ―』と、その「10年」の伝え方の試行錯誤を記録したドキュメントレポート『10年を伝えるための101日』。
ものごとの流れや全体像、そして大事なことをとらえて誰かに伝えようとするとき、「10」という数字は、身体に馴染む数なのかもしれませんね。 (嘉原妙)
▼「10」にまつわる4冊
・『ノック!-じぶんの地域ともう一度出会う10の扉』
・『東京ステイ 日常の巡礼~まちと出会い直す10のステップ』
・『これからの文化を「10年単位」で語るために ― 東京アートポイント計画 2009-2018 ―』
・『10年を伝えるための101日「東京アートポイント計画 ことばと本の展覧会」ドキュメントレポート
読むというより使う本
アートプロジェクトを動かすには、ときに立ち止まり、仲間と話し合い、視点や手法を更新し続けることが大事。それらを手助けする3冊をご紹介します。
「東京アートポイント計画が…」から始まる事務局のための1冊、通称「ことば本」。活動の意義や価値と照らし合わせながら、ことばを軸に、運営方法、課題、検討事項などを掘り下げ、より生き生きと動けるようにするためのツールです。
『アートプロジェクトの現場で使える27の技術』は、技術を養うための実践例を収録したワークブック。アーカイブの入門書『アート・アーカイブの便利帖』には、活動の記録を整理・活用するためのヒントが詰まっています。
これらを片手に、プロジェクトメンバーと対話したり、新たなことばや技術、手法を自分たちで開発してみたりと、ぜひいろいろな形でご活用ください。(坂本有理)
▼アートプロジェクトの現場で使ってほしい3冊
・『東京アートポイント計画が、 アートプロジェクトを運営する「事務局」と話すときのことば。の本 <増補版>』
・『思考と技術と対話の学校 基礎プログラム2 [技術編] 2016 アートプロジェクトの現場で使える27の技術』
・『アート・アーカイブの便利帖ーアート・プロジェクトをアーカイブするために知りたいこと』
旅行のお供にしたい5冊
旅行に行くとき、そのまちが舞台になった小説を携えて出かけたことはありませんか? ガイドブックとは違うものを頼りに旅してみるのは、なかなか新鮮な体験ですよね。
今はまだ旅行することが難しいですが、次に旅に出るときは、アートプロジェクトやリサーチのドキュメントなどを携えて旅をしてみるのはいかがでしょう。『東南アジアリサーチ紀行―東南アジア9カ国・83カ所のアートスペースを巡る』に登場するアジアのオルタナティブスペースや、『Traveling Research Laboratory(2014)』のスポットを巡ったりしてみても面白そう。『東京スープとブランケット紀行 「青ヶ島」』を読み、旅先でアーティストの言葉をゆっくりかみしめたり。『12class 2016秋号』を通して、あたたかなまなざしでまちを見たり。
また、全国各地で行われている「芸術祭」にお出かけの際には、ぜひ『芸術祭ノート』を。キュレーターの目線から芸術祭に触れることで、また新しい視点が生まれるかもしれません。(岡野恵未子)
▼旅行のお供におすすめの5冊
・『東南アジアリサーチ紀行―東南アジア9カ国・83カ所のアートスペースを巡る』
・『Traveling Research Laboratory(2014)』
・『東京スープとブランケット紀行 「青ヶ島」』
・『12class 2016秋号』
・『芸術祭ノート』
(撮影:ただ(ゆかい))
*東京アートポイント計画からのご案内
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・書籍『これからの文化を「10年単位」で語るために ー 東京アートポイント計画 2009-2018 ー』発売中
・書籍【新装改訂版】『東南アジアリサーチ紀行 ―東南アジア9カ国・83カ所のアートスペースを巡る』発売中