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アーツカウンシル東京ブログ

アーツカウンシル東京のスタッフや外部ライターなど様々な視点から、多様な事業を展開しているアーツカウンシル東京の姿をお届けします。

Tokyo Art Research Lab(TARL)

Tokyo Art Research Lab は、アートプロジェクトの担い手のためのプラットフォームです。時代に応答したアートプロジェクトをつくる学びの場と、現場の課題やこれから必要な技術について考える研究・開発を「東京アートポイント計画」と連携して行っています。

2023/04/04

これからのウェブサイト制作に向き合うために――Tokyo Art Research Labが取り組むウェブサイト関連企画の紹介

Tokyo Art Research Lab ウェブサイトの改修について対談する制作メンバーの様子

撮影・仲田絵美

いま、ウェブサイトについて考えるということ

多くの人々にとって日常となったインターネットの世界。SNSやウェブサイトをはじめ、一人では拾いきることのできない多種多様な情報が流れ、わたしたちに「どのようにインターネットをつかうのか」が問いかけられています。文化芸術の担い手として携わる人々も、情報を受け取るばかりではなく、伝える言葉を考えながらSNSを投稿したり、ウェブサイトの制作や更新に向き合ってきました。誰に何を届けたいのか、将来に何を残したいのか、なぜインターネットをつかうのか。特にウェブサイトはSNSと異なり、誰かが何かのきっかけで「キーワード検索」をしたり「SNSのリンク」を辿ったり、「お気に入りのページ」として常連になっていたりと、ユーザーの興味関心に紐づくことで活用されるものとなります。
アーツカウンシル東京が実施する、アートプロジェクトの担い手たちのためのプラットフォーム形成事業「Tokyo Art Research Lab(以下、TARL)」では、ウェブサイトにまつわる様々なプログラムの実施や成果物の制作、さらには実際の改修プロジェクトにも取り組んできました。本記事では、それらの実践をポイントとともにご紹介します。

Tokyo Art Research Lab ウェブサイトトップページのキャプチャ画像

Tokyo Art Research Lab ウェブサイトのトップページ

情報を届けるユーザーを想像する、アクセシビリティの向上を考える

TARLでは2022年12月に公式ウェブサイトの改修を行いました。様々な社会課題やそこからこぼれ落ちてしまいそうなトピックについて考え、横断し、実践した成果をまとめるとともに、ユーザーそれぞれが自身の活動につなげることのできるプラットフォームとしてひらいています。ポイントは大きく3つ。

  • 未来のウェブサイトについて考えてみる
  • 「この人に届けたい」をチームで決めてモノサシにする
  • さまざまな人を巻き込んでサイトを磨き上げる

改修を振り返る座談会では、カスタマージャーニーマップの制作や、アクセシビリティ向上を目指したユーザーレビューの実施など、約1年をかけたプロジェクトについて制作チームが語っています。前後編の記事2本を公開しているので、ぜひご覧ください。

 ▶ 紹介記事(前編)「これからのウェブサイトの姿を想像する|「Tokyo Art Research Lab」ウェブサイト制作振り返り座談会(前編)」
 ▶ 紹介記事(後編)「届けようと想像する、巻き込みながら磨く|「Tokyo Art Research Lab」ウェブサイト制作振り返り座談会(後編)」

座談会でTokyo Art Research Lab ウェブサイトの改修について話すウェブディレクターの萩原さん

撮影・仲田絵美

また、TARLウェブサイトのつかい方については以下の記事にまとめています。

 ▶ 紹介記事「TARL公式ウェブサイトをリニューアルしました」

ウェブサイト制作や改修で大切になることは「体制づくり」です。ウェブサイトを立ち上げたいとき、何人ぐらいで、どんな役割のメンバーを集めて取り組めばいいのだろうか?そうした初期設計を支える資料をTARLウェブサイトで公開中です。

ウェブサイト制作の指針を立てるガイドブック、コ・クリエイションのすすめ

『アートプロジェクトのためのウェブサイト制作 コ・クリエイションの手引き』は、TARLウェブサイトの改修でもディレクションを務めた萩原俊矢さんが執筆した冊子です。何から手を付けたらいいのか、どんなプロセスを経て完成し、どのように運用していけばいいのか。そうした指針をチームで共有する手引きとして、そして途中で道に迷わないためのガイドブックとして活用いただけたら幸いです。

 ▶ 成果物『アートプロジェクトのためのウェブサイト制作 コ・クリエイションの手引き』

書籍『アートプロジェクトのためのウェブサイト制作 コ・クリエイションの手引き』の表紙と中身の写真

本書を制作するきっかけになったのは、2021年度にTARLが開催した勉強会でした。ウェブサイト制作に様々な立場で関わるメンバーが集まり、それぞれの抱える「モヤッとする疑問」を持ち寄り、その向き合い方について意見を交わしました。

どうやって一緒にウェブサイトをつくればいい?もやもやはみなが抱えている

勉強会「これからの Webサイトについて考える Webサイトは必要か? できること/できないこととその可能性を探る」では、全6回にわたってウェブサイトのあり方についてレクチャーやディスカッションを行いました。レポートを「東京プロジェクトスタディ アーカイブサイト」で紹介しているほか、持ち寄った「もやもや」の分類や向き合い方の提案を『ウェブもやもや事典』として公開しています。取り上げたトピックは全部で7つ。

  1. 短期的な評価、長期的な価値
  2. ウェブと費用と手間
  3. アーカイブデザイン
  4. 誤配についてのもやもや
  5. 人柄や内面や周辺情報の伝え方
  6. かっこよさと実用性
  7. 情報保障とアクセシビリティ

ぜひ、気になる項目があれば覗いてみてください。

 ▶ レポート紹介ページ「東京プロジェクトスタディ アーカイブサイト」
 ▶ ウェブページ『ウェブもやもや事典』

勉強会「これからの Webサイトについて考える」のレポートページキャプチャ画像

勉強会「これからの Webサイトについて考える」のレポートページ

さらに勉強会に参加したメンバーが再び集まり、紹介した書籍『アートプロジェクトのためのウェブサイト制作 コ・クリエイションの手引き』を題材にオンライン座談会を実施しました。各章の狙いや解説、メンバーそれぞれの気付きや体験、取り組みについて紹介しているので、ラジオのように耳を傾けていただくだけでも新たな発見があるかもしれません。

 ▶ オンライン座談会「誰かと一緒にウェブサイトをつくるために必要なことはなんだろう?」

オンライン座談会に出演したメンバーがZoomに並んでいる様子

オンライン座談会に出演したメンバー

ウェブサイトを通じて、自分の事業や企画を見つめなおし、言語化しながら構造を組み立てる。
ひとつのプロジェクトのように、行く先を想像し、多くの人を巻き込みながら前向きに制作をはじめるきっかけとしていただけたなら幸いです。

text by Tokyo Art Research Lab

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