アーツカウンシル東京の事業

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伝統芸能の手法で“心の時代”以前・以後をさぐる ――
「てんらい」が挑んだ世界最古のシュメール神話『イナンナの冥界下り』

東京芸術文化創造発信助成【長期助成プログラム】活動報告会 第5回

アーツカウンシル東京では平成25(2013)年度より長期間の活動に対して最長で3年間を助成するプログラム「東京芸術文化創造発信助成【長期助成プログラム】を実施しています。この度、助成対象活動報告会の第5回として、平成27(2015)年度より3年間助成した任意団体てんらいの活動をご紹介します。
本プロジェクトは、世界最古のシュメール神話「イナンナの冥界下り」を、最古の言語シュメール語と能楽を軸に、日本伝統芸能の様式を用い、3年間にわたって段階的に創作・上演し(定期的なワークショップと小公演を通じて創作過程を一般公開)、イギリスとリトアニアで海外公演を行うという、過去に例がない独創的なものでした。活動の大きな特徴は、次の2点です。

◆特徴 その1:
太古の神話の舞台化を通じて、日本の伝統芸能が有する特質(儀礼性・祝祭性・神聖性)を演者と観客が共に再発見・感得し、伝統文化の本来的価値を継承する新たな可能性を多方面に発信する。
◆特徴 その2:
人が「心」を発見して以降の芸能・芸術とは異なる次元に迫り、「心」に代わる別の「何か」をさぐる。

本プロジェクトでは3年間で客演者・配役が異なる「イナンナの冥界下り」の4つのヴァージョンが制作され、通算9回の上演が行われて、従来の伝統芸能ファンとは異なる層に訴えかけたことで、現代文学や情報科学の分野からも反響を得ました。プロジェクト全体を振り返って、創造の過程や成果、今後の展開などについて、てんらいの皆様にお話を伺います。

概要

東京芸術文化創造発信助成【長期助成プログラム】 活動報告会 第5回
団体名:任意団体 てんらい
プロジェクト名:『イナンナの冥界下り』欧州公演
(平成27年度から平成29年度までの3年間の長期助成プロジェクト)

任意団体 てんらい
「イナンナの冥界下り」欧州公演を目標に掲げて2015年に設立。能楽師・安田登が代表を務める。伝統芸能の可能性を追求し、その手法を使った新たな舞台芸術の創造を目的とする。能楽(能・狂言)・浪曲等の語り芸を中心に据えるが、人形や他のジャンルとも積極的に関わり、伝統に則りながらもそれに捉われない作品づくりを目指す。

プログラム内容(予定)

18:45 開場
19:00 長期助成プログラム及び対象活動の紹介
19:05 【第1部】
 ・本企画の意図と、それを作品としてまとめた経緯
 ・3年間の助成を受けた期間のこと
 ・欧州公演のための準備と、欧州公演
20:05 休憩 
20:10 【第2部】助成以後の発展形としての人形劇『イナンナの冥界下り』
 ・ミニ上演(15分程度)
 ・何が変わったのか
 ・これからの可能性
20:40 質疑応答
21:00 終了

登壇者(報告者)
安田登(下掛宝生流ワキ方能楽師)
玉川奈々福(浪曲師)
奥津健太郎(和泉流狂言方能楽師)
ヲノサトル(作曲家、音楽家)
金沢霞、大島淑夫、大金智、名和紀子、森山雅之、山下昇平

司会進行
司会進行:堀内宏公(企画助成課 シニア・プログラムオフィサー)

報告者プロフィール

安田登(やすだ のぼる)
下掛宝生流[しもがかりほうしょうりゅう]ワキ方能楽師。舞台のかたわら、学生や児童との能ワークショップや、朗読や群読の公演、指導を行う。『論語』などを学ぶ寺子屋「遊学塾」主宰。甲骨文字の研究も行う。著書に、『身体感覚で「論語」を読みなおす。-古代中国の文字から』(春秋社)、『本当はこんなに面白い「おくのほそ道」』(実業之日本社)、『日本人の身体』(ちくま新書)、『能 650年続いた仕掛けとは』(新潮新書)、『イナンナの冥界下り〔コーヒーと一冊〕』(ミシマ社)ほか、多数。

写真:矢幡英文
玉川奈々福(たまがわ ななふく)
1995年曲師(浪曲の三味線弾き)として二代目玉川福太郎に入門。2001年より浪曲師としての活動を開始。2006年名披露目興行。古典はもとより多くの新作を披露するほか、落語、講談、文楽、琵琶、日舞、近年はパンソリなど、様々な芸能との交流企画をプロデュースする。2012年、一般社団法人日本浪曲協会理事に就任。2017年「玉川奈々福がたずねる語り芸パースぺクティブ」全11回開催(助成:アーツカウンシル東京)。2018年「平成30年度文化庁文化交流使」としてイタリア、スロベニア、オーストリア、ハンガリー、ポーランド、キルギス、ウズベキスタンで活動。


奥津健太郎(おくつ けんたろう)
和泉流狂言方能楽師。故13世野村又三郎信廣[重要無形文化財総合指定]に師事。東京藝術大学音楽学部[能楽・狂言専攻]卒。在学時には野村萬、野村万作両師の指導も受ける。日々の舞台活動に加え、狂言のワークショップや普及講座、海外との文化交流など幅広く活動。また、能面・狂言面の制作も行う。「親子でたのしむ狂言の会」主宰。「狂言やるまい会」所属。公益社団法人能楽協会正会員。


ヲノサトル
作曲家、音楽家。1987年日本現代音楽協会作曲新人賞を受賞、現代音楽の作曲家として活動を開始。90年頃より電子楽器による即興演奏を始め、92年 有馬純寿、前林明次とコンピュータ音楽ユニット rec*rep を結成。電子音響とムード音楽の融合をテーマにソロCDを発表。95年から「経理のヲノさん」の名でユニット 明和電機 の音楽監督=足踏みオルガン奏者を務める。近年は Co。山田うん など舞台作品にも関わる。『甘い作曲講座』や『作曲上達100の裏ワザ』などの著書があり、現在は多摩美術大学美術学部教授として音楽や映像についての講義を担当。

※告知内容は予告なく変更になる場合があります。また当日は主催者の広報及び記録目的に写真・音声の収録を行い、後日ウェブサイト等で公開します。予めご了承ください。

定員

50名(事前申込制)

料金

無料

申込方法

E-mail(forum-grant@artscouncil-tokyo.jp)に
(1)ご氏名
(2)ご所属・職業
(3)人数
(4)当日連絡可能な電話番号とメールアドレス
(5)手話通訳の要否
以上を明記の上、お申込みください。

申込締切
2018年9月14日(金)17:00まで。
※手話通訳をご希望の方は、9月7日(金)17:00までにお申し込みください。
※お寄せいただいた個人情報は厳重に保管します。
※今後アーツカウンシル東京よりお知らせをお送りさせて頂くことがあります。

お問い合わせ

アーツカウンシル東京 企画室 企画助成課
TEL:03-6256-8431(10:00~18:00 土日祝日を除く)
E-mail:forum-grant@artscouncil-tokyo.jp

開催場所

アーツカウンシル東京 会議室(東京都千代田区九段北4丁目1-28 九段ファーストプレイス8階)

チラシ

クレジット

主催
アーツカウンシル東京(公益財団法人東京都歴史文化財団)

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