「カテゴリーI 単年助成 第1期」には242件の申請があり、審査の結果、54件を採択いたしました(採択率22.3%)。助成予定総額は76,809千円です。
≪音楽分野≫
◆申請件数(採択件数): 69(9)
内訳:都内での芸術創造活動60(8)
国際的な芸術交流活動9(1)
◆採択率:13.0%
音楽分野は2年前から申請数が伸びており、今期も前回の令和3年度第2期の130%となり、過去最多を更新しています。これまで多数を占めていたクラシックや現代音楽が6割になり、民族音楽やロック、ジャズ等ジャンルに広がりが生まれ、採択結果にも反映されています。一方、採択に至らない申請には、公募ガイドラインに提示されている本助成の趣旨に適合しないものが散見されました。特に年間に行う複数公演をまとめた申請が複数ありましたが、同一の趣旨・目的のもとに実施する企画でなければ1件とみなされませんのでご留意ください。今後も、より創造性の高い活動のご申請に期待いたします。
《演劇分野》
◆申請件数(採択件数): 64(13)
内訳:都内での芸術創造活動56(8)
国際的な芸術交流活動8(5)
◆採択率:20.3%
申請件数は過去最多で、活動拡大・発展期と活動成熟期にあたる個人や団体からの申請が増加しました。初申請は約5割です。内容の傾向としては、現在の社会問題をテーマにした演劇作品公演の申請が増加し、申請者ならではの視点・演劇的表現によってテーマを捉え描こうという試みの認められるものが採択となっています。国際的な芸術交流活動は、新型コロナウイルスの世界的感染拡大後に計画された意欲的かつ申請者の転機となり得る事業の申請が多く、高い採択率となりました。
≪舞踊分野≫
◆申請件数(採択件数): 27(6)
内訳:都内での芸術創造活動23(6)
国際的な芸術交流活動4(0)
◆採択率:22.2%
申請件数は過去2番目に多く、活動成熟期にある個人・団体からの申請が増加しました。採択の7割弱を活動拡大・発展期にある申請者が占め、その中からコロナ禍を経験した舞踊家が改めて生命や身体について再考し、作品のテーマとして扱う独創性の高い取り組みが3件採択となっています。そのほか、世代や創作手法が異なる舞踊家同士が協働し新たな身体表現を探求する活動や、日本舞踊の意欲的なリサイタル等、次代の舞踊芸術の新たな展開に繋がる事業が採択に至りました。
≪美術・映像分野≫
◆申請件数(採択件数): 34(7)
内訳:都内での芸術創造活動27(6)
国際的な芸術交流活動7(1)
◆採択率:20.6%
絵画、写真、インスタレーション、デザイン等、多様な表現の創造活動の申請がありました。今期は、活動拡大・発展期のアーティストの企画が多くを占め、中でもコンセプトやテーマに独創性がある企画展・個展が採択となっています。そのほか、若手キュレーターと研究者による共同研究を作品制作・展示という実践に落とし込む分野横断的な展覧会や、建築家のコレクティブによる国際的なプラットフォームづくりを目指す意欲的な芸術交流活動が採択となりました。映画・映像領域では、企画に工夫をこらした映画祭の上映活動が2件採択となっています。
《伝統芸能分野》
◆申請件数(採択件数): 27(14)
内訳:都内での芸術創造活動25(12)
国際的な芸術交流活動2(2)
◆採択率:51.9%
能楽、邦楽、日本舞踊、和妻、和太鼓、詩吟、人形劇など幅広い種目から全 27 件の申請がありました。海外渡航を伴う事業も2件含まれ採択となっています。「継承性」が審査の観点に含まれている伝統芸能分野では活動拡大・発展期、活動成熟期にある個人や団体の採択が多い傾向がありますが、今回は特に、それまでの修練や研鑽の上に立ち、その種目ならではの特性や個性を掘り下げたうえで波及効果も見据えるという、継承性・創造性に広い視野を伴った事業が採択となりました。
≪複合≫
◆申請件数(採択件数): 21(5)
内訳:都内での芸術創造活動15(4)
国際的な芸術交流活動6(1)
◆採択率:33.3%
多分野アーティストによる舞台公演や、異なる分野を活動領域とするアーティストらを招聘する、地域性を活かした国際的なアーティスト・イン・レジデンス交流事業など、複合分野ならではの多様な申請がありました。その中でも、単なるジャンルの組み合わせに留まらない、創造的かつ実験的な触発を企図した事業や、科学技術を活用した新たな創作・鑑賞スタイルの実験を行う事業等の申請が採択に至りました。